国会活動

日米地位協定、TPP11

〇第196回国会 衆議院 外務委員会 2018年5月16日(水)

○井上(一)委員 

 希望の党の井上一徳です。よろしくお願いいたします。

 最後になりますけれども、どうぞよろしくお願いします。

 本日は、主にTPPについての質問をさせていただきますけれども、その前に、地位協定に関する質問を幾つかさせていただきたいと思っております。

 配付資料で配らせていただいておりますけれども、資料1を見ていただければと思うのですが、2年前に沖縄県うるま市で発生した米軍属による女性殺害事件の遺族への補償問題に関してのものでございます。

 この殺害事件は2年前でしたが、私は、当時沖縄防衛局長をしておりまして、本当に衝撃な事件でありました。罪のない若い女性、しかも結婚を間近に控えた女性、それが米軍属に暴行され、そして殺害され、林の中に遺棄されるという、本当に県民にとっても大変衝撃な事件でありました。

 この事件が、2年経過して、配付資料の記事にありますように、「進まぬ遺族補償」ということで、日米地位協定の解釈に日米間で相違がありまして、なかなか遺族への補償が進んでいないという状況にあります。

 私は、この件で一度、3月20日の安保委員会でも河野大臣に質問をさせていただきました。そのときは、大臣より前向きに、「今、日米で協議が行われているところでございますが、日本政府としては、御遺族になるべく御迷惑をかけないようにするというのがこれは当然のことだと思いますので、きちんと、早急に、この日米協議を取りまとめ、対応してまいりたいというふうに考えております。」というご答弁をいただきました。

 ただ、1カ月経過してもなかなか交渉に進展が見られない状況でありますので、先般、資料2につけておりますように、質問主意書を出しました。今月の12日に、ご答弁いただいたのですが、「お尋ねについては、現在、米国との間で様々なレベルで協議中であり、また、個人のプライバシーに関わることから、お答えすることは差し控えたい。」ということで、なかなか進捗していないという状況だと思っております。

 やはり、被害者の遺族の立場に立って早急に対応するように改めて求めたいと思いますが、現在の協議の進捗状況について伺いたいと思います。

○河野国務大臣 

 平成28年4月に沖縄県のうるま市において発生いたしました、今御指摘をいただきました米軍属による殺人事件は極めて遺憾でございます。

 本事件は大変痛ましい事件でありまして、御遺族のお気持ちを考えると、本当にいかばかりかと思います。せめて御遺族にきちんとした正当な補償が一刻も早く行われるよう、政府として誠心誠意努力をしてまいりたいと思っております。

 米側との協議につきましては、さまざまなレベルで今早急に対応しているところでございます。御遺族になるべく御迷惑をかけないようにするのは当然のことと考えておりますので、しっかりと調整をしてまいりたいと思います。

○井上(一)委員 

 私は、河野大臣を大変信頼しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それから、地位協定に関して、もう1問質問をさせていただきたいと思います。

 先週の末松先生の質疑を聞いておりまして、私も地位協定の基本的な考え方について同じ問題意識を持っております。資料3で配らせていただいておりますが、これは末松先生の資料をそのまま出させていただきました。

 地位協定の基本的な考え方としては、この国際安全保障諮問委員会の報告書にあるとおり、当該国の法令が適用されるのが一般的に受け入れられている国際法の原則である、駐留軍地位協定はこの原則に関する合意された例外を規定するものであり、協定によって受入れ国は派遣国の利益のために本来有する一定の管轄権及びその他の権利を放棄することに合意している、これがやはり国際的な基本的な考え方だというふうに私も思います。

 ただ、外務省の日米地位協定のQアンドAの認識は、「一般国際法上、駐留を認められた外国軍隊には特別の取決めがない限り接受国の法令は適用されず、このことは、日本に駐留する米軍についても同様です。」「米軍の行為や、米軍という組織を構成する個々の米軍人や軍属の公務執行中の行為には日本の法律は原則として適用されませんが、これは日米地位協定がそのように規定しているからではなく、国際法の原則によるものです。」としています。

 これは国際的な認識と違うのではないかと思いますが、改めて、外務省の考え方をお聞かせいただきたいと思います。

○鈴木政府参考人 

 お答え申し上げます。

 お尋ねの日米地位協定と一般国際法との関係についての外務省の考え方は外務省ホームページに記載しているとおりでございますが、その上で、あえて一般論として申し上げさせていただければ、一般国際法上、軍隊が接受国の同意のもとでその国に所在している場合、その滞在目的の範囲内で行う公務について、当該軍隊はその裁判権等から免除されることとなります。

 その上で、個別の具体的な事象において、派遣国と接受国のいずれの管轄権が優先的に行使されるかという点につきましては、こうした一般国際法上の考え方を踏まえつつ、必要に応じて派遣国と接受国との間で協議等を通じて具体的に取扱いが決定される、これが一般的であります。

 日米地位協定は、こうした具体的取扱いについてあらかじめ定めたものだというふうに考えております。

 以上でございます。

○井上(一)委員 

 これは、沖縄県の方でもいろいろ各国の地位協定を国際比較しておりまして、これを中間報告で発表しております。

 それによれば、日本と同じように米軍が大規模に駐留しているイタリア、それからドイツでは、1つ目としては、米軍の活動に国内法を適用する、それから2つ目として、受入れ国に基地の管理権や立入り権がある、3つ目として、訓練計画の承認など米軍の訓練に受入れ国が関与する仕組みがある、4つ目として、米軍基地を抱える地元自治体の要求、要望を運用に反映させる協議体が設置されているといった仕組みがあるとの指摘がございます。

 そうした実態を踏まえると、国際安全保障諮問委員会の報告書にある考え方が国際法の一般的な考え方ではないかと思います。

 ただ、これ以上議論する時間もございませんので、そういう実態も踏まえて地位協定の基本的な考え方を示していただかないと、恐らく国民の方々が誤った理解をしてしまうのではないかと思います。

 私は、そういう意味で、後ほど政府の正確な考え方を質問主意書で確認させていただこうと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 それでは、余り時間もございませんが、TPPについて質問をさせていただきます。

 TPPは、アジア太平洋地域において、自由かつ公正なルールのもとでの貿易を推進するということを志向しており、日本が積極的に貿易ルールの形成に携わっていくということは国際社会への貢献につながっているということで、評価をしているものでございます。

 委員会での議論を聞いていますと、TPP11の早期発効をなし得た後に、TPP11の拡大ということが課題になってくると思いますし、河野大臣も、早くTPP11を発効させて、そしてTPPを質の高いルールとして拡大をしていきたい、そのときに、「インド・太平洋地域にこうしたものを広げていくというのは、自由で開かれたインド太平洋戦略とも非常に整合する戦略でございますから、積極的にそうしたことをやってまいりたい」と答弁をされております。

 イギリス、インドネシア、韓国、コロンビア、タイ、台湾が関心を示しているということでしたし、アメリカもTPPの復帰を言うようになってきたということでございました。

 それで、TPP11の拡大の今後の方向性について、大臣にお伺いしたいと思います。

 具体的には、米国の復帰を優先して考えるのか、それから、アジア諸国であるタイ、インドネシア等々の参加を優先して考えていくのか、それとも、アジア太平洋を超えて世界への拡大を目指していくということでイギリスの参加を優先していくとか、様々な考え方があると思いますが、今後どのような考え方でTPP11を拡大していくのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

○河野国務大臣 

 まず、TPP11の発効を急ぎたいと思っておりますが、その後は、これをしっかりと、新しい、高いスタンダードのルールとして広げてまいりたいと思っております。

 今現在、タイ、韓国、台湾、イギリスを始め、さまざまな国々が興味を示してくださっておりますので、そうした関心国・地域に対して必要な情報提供あるいは加盟に向けての協力というものをしてまいりたいと思っております。

 おっしゃるように、アメリカのTPP復帰なのか、新しい加盟国への拡大なのかという議論もあるかもしれませんけれども、TPP11協定への新規加入につきましては、第5条に規定されているとおり、締約国と新規加入国・地域との間で合意する条件に従って加入してもらうことになります。最終的にいかなる条件で加入することになるかは、それぞれの候補国との交渉の結果、個別具体的に決まっていくものだというふうに思いますので、そうしたものが個別具体的に決まってきたその流れで拡大をしていきたいというふうに考えております。

 もちろん、アメリカのTPP11への復帰というのは我が国にとって関心事項でございますが、どれを今の時点で優先しようということではなく、TPP11の拡大に向けてしっかり努力してまいりたいというふうに考えております。

○井上(一)委員 

 あえて答弁を求めませんけれども、アメリカの復帰ということもあるかとは思いますが、大臣も言っておられるように、このTPPの戦略的意義、それから地域の平和と安定の確保などを考えると、ASEAN諸国とか、ポリネシアとかミクロネシアの太平洋島嶼国、こういった国々の参加ということを追求していく方が私はいいのではないかと思っております。これはあくまで私の意見です。

 最後の質問をさせていただきたいと思います。

 TPPは、日本企業の海外展開を促進するいい機会を提供してくれると思っております。

 例えば、平成29年の清酒の輸出数量は前年比で19%増で、過去最高と聞いております。私の地元の京都北部は、日本酒の酒造業が盛んで、おいしい酒もたくさんあります。今回の協定によりまして、カナダ、ベトナムといった国が日本酒の関税撤廃が行われるというふうになっておりますので、輸出増も期待されるということであります。

 この日本酒の酒造業のみならず、海外展開を目指す中堅・中小企業に対して、具体的に輸出拡大のためにどういう支援をしていくのか、伺いたいと思います。

○小林政府参考人 

 お答え申し上げます。

 TPP11のメリットが、これまで海外展開に取り組んでいない中小企業等を含め、全国津々浦々に行き渡るよう取り組んでいくことが必要と考えておりまして、経済産業省としましては、2つのアプローチで対策を講じていくということとしております。

 第一に、TPP11を新たな市場開拓のチャンスへと変えるため、TPP11を始めとする経済連携協定のメリットや利活用のための支援策について説明会を実施しており、中堅・中小企業に対しまして、引き続き丁寧な情報提供を行っていくということにしております。

 第二に、2016年2月に、中堅・中小企業の海外展開を支援するため、ジェトロが事務局となり、中小企業基盤整備機構、商工会議所、商工会、地域金融機関、地方自治体等の支援機関を結集し、新輸出大国コンソーシアムを設立したところでございます。

 これによりまして、市場情報の収集、計画策定から販路開拓に至るまで、さまざまな段階にある企業をきめ細かく支援しておるところでございまして、これまでも7,000社以上の企業が登録しており、成功事例も出てきているところでございます。

 また、先月、経済連携協定の進展を踏まえ、第4回の新輸出大国コンソーシアム会議を開催し、支援強化の方向性について議論を行ったところでございます。その中で、重点支援対象企業の拡大、伴走型コンサルティングサポートの強化、越境Eコマースの活用促進、地域レベルでの支援策の広報強化など、幅広い観点での支援策の強化を打ち出したところでございます。

 引き続き、中堅・中小企業の海外展開支援に積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

○井上(一)委員 

 積極的によろしくお願いします。

 どうもありがとうございました。

 

【 地域の行事や集会への参加 】

地域行事・ミニ集会・座談会などありましたら、お知らせください。
少人数の集まりでも、どこでも参ります。
皆様とお話しさせて頂くことを楽しみにしています。
ぜひ下記のお問い合わせからご連絡ください。

 お問い合わせ

PAGE TOP