国会活動

各国の北極政策、燃料油汚染損害

〇第198回国会 衆議院 外務委員会 2019年4月17日(金)

○井上(一)委員 

 希望の党の井上一徳です。

 まず、北極海関連の質問をさせていただきたいと思います。

 質疑の中でも、「我が国の北極政策」として平成27年10月16日に総合海洋政策本部が決定したものがあり、その中で3つ、研究開発、国際協力、持続的な利用ということで、これを3本柱として取り組んでいるという話がございましたが、改めて、我が国にとっての北極の戦略的位置づけ、それから、海氷の減少に伴い、我が国に対してどのような影響があるのか、御説明いただきたいと思います。

○重田政府参考人 

 お答えします。

 日本の北極の戦略的位置づけいかん、こういうことでございますが、我が国は、北極の気候変動を極めて受けやすい地理的位置にありまして、また他方、アジアにおいて最も北極海に近く、その航路の利活用や資源開発など、経済的、商業的機会を享受し得ることから、北極政策は重要な政策課題と認識しております。これまで、民間のヤマルLNGプロジェクトに関連した北極海航路の利用など、取組の進展が図られてきております。

 委員御指摘のように、平成30年5月、昨年5月でございますが、閣議決定されました第3期海洋基本計画では、第1期、第2期と比べまして、この北極政策を独立した一つの重要な施策として位置づけております。研究開発、国際協力、持続的な利用に係る諸施策を引き続き重点的に推進してまいります。

○井上(一)委員 

 今の答弁の中で、やはり我が国は気象の影響も非常に受けやすいという話がございました。

 資料の27でつけておりますけれども、「北極海の海氷減少がもたらす初冬のユーラシアの低温」ということであります。

 お聞きしますと、こういった北極海の海氷減少は、日本における異常な気象現象を引き起こして、豪雪等が増加するのではというふうに専門家の方が言われているということをお聞きしましたが、この点について、もう少し詳しく気象庁の方で説明していただけますでしょうか。

○大林政府参考人 

 お答えいたします。

 北極海の海氷が日本の気象に与える影響につきましては、さまざまな研究が行われております。委員がお示しになったものはその一例でございまして、気象庁が開催しております異常気象分析検討会において報告されたものでございます。

 これは、冬季において、北極海の海氷の減少によってシベリア高気圧が強まり、これにより日本付近が低温となるという研究成果と承知しております。

 気象庁といたしましては、研究の進展を周知しつつ、一定の成果が得られたものにつきましては、当庁の業務に活用してまいります。

○井上(一)委員 

 いろいろな影響があるということで、この点についてはまた研究開発をしっかりやっていただきたいというふうに思います。

 それでは、この協定ですけれども、あくまでも公海漁業を防止する、制限をするという協定になっています。

 先ほど、南極については、いろいろ、南極地域の平和利用とか科学的調査等々、包括的な条約となっておりますけれども、この北極では、漁業に関する取決めに今のところ限定されているということで、漁業の規制のみで十分なのかどうか、この点についてお聞かせいただきたいと思います。

○山上政府参考人 

 お答えいたします。

 委員御指摘のように、陸地のある南極と違いまして、北極は海洋であるということで、まずは、基本的な法的枠組みとしては、国連海洋法条約の関連する国際法が適用されるわけでございまして、その上で、具体的な分野については、必要に応じて追加的に枠組みが検討されることになるということで、漁業の分野につきましては、まず北極海の沿岸5カ国がイニシアチブをとる形で、主要漁業国である日本などの五カ国に働きかけて、この協定、ルールづくりが進んできたという経緯がございます。

 しからば、では漁業以外はどうなのかということで、これは今後の協力の発展、それから実態の積み重ねというものが大きな影響を与えるんだろうと思います。

 現時点で、漁業以外に何か法的ルール、枠組みをつくろうとする動きがあるのかというお尋ねであれば、現在のところは承知しておりません。

 ただし、必要に応じ、今申し上げたような全体の枠組み、それから追加的な協力という枠組みがございますので、必要に応じて、漁業以外の分野でも枠組みが検討されることになると考えております。

○井上(一)委員 

 資料一で、平成26年版の防衛白書からとってきた地図を載せているんですけれども、ロシア、米国、カナダ等々、いろいろ北極海に関しては関係が深いということであります。それぞれの国について、北極海に対してどのような戦略的な意義を持っているのかということをお聞きしたいと思います。

 まず、ロシアにつきましては、2007年以降、長距離爆撃機による北極圏での哨戒飛行を再開したということ、それから、ここにコテリヌイ島というふうに地図で描いてありますけれども、ここに北洋艦隊の艦艇が資材を運んで、ここにある飛行場が再開され、そして海軍の航空部隊が北極海航路上の哨戒飛行を強化しているというようなことであります。

 まず、ロシアにとって、北極海の戦略的位置づけ、これはどうなっているか、教えていただきたいと思います。

○齊藤政府参考人 

 お答え申し上げます。

 北極圏国であるロシアは、安全保障や資源開発を含む経済の側面から北極に高い関心を有していると承知しております。

 本年2月には、極東発展省が北極圏開発を担当する極東・北極発展省に改編され、先週には、プーチン大統領出席のもと、我が国を含む関係国を招いた国際北極フォーラムを開催しております。特に、経済面においては、北極圏に位置するヤマル半島のLNGプロジェクトを推進し、2017年2月には、同半島より初めてLNGを出荷したと承知しております。

 また、氷の減少を背景に、北極海航路の潜在性に関心が集まっていることから、沿岸国として北極海航路の整備に注力しているものと承知しております。

○井上(一)委員 

 同じように、次に、中国の北極政策について聞きたいと思います。

 この審議の中でも、氷上のシルクロードを建設するという話がございました。2015年には、中国艦艇五隻が、北極海と太平洋の間にあるベーリング海、ここに艦艇を出したということで、将来的に北極海に進出する足がかりにしているのではないかというような話もありますけれども、中国の北極政策、これについて伺いたいと思います。

○安藤政府参考人 

 お答え申し上げます。

 中国は、1990年代半ば以降、北極調査を本格化しておりまして、とりわけ近年におきましては、北極圏諸国との首脳外交の展開、あるいは国産の砕氷船の建造といったことを進めております。昨年1月には、中国として初めての北極政策に関する白書を発表するなど、積極的に北極に進出する動きを見せていると承知しております。

 こうした中国の北極政策の動向につきましては、我が国としても日ごろから注視しているところでございまして、中国の関連動向について引き続き情報収集してまいりたい、このように考えております。

○井上(一)委員 

 最後に、アメリカについても聞いておきたいと思います。

 2016年の12月に、オバマ大統領は、海洋資源を保護するために北極圏の大半などにおいて新たな石油、天然ガスの掘削を禁止する決定をしたということでしたが、トランプ大統領になって、このオバマ大統領の決定を覆す大統領令に署名したというような状況です。

 アメリカが北極海についてどのような戦略を持っているのか、教えていただきたいと思います。

○鈴木(哲)政府参考人 

 お答えいたします。

 アメリカにつきましては、2013年、オバマ政権のときでございますけれども、北極圏国家戦略を策定しております。同戦略において、1つ目には安全保障上の利益の増進、2つ目には北極圏の責任ある管理、3つ目には国際協力、この3つを柱として北極に取り組んでいくことを明記しております。

 また、アメリカは、北極評議会、あるいはアメリカが立ち上げました北極科学大臣会合、これに積極的に参加をすることによって、関係国とともに、北極における持続可能な開発、それから環境保護といった課題の解決に向けて取り組んでいるものと承知しております。

○井上(一)委員 

 それぞれ、ロシア、中国、アメリカ、いろいろな考え方を持って北極海に対して向き合っていると思いますけれども、やはりこういった大国は国益をかけてぶつかり合うという可能性も考えられますので、先ほどの「我が国の北極政策」についても、安全保障の観点も踏まえて、ぜひ取り組んでいただきたいというふうに思います。

 次に、燃料油汚染損害の民事責任条約、これについて質問をさせていただきます。

 まず、タンカーの場合は、油流出によって、国際条約で、独自の責任限度額を設定した上で、その賠償が不十分なときは補償基金による補償がなされるということになっております。他方で、本条約では、責任制限ということで、タンカーのような基金も存在しないので、十分な補償とならない可能性もあるのではないかというふうに考えられますけれども、この条約で十分対応が可能となっているんでしょうか。

○鈴木(秀)政府参考人 

 お答え申し上げます。

 タンカーによる油汚染損害については、確かに、汚染規模は極めて甚大となることが多いことから、例外的に、油汚染損害の民事責任条約において、独自の責任限度額を定めた上で、船舶所有者による賠償のみでは被害額を補填できないことを想定し、国際基金による補償の枠組みが定められているところでございます。

 他方、タンカー以外の船舶による燃料油汚染損害については、責任限度額を超える規模の汚染損害を生ずること、これは非常に少ないということから、IMOにおける条約交渉の場において、CLC条約や基金条約のような特別の枠組みを設ける必要があるということの議論にはならず、現行の枠組みとなったものでございます。

○井上(一)委員 

 そういう可能性は少ないということではありましたが、やはり、絶対ないかといえば、そういうことはないと思うんです。

 もし、この責任制限では対応できない、地方自治体の負担がどうしても出てしまうというようなときに、政府としてその自治体に対して何らかの支援があるのかどうか、お答えいただきたいと思います。

○鈴木(秀)政府参考人 

 お答え申し上げます。

 タンカー以外の船舶による燃料油汚染損害については、先ほど申しましたように、責任限度額を超える規模の汚染損害を生ずることは少ない。しかし、例外的な事例が発生したこともあることは事実でございます。

 例えば、2008年に明石海峡で発生した船舶三隻の衝突事故では、地元自治体が沈没船舶から油の抜取りを実施し、責任限度額を超えるような負担が発生したと承知をしております。

 この件につきましては、沈没した船舶の所有者からは、当時の責任限度額に相当する約1億7千万円が賠償されました。しかし、それを超える部分につきましては、地方自治体に対する国による補助として、国庫補助金7億円、特別交付税5億円が支出されたというふうに承知をしております。

○井上(一)委員 

 やはりそういう可能性もあるので、政府としてしっかり支援をしていただきたいということを申し上げ、質問を終わりたいと思います。

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