○井上(一)委員
こんにちは。希望の党の井上一徳と申します。
質問をさせていただきます。
最初に、昨年、北朝鮮の弾道ミサイルの発射が続いておりまして、また今日では、首都直下の地震それから南トラフ地震など、こういった大規模地震の危険性が指摘されております。
そういう中で、緊急時において国から住民に瞬時に伝達するシステムである全国瞬時警報システム、Jアラートの重要性が増してきております。
政府がこのJアラートシステムを使って発信した情報が自治体に伝わると、防災行政無線が自動的に起動し、屋外スピーカーから警報が流れるほか、個人スマートフォンや携帯電話に緊急速報が配信される仕組みになっております。実際に、このJアラートについては、もう経験された方もたくさんおられるのではないかと思います。
残念ですが、ことしの1月16日に、NHKがニュースサイトや防災アプリで北朝鮮ミサイル発射の模様と速報を掲載し、5分後に職員が誤報だと訂正した事案があったと承知しております。
Jアラートは出ておらず、テレビ画面での速報通知はなかったとのことも承知しておりますが、なぜこういう事案が生起してしまったのかという原因と今後の再発防止策について伺いたいと思います。
○木田参考人
今回のミスは、テレビのニュース速報を送出する機器と同じ機器を使って芥川賞の速報をネットに配信しようとした際、緊急対応用にあらかじめ準備していたJアラートの速報を過って選択してしまい、それに気づかないまま配信してしまったというものでした。
再発防止策としては、1つ、機器の改修、2つ目、運用の改善、3つ目として、チェック体制の強化を行いました。
具体的には、1つ目は、ニュース速報の機器を改修し、Jアラートの速報を送出するときの機器と速報をネットに配信するときの機器とを分けました。2つ目として、ニュース速報を送出する機器の画面にJアラートの速報などをあらかじめ準備しておくことをやめました。3番目として、ニュース速報を配信する際に内容を確認する操作をもう一段階加え、チェック体制を強化しました。
今回のミスは絶対にあってはならない誤りであります。国民・視聴者の皆さんの信頼を裏切る事態を招いたことを深く反省するとともに、今後の運用に当たっては細心の注意を払って対応していきたいと思っております。
○井上(一)委員
ありがとうございました。
私自身は、このJアラートと先ほどのニュースサイトや防災アプリは自動的なシステムだと理解していたのですが、これについては今後どうなるのでしょうか。自動的なシステムになるのですか、それとも、手動でやるということになるのでしょうか。
○木田参考人
Jアラートにはいろいろな情報が、地震とか、あるいはこういう今回のような内容のものだけではなく火山であるとか豪雨であるとか、いろいろなものが含まれておりますので、気象の速報については、また、NHKとしては気象庁からいただくとか、ほかの方法も持っております。ですので、Jアラートが自動的にそのまま速報につながると、いろいろ重なってしまったり、いろいろするおそれがありますので、一旦チェックさせていただいてから放送ないしは配信するという形をとっております。
○井上(一)委員
いずれにしても、国民にとっては大変重要で、システム自体も非常に高い信頼性が求められると思いますので、その維持管理には十分な体制を確保していただきたいと思います。
会長には事前に通告しておりませんが、この重要性について一言コメントいただければと思います。
○上田参考人
お答えいたします。
先生御指摘のように、Jアラートというのはとても大事な情報でありますので、今後二度とこういった間違いがないように最大限注意を払って対応していきたいというふうに考えております。
○井上(一)委員
それでは、続きまして、放送法におきまして、NHKは、放送番組の編集及び放送に当たって、地方向けの放送番組を有するようにすること、我が国の過去のすぐれた文化の保存並びに新たな文化の育成及び普及に役立つようにすることが義務づけられると承知しております。これは、それぞれの地域の実情に合わせて充実した放送サービスを届け、地域に貢献することだと認識しております。
今、東京一極集中の是正に向けてまさに政府挙げて対策に取り組んでいると承知していますが、正直なかなかうまくいっていないと思っています。
NHKも、この地方の活性化にやはり大きく貢献していくことが求められるのではないかと思っています。そのためにも、地方局の体制を充実することが必要だと思っています。
NHKの平成30年度予算案を見させていただくと、地域放送番組費は前年比の7.6億円増の162億ということで、昨年度に比べたら手厚くなっているとは思いますが、全国放送番組費1,678億円の約10分の1ということでございます。
現在の本部と地方局の職員の配置の割合、それから、本部と地方局の番組制作の割合を、どのように将来的には方向づけようとしているのか、お答えいただきたいと思います。
○木田参考人
地域放送サービスの充実は、全国の視聴者に支えられる公共放送の責務であるというふうに考えております。
NHKでは、全職員の半数以上、これを地域の放送局に配置し、地域放送に必要な要員を確保しております。平成30年度の予定では、本部は47.6%、地方は52.4%という割合の予定でおります。
これまでも、要員の効率化に当たっても、地域の放送現場については削減数を抑制しつつ、地域放送のサービス充実に努めてまいりました。具体的には、平成20年度と30年度を比較すると、全体としては4.8%の要員を削減しているのに対して、地域の放送現場は0.6%の減という形で進んできております。
今後も、全国ネットワーク機能を維持しつつ、限られた経営資源を効果的に活用し、多様な地域放送サービスの充実に必要な体制を確保していこうというふうに考えております。
また、地域局の番組ですけれども、平成30年度は、全国に向けて地域の自然や文化の魅力、切実な課題などを積極的に発信し、各地域の視聴者の方々の期待に応えるサービスの強化を図っていこうと思っております。地域放送番組の放送時間の、これはまだ計画値ですけれども、平成30年度もテレビでは1時間30分程度を放送していこうというふうに考えております。
○井上(一)委員
様々な人から、地方局の職員が減って、イベントの取材も、NHKの方に来てくださいと言ってもなかなか対応できない状況にあると聞いておりますので、ぜひ地方に手厚く職員を配置していただきたいと思っております。
これの関連で、5年前の2013年度に新たに地域職員の制度を導入したと聞いております。地方局の発信力を高めるために地方に精通した人材を採用する制度だと思っていますが、まだ1割にも満たない人数だとも聞いております。
私としては、やはり地元の専門家をふやすことが重要だと考えておりますので、その拡充が必要ではないかと思っておりますが、この地方職員制度の内容、それから、今後の拡充の方向性について伺いたいと思います。
○根本参考人
お答えします。
地域職員につきましては、2014年4月からの制度の導入でございます。
NHKは、全国各地域の視聴者からの受信料で成り立つ公共放送として、地域に立脚した事業運営を推進していくことが重要な使命の一つと考えております。
地域職員は、地域に根差して地域の視聴者との結びつきを深め、地域サービスの向上に資する役割を担うことが重要な使命の一つであり、今後、採用数をふやしていきたいというふうに考えております。2019年度の職員採用におきましても、3月から地域職員の募集を開始しておりまして、一定数の地域職員を採用する予定でございます。
以上です。
○井上(一)委員
ありがとうございました。
ふやしていく方向性については理解しましたけれども、今1割にも満たない人数だと聞いておりますが、大体何割ぐらいにする計画か、今あれば教えていただきたいと思います。
○根本参考人
今、29年度時点で地域職員というのは90人程度、かなり少なくなっておりますけれども、2019年度の採用数といたしましては、30人以上を採用させていただきたいということで今計画を立てております。
最終的な目標数につきましては今検討しているところでございます。
○井上(一)委員
関係者の方からは働き方改革にもつながるいい制度だと聞いておりますので、ぜひ拡充をする方向で検討を深めていっていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、続きまして、次の質問です。
先日、16日に行われました放送記念日記念式典に、私も出席させていただきました。その授賞式があり、当初からロボコンに携わられました東京工業大学名誉教授の清水先生が放送文化賞を受賞されておりました。
NHKは、30年前の1988年にロボットコンテストを創設し、高専の学生がアイデアを競い合う様子を放送することで、物づくりを担う若者たちの教育、それから技術力の向上に大きく寄与してきたと思っております。私の地元舞鶴にも高専がございまして、この高専は昨年も出場し、15回目となる高専ロボコン全国大会に出場したということであります。今では高専のみならずアジア太平洋28カ国・地域が参加するまでになり、日本だけではなくアジア太平洋各国における技術者の育成にも大きく貢献していると聞いております。
このように物づくりを応援する姿勢については大変評価するものでございますが、NHKにおいて今後どういう形で物づくりを応援していこうとしているのか、伺いたいと思います。
○木田参考人
お答えいたします。
ロボコンは、若い人たちにロボットづくりを通してみずから発想することの大切さ、物づくりのすばらしさを共有していただくという趣旨で昭和63年に放送を開始し、ずっと継続してお伝えしてまいりました。
また、最先端の技術開発を社会の発展につなげようという取組の例として、今年度は「クローズアップ現代+」で「ロボット大国・日本の逆襲」というテーマで最先端のロボット開発の現場を紹介したほか、「探検バクモン」や「プロフェッショナル」などの番組でも工場を取材した番組を数多く放送しております。
引き続き、さまざまなジャンルの番組で、これからの物づくりを担う若い世代から熟練の職人まで広く取材し、さまざまな視点で日本の物づくりを取り上げていきたいというふうに考えております。
なお、先ほどの私の答弁で、地域放送時間を1時間半、総合テレビ1日1時間半とお伝えしましたが、2時間半の誤りでした。訂正させていただきます。失礼いたしました。
○井上(一)委員
引き続き、日本の物づくりの支援ということで、よろしくお願いしたいと思います。
NHKにおきましては、全国の放送局のネットワークを活用しながら、多様な自然、歴史、文化、人々の暮らしなど、それぞれの地域ならではの魅力を多く伝える番組を制作していると承知しております。NHKの大河ドラマ、それから朝ドラ、地方の新たな魅力を再発見するものとなり、観光資源の開発にもつながっております。
私の地元京都におきましても、本能寺の変で有名になりました戦国時代の知将であります明智光秀、それから光秀の娘である細川ガラシャなど、ゆかりの地でありますので、地元の福知山市、舞鶴市、綾部市、宮津市、京丹後市等々、多くの関係市町村が一体となって大河ドラマの誘致活動も行っております。
それから、綾部市にはアパレル事業で有名なグンゼがありまして、その創始者、波多野鶴吉と、その妻でありますはなの波乱万丈の生涯を広く紹介するために、朝の連続テレビ小説の誘致活動を行ったりしております。
こうした取組といいますのは、余り注目されていなかった魅力ある地域が多くの目に触れる機会がふえる、それによってまた地域の励みになると思います。地方の活性のためにも、NHKだからこそできるという取組を更にふやしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○上田参考人
お答えいたします。
NHKは、次期3カ年経営計画で、重点方針の一つに多様な地域社会への貢献を掲げ、地域の魅力や課題を広く発信することを目指しております。
放送で取り上げる地域につきましても、地方の大都市や著名な場所にとどまらず、全国的に余り知られていないような場所の魅力や課題も、さまざまな切り口で取り上げて発信していく所存です。
例えば、定点観測で人々の営みを見詰める、総合テレビの「ドキュメント72時間」や、全国各地の視聴者の思い出の地を自転車で訪ねる、BSプレミアムの「にっぽん縦断こころ旅」など、それぞれの番組ならではの切り口で地域を取り上げ、豊かな自然、文化、人々の暮らしを伝えてまいります。
また、地域向け放送では、総合テレビの夕方6時台のニュースや金曜午後7時半からの地域放送番組の内容を一層強化し、サービスの充実に努めてまいりたいと考えております。
○井上(一)委員
ありがとうございました。
こういった地方というか地域の魅力を伝える番組をより多く制作、放送することで、地域のみならず日本の魅力の発信につながっていくと思います。
そこで、この日本の魅力を発信していくという観点から、海外向け放送の現状、それから、今後より効果的に発信していくにはどういうような取組が必要と考えているのか、伺いたいと思います。
○木田参考人
日本各地の魅力を世界に発信することは、国際放送の重要な役割の一つだと考えております。
NHKワールドTVでは、旅、食、文化などの多彩な番組を通じて地域の魅力を世界に発信しており、特定の地域を取り上げた番組を一定期間で集中的に放送する特集編成も展開しております。
また、ニュースでも、地域放送局と連携して、毎年200本以上の地域関連企画を放送しております。
さらに、国際放送のキャスターが現地から伝える、キャラバンと呼んでおりますけれども、そういったような企画も昨年度からスタートするなど、拡充を図っております。
こうした番組の多くにつきましては、放送に加えてインターネットでのビデオ・オン・デマンドでも提供し、いつでもどこでも視聴できる環境を整えております。
今後は、こうしたコンテンツの多言語化、英語だけではなく、いろいろな言葉でそれが理解できるようにするなどの努力を推進するなどして、更に多くの視聴者に地域の魅力を届けてまいりたいというふうに考えております。
○井上(一)委員
質疑時間が終了いたしましたので、これで終わります。ありがとうございました。