○井上(一)委員
希望の党の井上一徳です。
きょうは、前回に引き続いて、自衛隊の地位協定について質問したいと思いますが、その前に、新聞記事で横田基地について幾つか出ていましたので、これについて事実関係を聞いておきたいと思います。
これは毎日新聞の記事ですが、政府は、2020年東京五輪・パラリンピックに向けて首都圏の空港の発着数をふやすために、在日米軍横田基地の臨時的な軍民共用化を米国に打診したということで、米国は検討する姿勢を示している、米側に恒久的な横田基地の軍民共用化を水面下で打診した、しかし、米側が軍用機の運用が制限されるとして慎重姿勢を示したため、臨時措置とする案に切りかえたと書かれています。その後、各紙が、在日米軍司令官が今、日米間で調整を進めているというような報道もありました。
こうした報道の事実関係、それから米側とどういう交渉を行っているのか、大臣に御説明いただきたいと思います。
○河野国務大臣
アメリカ政府は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの成功に向けて政府を挙げて協力するとしており、今般の2プラス2の閣僚会合においても、日米間で引き続き緊密に協力する意図を確認をしたところでございます。
お尋ねの横田飛行場の軍民共用化のあり方についても、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催を控えて、さまざまな考え方があることは承知をしております。日米間でこのオリンピック・パラリンピックの成功に向けていかなる分野で協力を行うのか、また、かかる協力に関する協議がどこまで進展しているのかなどについては、米側と調整をしている最中でございますので、個別にお答えすることは差し控えたいと思いますが、いずれにしろ、東京オリンピック・パラリンピックの成功に向けて、関係省庁や東京都と連携し、適切に対応してまいりたいと思います。
○井上(一)委員
ぜひ、恒久的な横田基地の共用化、それから、前から求めておりますが、横田空域の全面返還についてもしっかり米側と協議をしていっていただきたいと思います。
それでは、自衛隊の地位協定について質問させていただきます。
4月12日に、この件で大臣から、これは米軍と自衛隊の相手国における滞在の目的、性格が違うわけですけれども、そういう違いを踏まえて、また、防衛省・自衛隊のニーズがどのようなものがあるかということも勘案しながら、自衛隊のいわゆる地位協定については十分検討していくべき課題だという旨の御答弁がございました。
それで、防衛省・自衛隊に対しまして、自衛隊が米国領土内で訓練などを行う際のニーズに関してどのようなものがあるか、お聞かせいただきたいと思います。
○鈴木(貴)大臣政務官
お答えをさせていただきます。
自衛隊員が米国を訪問する例としては、共同訓練、留学を含む教育のための派遣、装備品の試験の実施、連絡調整や情報収集のため等の派遣があります。
これらを実施するに当たり、これまで、訪問部隊の地位協定がないことにより支障が生じたことがあるとは現状では認識はしておりません。
他方で、これらの訪問における人員の展開や装備品の輸送をより容易とすることを含め、自衛隊の活動の円滑化に資するような方策としてどのようなものがあり得るかについては、防衛省としても、一つの課題である、このように認識をしております。
○井上(一)委員
豪州とも部隊の訪問協定、今交渉を進めているということですので、やはりこれはしっかり進めていく必要があるのではないかと思っています。
これまで自衛隊が米国領土内で公務中に、自衛隊員が事件、事故を起こした事案があるか、そして、その場合にどういう対応をしたか、教えていただきたいと思います。
○石川政府参考人
お答え申し上げます。
お尋ねの自衛隊員が米国領土内において公務中に事件、事故を起こした事案についてでございますけれども、これは極めてまれなケースではございますけれども、例えば1989年、30年前でございますけれども、航空自衛隊パイロットが米国内で飛行訓練中に放送施設に損害を与えた事案があるというふうに承知をしております。
米国領土内で自衛隊が起こした事故等への対応につきましては、個々の事案の具体的事情を踏まえ、米国及び関係機関と調整を行い、適切に対応しているところでございます。
○井上(一)委員
公務中に自衛隊員が米国領土内で事件、事故を起こした場合において、外務省のこれまでの説明を踏まえると、一般に、軍隊の性質に鑑み、その滞在目的の範囲内で行う公務について、受入れ国の法令の執行や裁判権等から免除されるということですので、自衛隊員が米国の領土内で起こした事件、事故についても、同じような考え方で、この米国の法令の執行や裁判権等から免除される、こういう考え方でよろしいでしょうか。
○船越政府参考人
お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、一般に、受入れ国の同意を得て当該受入れ国内にある外国軍隊及びその構成員等は、個別の取決めがない限り、軍隊の性質に鑑み、その滞在目的の範囲内で行う公務について、受入れ国の法令の執行や裁判権等から免除されていると考えておりまして、こうした考え方は国際的に広く共有されていると理解しております。
その上で、一般に、受入れ国の同意を得て当該受入れ国内にある外国軍隊及びその構成員は受入れ国の法令を尊重する義務を負いますため、自衛隊が米国において訓練等を実施する場合にも受入れ国である米国の法令を尊重する義務を負っていると考えております。
○井上(一)委員
日本政府はそういう考え方だとは思うのですが、これは米国政府も当然そういう認識だと考えておいてよろしいでしょうか。
○船越政府参考人
米国政府が公式見解を対外的に明らかにしているとは承知しておらず、我が国として、アメリカの立場についてお答えする立場にはございません。
他方、いずれにいたしましても、我が国といたしましては、一般に、受入れ国の同意を得て当該受入れ国内にある外国軍隊及びその構成員等は、個別の取決めがない限り、軍隊の性質に鑑み、その滞在目的の範囲内で行う公務について、受入れ国の法令の執行や裁判権から免除されているとの考え方は広く共有されていると認識しているところでございます。
○井上(一)委員
私は、日本政府はそう考えているとしても、米国政府は本当にそう考えているかは確認してみないとわからないと思いますので、米側と協議すべきだと思っています。
そういう意味で、自衛隊の地位協定については、自衛隊側のニーズもあるわけですから、これはしっかり協議を開始すべきだと思いますが、外務省、どうでしょうか。
○河野国務大臣
前回もお答えしたとおり、検討に値する課題というふうに認識をしております。
○井上(一)委員
そこは検討に値する課題で終わらずに、米側としっかり、先ほどの考え方でいいのかどうかも含めて、確認をしておくということが大切です。これからますます自衛隊の部隊が米国で訓練するケースがふえてくるわけですから、その場合に、万が一、事件、事故があったときに、米側との間で認識の違いがあったら問題になりますから、今すぐにでも米国と協議を進めるべきだと思います。重ねて御答弁をお願いしたいと思います。
○河野国務大臣
検討に値する課題だと認識しております。
○井上(一)委員
今の話を聞いていると、検討に値する課題だということは、直ちに米側と協議をする考えはないということでよろしいのでしょうか。
○河野国務大臣
この問題は検討に値する課題だと申し上げております。
○井上(一)委員
同じような答弁の繰り返しになりますが、私は、検討に値する課題でとどまらず、米側と協議を速やかに開始すべきだということを申し上げて、終わりたいと思います。
ありがとうございました。