国会活動

地方創生の評価、地方税と地方財政

〇第196回国会 衆議院 本会議 2018年2月15日(木)

○井上一徳

 希望の党の井上一徳です。

 まず冒頭、質問に入る前に、ここまでの予算委員会審議について一言申し上げます。

 森友学園の問題について、先週金曜日、数百ページにわたる文書が財務省理財局から国会に提出されました。遅きに失した対応に強く抗議します。
 麻生財務大臣が提出に向けて努力すると答弁された資料の全ての提出、そして佐川国税庁長官の証人喚問を強く求め、全容の徹底解明を果たしてまいります。
 また、昨日は、政府・与党が今国会の最重要テーマに掲げている働き方改革、裁量労働制について、総理から答弁の撤回とおわびがありました。精査が必要なデータをもとに、裁量労働者が一般労働者よりも労働時間が短いかのように長きにわたって主張してきたことは、長時間労働の拡大を懸念する方や、過労死によってとうとい命を失った方と御遺族の気持ちを踏みにじるもので、断じて認められません。法案提出の前に、これまでの議論における政府の認識を徹底的に検証することを強く求めます。

 それでは、希望の党・無所属クラブを代表しまして、ただいま議題となりました地方税法等の一部を改正する法律案、地方交付税法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。

 私の地元である京都府北部には、綾部市、伊根町、京丹後市、福知山市、舞鶴市、宮津市、与謝野町の5市2町があります。どの地域も、自然の宝、文化の宝、人の宝に恵まれたすばらしいところです。私は、ふるさと京都北部の発展のため、全力を尽くしてまいります。

 地域に豊かさが行き渡らない国を、豊かな国だと言えるでしょうか。安心して子育てもできず、老後も迎えられない国を、希望のある国だと言えるでしょうか。普通の豊かさを、全ての人が実感できること。当たり前に安心して、平和な明日を迎えられること。それは地味なようで、この国が見失ったもの。そう、今必要なのは、新しい日本の開拓です。そのために一つ一つの課題を地道に実現していく。それが、私たち希望の党の向かう未来です。これは、我が党の玉木代表の言葉です。日本各地に豊かさを実らせる、その思いで本日の質問をさせていただきます。

 安倍政権の看板政策である地方創生。地方に仕事をつくり、転出を抑え、地方の人口減少に歯どめをかける。出生率も上げていく。地方の視点から我が国の抱える課題を解決しようというすばらしい試みだとは思います。しかし、残念ながら道半ばと言わざるを得ません。
 2014年につくられた、まち・ひと・しごと創生総合戦略では、2020年時点で東京圏から地方への転出、転入を均衡させ、東京一極集中の流れをとめると宣言しております。

 ところが、先日の総務省の発表では、東京圏の超過数は、転入超過が、前年比で1,911人増、119,779人と、22年連続で転入超過となっています。その一方で、三大都市圏である名古屋圏と大阪圏はいずれも5年連続の転出超過となり、東京一極集中がより鮮明となってしまいました。
 まち・ひと・しごと創生法の第1条、つまり地方創生の目的には、「東京圏への人口の過度の集中を是正」と書かれております。にもかかわらず、この法律が制定されて以来、東京圏への入超はふえ続けています。地方創生の最大の指標である東京圏への人口流入がとまらない、つまりは地方創生が行き詰まっているということではないでしょうか。

 地方創生大臣に伺います。
 なぜ東京圏への入超がとまらないのでしょうか。これまでの手法を続けていても成果は出ないのではないでしょうか。成果が出ない原因をどのように分析されておりますか。

 また、総理の施政方針演説では、地方創生の新たな施策として、きらりと光る地方大学づくりを新たな交付金により応援すると述べられていました。これで具体的にどの程度、東京圏への入超を減らすことができるとお考えでしょうか。

 そして、2020年時点で東京圏から地方への転出、転入を均衡させるという総合戦略の目標は、達成できる見込みはあるのでしょうか。
 東京圏への転入超過がとまらないのは、法律に基づき、基本計画、総合戦略を国が定め、地方がそれに従えばお金を交付するというこれまでの中央集権的な手法が失敗していることを意味しているのではないでしょうか。

 新たな交付金はやめて、具体的な施策は地方に任せるべきです。国は、不足する予算を地方交付税等の一般財源で保障する。こうした分権的な手法をとるべきです。
 我が党は、先週、補完性の原理、財政自主権の明記、つまり地方分権や地方税、交付税などの一般財源の確保などを盛り込んだ憲法改正案を取りまとめました。まず国と地方のグランドデザインを描き、そこからスタートすべきだと考えております。

 総務大臣に伺います。
 地方所管の大臣として、これまでの地方創生の評価について伺います。
また、地方創生交付金ではなく、ひもつきではない一括交付金を復活させるべきと考えますが、いかがでしょうか。

 地方の創意工夫に任せ、財源をしっかり保障するのが我が党の考えです。まち・ひと・しごと創生事業費などにより一般財源総額を確保しつつ、臨時財政対策債を抑制するなど、平成30年度の地方財政計画は評価できる点もあります。地方税収が0.4兆円増加し、その分、地方交付税及び臨時財政対策債が減額されています。地方税収が着実にふえ、臨時財政対策債の発行が行われなくなることは望ましい姿でもあります。しかし、今後もこうした姿を続けることができるのでしょうか。

 総務大臣に伺います。
 昨年7月に発表された2016年度の決算では、地方税収は、前年度より0.1兆円の減少となりました。しかし、今回の地方財政計画で地方税収が増加するとした要因は何でしょうか。また、こうした増収は今後とも続くと見込んでおられるのでしょうか。

 平成30年度10月から、たばこ税が引き上げられますが、来年度の増収に含まれているのでしょうか。平年度ベースでどの程度の増収効果があるのでしょうか。
 骨太方針2015において、地方の歳出水準については、交付団体を始め地方の安定的な財政運営に必要となる一般財源の総額について、2018年度までに、2015年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保するとされており、そのとおり予算措置が講じられてきました。2019年度、つまり再来年度予算以降については、新たに方針を示す必要があります。

 麻生財務大臣は、先日の財政演説で、2020年度プライマリーバランス黒字化目標の達成は困難となりますが、プライマリーバランスの黒字化を目指すという目標自体はしっかり堅持します、この目標達成に向け、ことしの経済財政運営と改革の基本方針、骨太において、具体的かつ実効性の高い計画を示すこととしますと述べられております。

 麻生財務大臣に伺います。
 平成30年の骨太の方針において、一般財源総額の水準について具体的な方針を盛り込むつもりはあるのでしょうか。その際、一般財源総額の水準を維持するのか、削減するのか、現時点でのお考えをお聞かせください。

 その際、地方財政計画に計上されている、まち・ひと・しごと創生事業費1兆円枠について、平成31年度以降も継続させるべきだとお考えでしょうか。

 総務大臣に伺います。
 財源とされる地方法人課税の偏在是正措置については、消費税引上げの延期に伴い、平成31年10月まで延期されていますが、再来年度分の財源は確保できるのでしょうか。

 昨年来、財政制度審議会や経済財政諮問会議等において、直近10年間の地方の基金残高が1.6倍になっている点を捉え、これを取り崩し地方の財源とし、国の歳出を抑制しようとするかの議論が行われております。

 まず、総務大臣に、基金の現状及び必要性について伺います。
 株価が乱高下していますが、いつ景気が悪化し、地方税収が不足するかもしれません。また、公共施設等の老朽化対策なども必要です。こうした将来への備えとして基金が必要なのではないでしょうか。

 基金残高の増加を理由として地方交付税の削減を今後とも行うことがないか、財務大臣に確認いたします。
 地方のプライマリーバランスは黒字であり、国に比べてよいのだから、地方は国の財政再建に協力すべきとの議論も聞かれます。国のために地方財政を悪化させるというのは横暴な議論であり、地方創生に逆行するのではないでしょうか。もちろん、地方みずからが財源確保の努力をすべきことは言うまでもありません。

 税源の偏在性の是正については、地方法人税の創設などが行われてきましたが、一層の取組が必要です。基金の増加についても、平成18年度末から平成28年度末にかけて、基金残高7.9兆円増加のうち、2.7兆円分が不交付団体における増加でした。不交付団体への税源の偏在がこうした結果を生んでいるとも言えます。基金の削減ではなく、こうした偏在性の是正こそが必要です。

 平成30年度予算の不交付団体の水準超経費の増加額は、昨年度の3,600億円を大きく下回って300億円となっています。

 総務大臣に伺います。
 これは地方消費税の清算基準の見直しによるものでしょうか。偏在是正効果を含め、地方消費税の清算基準見直しについて、どのように評価しておられるのでしょうか。

 次に、固定資産税の特例について伺います。
 平成28年度に、中小企業等経営強化法に基づき、中小企業者が一定の要件の新品の機械を新たに取得した場合、固定資産税の課税標準額を2分の1とする特例措置が設けられました。これに対しては、地方から、償却資産に対する固定資産税は市町村の安定的な自主財源として定着している、景気対策の一環としての特別措置は国税など国の施策として対応すべきである、産業振興や地域活性化に取り組む市町村の自主財源を奪うことは地方分権に逆行するなどの反対意見が出されていました。

 我々も、国主導のこうした特例は地方分権に逆行する制度であり、地方創生のため自治体がみずからの意思で行う場合のみ認められるべきだと考えます。

 経済産業大臣に伺います。
 これまでの制度の適用実績はどのくらいあるのでしょうか。中小企業の生産性上昇につながり、法人税などの増収につながったのでしょうか。今回、この特例措置を廃止し、新たな特例措置を設けるとのことですが、一定の効果があったとの評価なのでしょうか。

 総務大臣に伺います。
 新たな制度では、分権に逆行するとの反対意見にどのように応えているのでしょうか。新たな特例措置により生じた固定資産税の減収分については、地方交付税により補填されるのでしょうか。

 幼児教育の無償化については、我々も賛成の方向で、党内の検討を行っております。この財源に関して、政令指定都市市長会、中核市市長会その他の3市長会から、国が進める幼児教育、保育の無償化については、地方自治体に財政負担を生じさせることなく、国の責任で着実に推進すること等の要望が提出されています。

○議長(大島理森君)

 井上君、時間が来ております。

○井上一徳

 (続)総務大臣に伺います。

 自治体の負担はあるのでしょうか。その場合の財源はどのように確保されているのでしょうか。
今後、更に地方の負担が増加することも想定されます。今年度すら、交付税特別会計の剰余金や平成28年度国税決算による精算額の繰延べなどにより何とか交付税額を確保しているのが現状です。現時点でプライマリーバランスの黒字は維持しているものの、平成29年度末見込みで約194.5兆円の長期債務残高を抱えており、さらなる財政の健全化が必要です。

 総務大臣に伺います。
法定率の引上げや新たな財源の確保など、地方財政制度の抜本的な改革が必要ではないでしょうか。
我々希望の党は、輝く地方をつくり上げるため、地方分権を進めるとともに、財源の偏在を抑えながら地方税の一層の充実を図り、地方財政の健全化を進める抜本的な改革を進めてまいります。
以上、私の代表質問といたします。

 御清聴ありがとうございました。

〔国務大臣野田聖子登壇〕

○国務大臣(野田聖子)

 井上議員にお答えします。

 まず、地方創生の評価についてお尋ねがありました。
これまでの取組により、全ての都道府県で有効求人倍率は一を超え、各地の景況判断も回復基調にあります。一方、いまだに地方からの人口流出が続いているのも事実です。

 地方での多様な働き方を可能にし、移住、定住を更に進める観点から、テレワークを推進するなど、あらゆる施策を活用して、関係大臣とともに地方創生に取り組んでまいります。

 次に、一括交付金についてお尋ねがありました。
御指摘のかつての一括交付金については、交付対象が各省庁の従来の事業に限定をされていたこと、事業を所管する省庁ごとに交付を申請しなければならず手続が煩雑であったことなどの問題点が指摘されたことから、平成25年度に廃止されました。
 こうした廃止の経緯も踏まえ、地方創生関係交付金は、各省縦割りではなく、地方公共団体が自主性、自立性を発揮できるような自由度の高い仕組みにしていると承知しています。

 次に、地方税収についてお尋ねがありました。

 今回の地方財政計画においては、個人住民税、地方消費税などにおいて、前年度の地方財政計画額を上回る税収を見込んでいます。これらは、政府経済見通しにおける雇用・所得環境の改善や民間消費の増加などを反映した国の税収見込み等を踏まえたものです。
 今後とも、地域経済の好循環の拡大に向けた諸施策をより一層推進することにより、地方税のさらなる増収が図られるよう取り組んでまいります。
次に、たばこ税の増収額についてお尋ねがありました。
 たばこ税については、高齢化の進展による社会保障関係費の増加等もあり、国、地方で厳しい財政事情にあることを踏まえ、たばこ税の負担水準等を見直すこととしています。

 平成30年度における地方のたばこ税収については、今回のたばこ税の見直しによる増収額210億円を含んでいますが、全体としては、販売本数の減少により減収となることが見込まれています。また、今回の見直しによる平年度の増収額は、1,182億円と見込んでいます。
次に、まち・ひと・しごと創生事業費についてお尋ねがありました。

 地方創生は、実際に取組を始めてからその成果が出るまでに一定の期間がかかることから、少なくとも、まち・ひと・しごと創生総合戦略の期間である平成31年度までは継続し、1兆円程度の額を維持できるよう努めてまいります。

 また、平成31年度においても、まち・ひと・しごと創生事業費を含め、地方団体が安定的に財政運営を行うことができるよう、必要な一般財源総額を確保すべく努力してまいります。

 次に、地方公共団体の基金についてのお尋ねがありました。
総務省が昨年実施した地方公共団体の基金の積立状況等に関する調査によると、地方公共団体の基金の残高は、平成18年度末と平成28年度末の比較で7.9兆円増加しています。

 この調査により、各地方公共団体は、行革や経費節減に努めながら、法人関係税等の変動や公共施設等の老朽化対策、災害など、さまざまな将来への備えとして基金の積立てを行っていることが明らかとなっています。

 このように、地方公共団体が歳入歳出の変動に対応する手段として、基金は必要なものであると考えています。
次に、不交付団体の水準超経費についてお尋ねがありました。

 不交付団体の水準超経費は、地方財政計画において、不交付団体の財源超過額に相当する額を歳出に計上しているものです。
 平成30年度においては、平成29年度普通交付税算定における不交付団体の財源超過額や地方消費税の清算基準の見直しを含めた地方税収の動向などを踏まえ、対前年度300億円の増加となる1兆8,400億円を計上しています。

 次に、地方消費税の清算基準についてお尋ねがありました。

 地方消費税の清算基準については、平成9年度に導入されて以来20年が経過しており、この間の社会経済情勢や統計制度の変化等を踏まえ、統計データの利用方法等を見直すとともに、統計カバー外の代替指標を全て人口とする抜本的な見直しを行うこととしています。

 この見直しによって、地方消費税の税収が最終消費地により適切に帰属することとなることに加え、結果として、税収の偏在性が更に小さくなるなど、あるべき地方税制の構築に資するものと考えています。

 次に、償却資産に係る固定資産税の特例についてお尋ねがありました。

 生産性革命の実現は政府の大きな政策課題であるとともに、地域経済の活性化は市町村にとっても大変重要な課題です。そのため、今回創設する特例は、現場の市町村が主体性を発揮することができる仕組みとしています。

 具体的には、市町村が主体的に作成した計画に基づく生産性向上に資する中小企業の設備投資について、固定資産税を最初の3年間減免する措置を創設することとしています。なお、減免の程度については、参酌基準を定めず、ゼロ以上2分の1以下の範囲内で条例で定めるものとし、市町村の主体性をより尊重する仕組みとしました。

 全国市長会等からは、今回創設する仕組みについて、全国一律の制度ではなく、市町村の主体性を尊重した仕組みであるとの評価をいただいております。

 次に、地方交付税による補填についてお尋ねがありました。

 今回創設する固定資産税の特例については、市町村が条例で定める減免の割合を用いて地方交付税の基準財政収入額を算定する予定です。このため、交付団体の場合、特例の適用によって減少した基準財政収入額は地方交付税で補填されることとなります。
 次に、幼児教育の無償化についてお尋ねがありました。

 昨年12月に閣議決定した新しい経済政策パッケージにおいて、幼児教育の無償化を進めることとしました。その財源については、国、地方を通じて、消費税率10%への引上げによる増収分などを活用することとしています。

 国と地方の役割分担や負担のあり方の詳細については今後整理していくこととなりますが、地方が、幼児教育の無償化を着実に実施しつつ、安定的な財政運営を行えるよう、財源確保に努めてまいります。

 最後に、地方財政制度の改革についてお尋ねがありました。
 地方財政は、平成30年度においても6.2兆円の財源不足が生じているとともに、平成30年度末の借入金残高は192兆円と巨額なものとなる見込みであり、財政の健全化を図っていくことが重要です。

 このため、今後とも、歳入面では、地域経済の好循環を一層拡大することなどにより地方税等の増収を図るとともに、地方交付税を安定的に確保することが重要です。あわせて、歳出面では、国の取組と基調を合わせ、めり張りをつけて歳出構造を見直すことで、財務体質の強化を図ってまいります。

〔国務大臣麻生太郎君登壇〕

○国務大臣(麻生太郎)

 井上議員から、3問お尋ねがあっております。

 まず、本年の骨太方針についてお答えをさせていただきます。
政府としては、本年の骨太方針において、プライマリーバランス黒字化の達成に向けて、具体的かつ実効性の高い、国民の信頼を得られる計画をお示しすることといたしております。

 計画の立案に当たりましては、経済再生との両立を図りながら、歳出歳入両面からの改革に毎年度継続して取り組めるよう、改革の方針や具体的な中身、工程をしっかり定めることが重要と考えております。

 こうした考え方に基づいて、地方財政も含めて検討を進めてまいりたいと考えております。

 次に、まち・ひと・しごと創生事業費についてのお尋ねがあっております。

 平成31年度以降のまち・ひと・しごと創生事業費のあり方につきましては、その時点におきます、まち・ひと・しごと創生総合戦略の取扱いなどを踏まえて検討させていただきたいと考えております。

 最後に、基金についてのお尋ねがありました。

 近年、地方団体の基金残高の増加が続いておりますのは御存じのとおりです。政府としては、毎年度赤字公債を発行して地方交付税を手当てしている現状を踏まえれば、国、地方を通じて財政資金の効率的配分につなげていくことが重要と考えておるところです。
 こうした観点から、引き続き必要な取組を検討してまいりたいと考えております。

〔国務大臣世耕弘成君登壇〕

○国務大臣(世耕弘成)

 固定資産税の特例措置についてお尋ねがありました。

 平成28年7月に施行した中小企業等経営強化法に基づき、経営力向上計画の認定を受けた中小企業に対しては、計画に基づく新規の設備投資を行う場合に、固定資産税を3年間、2分の1に軽減することとしております。

 平成29年12月末時点で約45,000者が経営力向上計画の認定を受けており、そのうち、認定計画に基づき新規の設備投資をした企業は31,000者に上ると推定され、約1.6兆円の設備投資が対象となっております。その多くが固定資産税の特例も活用しているものと考えられます。

 個別の企業の納税額はそれぞれの収益状況によって左右されるため、法人税を始めとする税収への影響を正確にお答えすることは難しいですが、固定資産税の特例措置を活用した企業のうち約75%が、固定資産税の軽減を受けることにより新たな設備投資を行うことができたと回答しているところであり、固定資産税の軽減は、生産性向上を通じて企業の収益向上等に貢献しているものと考えております。

 今国会に提出した新法においては、自治体の判断により、固定資産税をゼロにする新たな制度を導入することとしており、中小企業の生産性向上に向けた新たな設備投資をより強力に後押ししたいと考えております。

〔国務大臣梶山弘志君登壇〕

○国務大臣(梶山弘志君)

 これまでの地方創生への取組にもかかわらず、東京一極集中がとまらない原因についてお尋ねがありました。

 御指摘のとおり、東京圏への転入超過については近年約12万人で推移しており、東京一極集中の傾向が続いております。

 これまでのまち・ひと・しごと創生総合戦略に基づく地方での仕事づくりにより、地方においては、新規の若者雇用が創出されるなど一定の成果が出ております。しかしながら、全国的な景気回復が進む中で、東京圏でも労働需要は高く、地方圏からの転入者によって労働供給が賄われる状況となっており、地方圏から東京圏への転入超過の改善にまでは結びついていないと考えております。

 また、こうした人口移動の要因についてはさまざまな理由があると考えられますが、東京圏への転入超過数の大半を15歳から29歳が占めていることを見ますと、若い世代の大学への進学や就職が東京圏への移動の一つのきっかけとなっているものと認識しておりますので、政府としては、東京一極集中の是正に向けて、地方の魅力を生かした、きらりと光る大学づくりなど、若者の地方での修学、就業の促進、企業の地方拠点強化税制の拡充等による、地方における若者に魅力ある仕事づくりなどに取り組んでまいります。

 次に、新たな交付金がどの程度東京圏への転入超過を減らすことができるのかについてお尋ねがありました。

 新たな交付金は、首長のリーダーシップのもと、産官学連携により、地域の中核的産業の振興や専門人材育成などを行うすぐれた取組を重点的に支援するものであり、これにより、日本全国や世界じゅうから学生が集まるような、きらりと光る地方大学づくりを進めるものです。

 交付金の申請に当たり地方公共団体が策定する計画においては、当該計画の地域内における産業の雇用者数の増加数や、地元就職、起業数をKPIとして設定することを求める予定としております。

 こうした取組により、東京圏への転入超過数の大部分を占める15歳から29歳の若者について、地方への修学、就業が促進され、東京圏への転入超過の緩和に寄与するものと考えております。

 具体的にどの程度寄与するかについては、今後、地方公共団体が申請する個々の産業振興や専門人材育成等に関する計画を採択した後、事業を実施していく過程において検証をしてまいります。

 次に、東京圏から地方への転出、転入の均衡という目標の達成の見込みについてお尋ねがありました。
まち・ひと・しごと創生総合戦略の中間年に当たる今年度、地方創生の総点検を行った結果、2020年時点で地方と東京圏の転出入を均衡させるという目標については、地方創生の根幹的な目標であることから、見直しを行うべきではなく、一層の取組強化により達成を目指すべきとされたところであります。

 そのため、昨年末に閣議決定した、まち・ひと・しごと創生総合戦略に基づき、地方への新しい人の流れをつくるための施策の拡充に取り組んでまいります。
具体的には、日本全国や世界じゅうから学生が集まるような、きらりと光る地方大学づくりを始めとする若者の修学、就業の促進、企業の地方拠点強化税制の拡充等による地方における仕事づくり、加えて、地方への大きな人の流れをつくる抜本的な対策として、若者を中心としたUIJターン対策の抜本的な強化、これまでにない地方生活の魅力の発信、子供の農山漁村体験の充実等に取り組んでまいります。

 地方が元気でなければ日本は元気にならないとの考え方のもと、各地方がみずからの魅力、価値を発信し、さまざまな世代の人々が生き生きと暮らせるような地方の姿を実現していくために、引き続き、意欲と熱意のある地方公共団体に対し、情報支援、人材支援、財政支援の地方創生版三本の矢により支援をしてまいります。

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地域行事・ミニ集会・座談会などありましたら、お知らせください。
少人数の集まりでも、どこでも参ります。
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