○井上(一)委員
きょう最後の質問をさせていただきます。
私は、持ち時間10分で、きょうは外務大臣も、終わった後、APECでパプアニューギニアに行かれる予定と伺っておりますので、太平洋島嶼国に関連して質問をさせていただきたいと思っています。
外務大臣は、所信表明の中で、重点分野の6つ目にインド太平洋諸島について言及されておりまして、「インド太平洋地域を国際公共財とすべく、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて取り組んでいきます。」とされております。
太平洋島嶼国は14カ国あります。外務省に資料をいただきました。この中でも重要性ということで幾つか書いておられまして、一つが地政学的重要性。豪州、ニュージーランドとのシーレーンに位置して、インド洋、南シナ海から太平洋へ抜ける非常に重要な拠点になっているということ。それから、天然資源としてLNG、石油等のエネルギー資源があるということで、特にLNGはパプアニューギニアから輸入をしており、日本の全輸入量の5%にも当たる。それから、カツオ、マグロの水産資源の供給地で、日本のカツオ、マグロ全漁獲量の4割も占めるということであります。それから、国連でも12票を持っているということであります。ここは台湾との国交を有している国も6カ国あるということで、やはり中国との関係を考えても戦略的に非常に重要な地域であると思います。
そこで、大臣、きょうもパプアニューギニアに行かれますけれども、太平洋島嶼国との連携強化についてどのように進めていかれるのか、御所見を伺いたいと思います。
○河野国務大臣
おっしゃいましたように、さまざまな資源、水産資源を含めた資源、あるいはシーレーンといったことを考えると、非常にこの島嶼国は戦略的に重要な地域でございますし、国連を始め、さまざまな場面で1票を持っているという意味からも、日本としてしっかり重視をしていかなければならないというふうに考えております。
こうした島国の中にも大使館を設置をし、今、実館で8つでしたか、ございます。今、余り大使館を速いペースで増設をしようとは思っておりませんが、島嶼国の中での、例えばバヌアツのようなところについては、少し今の事務所を格上げするというようなことを考えていかなければならないかなと思っております。
それからもう一つは、それぞれに大使がおりますが、島における日本のプレゼンスを高めるという意味で、太平洋の島嶼国を面で担当をする大使というものを専属的に任命をいたしましたので、それぞれの個別の国と日本をつなげるだけでなく、島嶼国を面でこれから日本として見ながら、島嶼国全体と日本、あるいは周辺の同志国とどのようにつながっていくかということをしっかり考えていきたいというふうに思っております。
○井上(一)委員
先ほど島大使の話がありましたが、非常にいいアイデアだと思いますので、これもやはり大臣のリーダーシップだと思います。
ぜひ太平洋島嶼国との連携強化をやっていただきたいと思いますし、先ほどから政府専用機の話が出ていましたが、太平洋島嶼国、移動を考えると非常に時間もかかると思いますので、私は、政府専用機というのは一つの有効な手段ではないかと思います。
それでは、次に中国軍についてです。中国軍は、太平洋に進出するなどの活動を活発化させておりまして、ことし四月には、太平洋上で、空母遼寧、これは外国産のワリャーグを改造した船と承知していますが、これから艦載の戦闘機が飛行し、また、5月には、中国でつくられた空母、国産の空母が初の試験運航をしたと承知しています。さらに、2隻目の国産空母を建造中というような指摘もあり、中国共産党幹部からは、将来的に少なくとも四隻の空母を保有するという発言もあると聞いております。
やはり、太平洋上の防空体制の強化が課題となってくると思いますが、今の防衛計画の大綱においても、重視すべき機能、能力として、太平洋側の島嶼部における防空体制のあり方についても検討を行うとしております。
私自身は、防空識別圏、ADIZの見直しを含めて、抜本的に太平洋側の防空体制を強化すべきと考えておりますが、今年度策定を予定している防衛計画の大綱や中期防衛力整備計画について、太平洋側の島嶼部における防衛に関してどのように対応されるのか、お考えをお聞きしたいと思います。
○原田副大臣
お答えをいたします。
防衛省といたしましては、太平洋側も含めまして、我が国周辺の海域において、必要に応じてP3Cや護衛艦等を柔軟に運用して警戒監視活動を行い、我が国周辺における事態に即応する態勢を維持しております。
他方、小笠原諸島など太平洋側の島嶼部は、これまで、固定式警戒管制レーダー等を含め、警戒監視に任ずる部隊を設置しておらず、いわば防空体制の面で空白地域となっております。
このため、現防衛大綱及び中期防においては、太平洋側の島嶼部における防空体制のあり方について検討を行うこととされており、さまざまな検討を行っておるところでございます。
その一環として、平成28年度から、部外委託により、レーダー等を設置するための適地に関する調査研究を実施しました。また、平成31年度概算要求においては、平成29年度補正予算に引き続き、硫黄島の地上レーダーを自動警戒管制システムに接続するための経費を計上しており、硫黄島周辺空域における警戒監視能力を向上させることといたしております。
我が国を取り巻く安全保障環境は、現在の防衛大綱の策定時に想定していたよりも格段に速いスピードで厳しさと不確実性を増しておるところでございまして、こうした状況を受け、本年度末までに新たな防衛大綱と中期防衛力整備計画を策定すべく、これまで防衛省を含む政府部内で精力的に検討を進めてきております。
太平洋側の島嶼部における防空体制のあり方につきましては、現時点で何ら決まったものではありませんが、一般的に、防空体制の強化として、警戒監視能力、情報収集能力、戦闘機部隊の展開能力、航空救難部隊の展開能力といった観点について検討していく必要があると考えております。
いずれにしましても、年末に予定されている防衛大綱の見直しや次期中期防の策定に向けて、引き続き検討してまいります。
○井上(一)委員
大使館の増設についてはもう先ほど大臣冒頭で触れていただいたので、防衛省にもう一点、防衛駐在官に関して質問させていただきたいと思います。
太平洋島嶼国には、今オーストラリアに3名の防衛駐在官がおりまして、ニュージーランド、パプアニューギニア、フィジーが兼轄となっております。
太平洋諸島では、さきの大戦で25万人が犠牲になられ、現在も多くの遺骨が眠っております。そういった遺骨収集事業や慰霊事業を進めていくため、それから防衛協力を進めていくためにも、太平洋島嶼国での防衛駐在官を設置した方がいいのではないかと思いますが、防衛省にお考えをお聞きして、終わりとしたいと思います。
○石川政府参考人
お答え申し上げます。
アジア太平洋地域における安全保障上の課題や不安定要因はより深刻化しており、太平洋島嶼国を含め、諸外国との防衛協力、交流は重要であると考えております。
防衛駐在官につきましては、現在、世界各地において、45大使館、2代表部に67名を派遣しており、このうち、太平洋地域においては、豪州へ三名派遣しております。また、この豪州の駐在官がニュージーランド、パプアニューギニア、フィジーを兼轄しておりますのは、委員御指摘のとおりでございます。
太平洋島嶼国を含め、防衛駐在官の派遣のあり方については、次期中期防に係る検討の中で、要員の確保、養成の観点も踏まえつつ、兼轄等のさまざまな選択肢も含め、必要に応じた適切な配置となるよう検討してまいります。
○井上(一)委員
終わります。ありがとうございました。