国会活動

統計改革

〇第196回国会 衆議院 総務委員会 2018年5月17日(火)

○井上(一)委員 

 希望の党の井上一徳です。

 本日、統計法等の改正案について最後の質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 私は、統計法の審議に先立ちまして、新宿区にある総務省の第二庁舎に統計の研修にお伺いさせていただきました。野田総務大臣は1回のみならず2回伺われたと聞いております。まさにその場所で5年に1回の国勢調査を行っており、プレハブを建てて、多くの職員が出て作業に当たっておりますと聞きました。

 それから、千野統計局長からはよいお話を伺いまして、国勢調査というのは、選挙区の区割り、それから税金の配分のもととなっているということで、まさに民主主義の基盤そのものだということ、それから、米国では 10年ごとの国勢調査が憲法に規定されているということで、非常に重要な施策であるということも研修の際に教えていただきまして、その節はありがとうございました。

 また、その後、いろいろ御案内していただきまして、消費者物価指数のもとになる小売物価統計調査、これについては、全国800人の調査員の方々が日ごろから丹念にスーパー等に出向いて調査されているものを集計しているということもお聞きをいたしました。

 統計に携わる全国の多くの皆さんの日ごろの活動に改めて感謝を申し上げた上で、質問に入りたいと思います。

 初めに、先ほども申し上げましたように、2回も熱心に視察に伺われたという話も聞いておりますし、うわさでは、大臣の愛読書は「日本の統計」であると聞きましたが、大臣の統計に対するまず熱い思いを語っていただきたいと思います。

○野田国務大臣 

 井上委員にお答えいたします。

 まず初めに、視察をしていただきまして、まことにありがとうございます。

 そこにある資料館というのも大変興味深い施設でありまして、本当に、昔の資料から今日に至るまでの統計の歴史というのをつぶさにかいま見ることができまして、ますます統計が大好きになるという場所でございます。また一度、御一緒できればなと思いますが。

 今たまたま「日本の統計」の話が出ましたので、少し個人的な話になりますけれども、初当選したときに、私は、自民党の大先輩である竹下元総理に呼ばれまして指南を受けました。そのときに、あの当時は、女性は感情的である、そういう先入観を持たれているので、いい政策をつくってもなかなか、同僚議員たちに、女性がつくったものだからなというような、そういう取扱いを受けることは間々ある、そういうことで、まずはデータをもとに政策を示すことが大切なんだということを言われ、統計局が作成している、今先生御指摘の「日本の統計」という本に、しっかり勉強しましょう、竹下登とサインをしていただきまして、初当選のお祝いとしていただいたことが始まりであります。

 それ以来、この本を私的にはバイブルとして、とにかく統計データをもとに政策の議論を行うという姿勢を貫いてきたつもりです。

 統計によって、さまざまな関係者が同じ基準で物事を捉えて議論することができるわけです。また、今まで見えなかった事実もあぶり出すことができます。さまざまな統計を進める際に、関係者の理解を得るためには、統計の客観的な数値を示すことが、エピソードではなくやはりエビデンスということで、極めて効果的でありました。

 統計は、我が国の実情を映す鏡だとも思っています。

 日本は大正9年に国勢調査が始まりました。そして、直近の平成27年の国勢調査で初めて人口減少に転じました。一貫して人口は右肩上がりという国の体質が大きく変わり、今までとは違う、別人格になったということを統計データがしっかりと示してくれています。

 私は、少子化、人口減少こそがこの国の最大の危機とずっと考えていますが、こうした危機に的確に対処して、必要な施策を講じていくため、統計を通じて社会経済の実情を正確に把握することが、これまでの右肩上がりで富が十分あったときの時代と違う、これからの厳しい時代においては、まして重要になってくると思っています。

 さまざまな分野で活用されて、そして全ての人々にとって必要な統計は、精緻なものでなければならないし、わかりやすくなければいけないと思っています。

 今回の統計改革を着実に進めること、これによって、統計が社会全体の情報基盤としてその機能をよりよく果たせるよう、国民の皆様の的確な意思決定を支えていきたいと考えているところです。

○井上(一)委員 

 ありがとうございました。

 大臣のもとで統計の改革が行われているということを大変心強く思いました。

 それでは、統計改革の目的、それから課題について伺います。

 いろいろご議論ございましたので、なるべく重複のないようにお聞きしたいと思います。

 やはり統計はあらゆる政策の基礎となる重要なものですが、これまで、統計等が政策立案に十分使われていない、それから、これを推進する体制が不十分だということが議論されております。

 私も、データというのは資源であり、言うなれば、金の山、銀の山、そこから金それから銀を製錬していく、そういう作業に似ているのだと思います。たくさん山がある中で、どれが金の山か銀の山かを見つけるだけでも大変だと思いますし、それを更に製錬していく、こういう作業に似ているのではないかと私自身は思っています。

 これからエビデンス・ベースト・ポリシー・メーキングを推進していくということで、各府省にも総括審議官級の担当者を設置するということで、やはりEBPM推進委員会が重要な役割を担うということが、議論の中でもわかってまいりました。

 この総括審議官級の担当者、それからEBPM推進委員会の現在の整備体制について伺いたいと思います。

○白岩政府参考人 

 お答え申し上げます。

 まず、審議官の職、設置状況、ちょっと説明させていただきます。

 審議官は、各府省においてEBPM推進の取組を総括する、そして統計等データの利活用のモニタリングをし、統計等データへのニーズへの対応、国民からの照会等にも対応することも含めます、それから人材の確保、育成等に取り組むということがまずございまして、他方、委員御指摘のEBPM推進委員会のメンバーとして、各府省と横連携をとって政府全体としてのEBPMの推進に取り組むという者でございます。

 次に、御質問にありましたEBPM推進委員会の整備状況でございますけれども、これは昨年8月に、審議官の設置に先立ちまして第1回の会合を開きました。この4月に、先ほど来質問もございましたが、設置された総括審議官を正式のメンバーとする形でもう一度会合を開き、今後、適宜開催して、審議等、活動を進めていく方向でございます。

 以上でございます。

○井上(一)委員 

 私も役所にいたことがあるのでわかるのですが、形式的な会議を設けることはよくあります。そうならないように、実質的にまさに推進していくということでやっていただきたいと思いますし、できれば、事務局も設けて、しっかりやっていただきたいというふうに思います。

 それでは、続きまして、GDP統計に関しましては、G7の諸国では、産業連関表を抜本的に見直して、供給・使用表、SUTという体系にもう既に転換しているということで、日本もこのSUT体系に変えてGDPの精度を上げていくことが期待されていると言われています。

 ただ、有識者の中で言われているのが、まさに統計のいわばガラガラポン改革が必要になります、大改革ですということです。私も正直余りイメージが湧かないのですが、SUT体系に変えるというのはどういうことなのか、これによりどのようにGDPの精度が上がるのか、教えていただきたいと思います。

○長谷川(秀)政府参考人 

 お答え申し上げます。

 今議員お話ありましたSUTでございますが、SUTは、GDP統計を推計する際に用いられる統計表でございます。

 我が国では、現在、企業に対しまして、調査などさまざまな基礎統計を使って、最初に産業連関表を作成し、それをSUTというものに変換し、そこからGDP統計を推計しております。

 今般の統計改革におきましては、産業連関表を経由せず基礎統計から直接SUTを作成し、そこからGDP統計を推計する、SUT体系と申しますが、SUT体系に移行する予定でございます。

 SUT体系への移行によりまして、基礎統計から産業連関表、そこからSUTという、いわば2つのプロセスが1つに減るということになります。SUT及びそれをベースとして推計されるGDPの精度向上が図られることが期待されるところでございます。

 また、基礎統計とSUTの関係が明確になりまして、SUTの精度向上に必要な基礎統計の改善点が抽出されやすくなることから、その体系的整備によります将来的なSUT及びGDP統計の精度向上が期待されるところでございます。

○井上(一)委員 

 大改革と言われるのですが、大体いつぐらいまでにこの改革が終わるめどなんでしょうか。

○横田政府参考人 

 統計改革につきましては、政府といたしましても、昨年5月、統計改革推進会議の最終取りまとめ等に基づきまして、EBPMと統計の改革を車の両輪として一体的に推進するということで進めておるところでございます。

 EBPMにつきましては、先ほど来御指摘のございますように、推進体制を今整備しつつあるということ、それから、統計に関しましては、本年3月に、今後の改革工程表でございます公的統計の基本計画を閣議決定するということ、それから、あわせまして今般の法案を御審議いただくということで、今、着実に取組を進めているというところでございます。

 今後の見通しということでございますけれども、いずれにいたしましても、大変複雑な取組等も含んでございます。そういうことで、中長期にわたる継続的な取組が私どもは必要だというふうに考えておりまして、統計改革推進会議におきましても、引き続き、各府省等の取組を後押ししながら、それから改革の目的を達成できるよう、着実に進捗状況をフォローアップしていくということで進めてまいりたいと考えております。

○井上(一)委員 

 それでは、人材確保について質問をさせていただきたいと思います。

 先ほどの金山、銀山でいえば、どれが金の山か銀の山か、こういうのを見分ける目を持った人を育てる必要があると思っておりますが、特に、人材の質の確保については、改革推進会議の中でも有識者の方々が繰り返し強調されておりまして、統計に関する幅広い知識を持ち、統計調査の設計だけでなく、ビッグデータや因果関係の分析などに貢献できる人材を政府全体として育成する必要がありますというような御意見もありました。それから、創造的、クリエーティブな能力を必要とする分野に人材を配置することが統計改革に必要な条件であるという意見もございました。

 とにかく、こういった統計改革をやる上では、人材の質を高めなければならないという指摘は繰り返し述べられております。

 それから、人材の数につきましても、平成19年には5,000人おられた人が、今は1,895人まで減っているということでございます。

 この統計改革を進める上で、どのように人材の質、それから数を確保していくのか、教えていただきたいと思います。

○奥野副大臣 

 この統計法の改正というのは、きょうの議論を通じて皆さん方はおわかりだろうと思いますが、質の高い情報を国民の前へしっかり提示して、そして、国民になれ親しんでいただくというのが一つの目的である。さらには、それをうまく使いながら、我々サイドでEBPMを推進していく、充実したEBPMを推進しようじゃないか、こういう目的だろうと思います。

 そうすると、やはりそれを支える人材というのは、今御指摘のとおり、質の高い、仕事の能率の高い人たちを集めながら立派なデータをつくっていくということが一番大事なことだろうと思います。

 このため、政府では、統計改革の一環として、この4月に、政府全体を通じた統計人材の確保・育成方針というものを示させていただきました。

 今後、この方針にのっとって、計画的な人の採用、あるいはOJTや研修を通じた能力開発、それから外部専門家との交流を通じて、各府省における戦略的、重点的な統計人材の確保、育成を進めていくことをしなくてはいけない。それは地方にも波及する話だろうと思います。

 また、職員数について、今御指摘のとおり、昔は5,000人からいたわけでありますけれども、これが今2,000人程度になっている。これは、いろいろデータを整理していく上では、生産性を上げていく、効率化を追求するという中で減ってきている部分もありますけれども、データの充実度を上げていくという意味合いでは、おっしゃるとおり、質を上げていきながらできるだけ効率化をしていくということが大事なことだろうと私は思っております。

 そういう意味で、3月に閣議決定された公的統計基本計画において、「統計改革の実現に必要な統計リソースを計画的に確保する。」というふうに進めていきたいと思っております。

 平成30年度には、統計改革に関する定員として、各府省で全体で103人の増員をしたところであります。これは、5,000人に持っていこうということじゃなくて、必要最小限、ふやしていく必要があるものはふやしていこうじゃないか、こういうことで、そういう人員の増強も進めているところでありまして、各府省における統計リソースの計画的な確保を全省庁挙げて進めてまいりたいというふうに考えているところであります。

○井上(一)委員 

 ありがとうございました。

 では、最後の質問をさせていただきます。

 統計局等の和歌山県への一部業務移転についてお尋ねしたいと思います。

 政府として、東京一極集中を是正するために、政府関係機関の地方移転を進めるということで、平成30年4月1日に和歌山市内に統計データ利活用センターを開設したと承知しております。

 当時の高市総務大臣は、記者会見におきまして、関西圏における統計データの利活用やデータサイエンス人材の育成が進み、地域の課題解決や発展を促すというような認識を示しておられますが、現在、総務省としてどのようにお考えでしょうか。

○山田大臣政務官 

 お答えいたします。

 井上委員からお話がありました統計データ利活用センター、和歌山県にできておりますけれども、このセンターでは、先進的なデータ利活用の拠点といたしまして、統計ミクロデータ、いわゆる調査票情報の提供、そしてまた、統計データを活用した課題解決の取組の支援、そして、データ利活用に関する人材育成等を進めていくということにしております。

 委員からお話がありました、高市前総務大臣が述べておられました地方の課題解決、発展を促す、また地方創生の取組に成果を上げていくということについては、その方向で今後業務を進めてまいりたいと思っております。

 具体的には、統計データ利活用センターでは、和歌山県が設置しておりますデータ利活用推進センターというのが同じビルにありますけれども、こういった地方自治体との共同研究、あるいは優良事例の地方への横展開、さらに、地方における人材育成などを行いまして、地方創生に資する業務展開に努めてまいりたいと考えております。

 ありがとうございます。

○井上(一)委員 

 以上で終わります。ありがとうございました。

 

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