国会活動

国民投票運動のCM規制

〇第198回国会 衆議院 憲法審査会 2019年5月9日(木)

○井上(一)委員 

 希望の党の井上一徳です。

 参考人の皆さんについては、お忙しい中御出席いただき、ありがとうございました。

 今、憲法改正の国民投票運動CMに関してですけれども、私たちの立場も、表現の自由は最大限尊重されるべきで、仮に規制が行われるにしても、必要最小限に行われるべきというのが基本的な立場です。

 それで、この問題は順番に議論していった方がいいと思うんですけれども、まず、実態上、特定の広告主、主体というのが、CM枠を、独占的という言葉がいいのか、集中的にというのか、ある一定の時間に集中的に使うことができるのかどうか。もし仮にできるんだとすると、それを規制すべきなのかどうなのか。それで、規制する必要があるとするのであれば、実効性のある規制はどうやったらできるのか。順番に議論していく必要があるんじゃないかと思っています。

 それで、最初の、特定の広告主がCM枠を集中的に使用する、独占的というのは、なかなか朝から晩までずっとやるというのは想定しにくいというのはそのとおりだと思うんですけれども、ある時間集中的に特定の広告主が広告を打つ、そういうことはできるのかどうか、ちょっとお伺いしたいと思います。

○田嶋参考人 

 国民投票運動の期間が始まりますと、国民投票に関係するCMの出稿をお受けすることになります。その間は、日常的な商品やサービスの広告をお受けしながら、先ほど申し上げましたように、これが番組の意見なのではないか、あるいは放送している放送事業者の意見なのではないかといった視聴者の誤解なども避けながら、放送の具体のタイミングをはかっていくということをやってまいります。

 そういうことを考え合わせますと、そもそもCMの総量の自主規制もかかっておりますし、過去七十年の民放の実績を振り返りましても、先生が仮にとおっしゃいましたような集中するようなケースは起こらないのではないかというふうに私どもとしては認識しております。

○井上(一)委員 

 テレビコマーシャルは二種類あるというふうに承知しておりますけれども、タイムCMですね、要は番組にスポンサーがついているもの。それからスポットCM、これは番組と番組の間に流されるCM。

 タイムCMの場合は、スポンサーがついていますので、これはある程度長期間契約するわけですから、そこにある特定の広告主が広告を打つということは非常に難しいと思うんですけれども、スポットのCMの場合は、事前に大手の広告代理店がある程度枠を押さえていて、それで、広告主の方からここで打ってほしいと言われたら、広告を打つ。

 そうした場合に、お金のあるところがスポット枠を、大手広告代理店の持っているものをもらう、その間に集中的に広告を打つ、こういうことがやはり考えられるんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○田嶋参考人 

 特定の放送枠に集中をしないようにCMを出していくというような御説明をさせていただきますと、ただいま御質問をいただきましたように、では限られたスポット枠の取り合いになるのではないかという更問いをいただくことが多うございます。

 ただ、これも繰り返しの申し上げになりますが、日常的な通常の商品やサービスの広告主がおられる時間帯に、それを整理をさせていただいて、区画整理をして、国民投票のCMについて限られた上限の中で放送させていただくという、これが広告会社のお仕事でもございますが、そういうことが起こります。

 ただ、あくまでも、広告会社がもう既に先に枠を持っているから、そこに裁量で国民投票運動CMだけが差しかわるだろうという実務は、私どもの日常的な感覚からすると想定のできないところでございます。

 以上です。

○井上(一)委員 

 わかりました。

 ただ、やはり国民の間にはそういう点について疑念があるのではないかというふうに思います。

 それで、これについて、では規制するかしないかということについて、これはお尋ねするのは違うと思いますのでちょっとそこはおいておいて、仮に規制するとした場合に、量的規制は実務的には非常に難しいということを以前御説明いただいたと思いますけれども、量的な規制の難しさ、これを御説明いただきたいと思います。

○永原参考人 

 お答え申し上げます。

 量の賛否を同じ時間とるべきだという案が具体的に市民団体の皆さんが出していますので、これを一つ例として考えると非常にわかりやすいと思うんです。

 憲法九条について、自民党さんが新たに三項を加えて自衛隊の存在を明記するという発議案を御検討されているやに、報道を見ておりますとあります。これがもし、賛成CMが一団体だけでして、発議に反対するCMが一団体だけでしたらば、市民団体さんが皆さん言っているように、二分、二分、同じ時間帯に同じCMを流すということは理論上は可能なんだと思うんですが、仮に、反対の立場が三つの立場からCMの出稿要請があった場合どうするかということがございます。

 一つは、石破先生がいらっしゃいますが、きちんと国防軍と明記すべきだという立場からの反対意見、これも恐らく、国内の憲法九条の議論の中にございます。また、自衛隊は既に国民に定着しているので一項、二項で十分である、これも恐らく国民にかなり浸透している意見かと思います。また、憲法学者を中心に、違憲であるという立場の反対論もございます。

 そうすると、改正賛成の発議が二分間、一つの団体、それに対して、反対の立場で三つの団体から意見が出てきたときにどうするのかという問題が発生します。

 イギリスのEU離脱の際は、たしか選挙委員会という、下院が指名して、有識者で、一団体に絞って、二団体は流せないというふうにしたということがございます。もしそうしますと、三つの意見、出稿を一つだけ採用して、二つ流さないといった場合は、この流さないとなった二つの表現の自由はどうなるのか。

 あるいは、では同じ二分の中に三つの意見を入れましょうとなれば、四十秒ずつとなります。そうしますと、賛成発議のCMが二分間流せて、反対のCMは四十秒しか流せない。八十秒の機会を奪うということとなります。

 これは、実務におろすと、市民団体の皆さんの案というのは非常に難しい問題が発生するんじゃないだろうか。こういうことを考えていくことが恐らくこれから非常に大事になるんだろうと思っております。

 以上です。

○井上(一)委員 

 私も、そうすると、広告主である政党あるいは政治団体、そこがどういうようなルールをつくっていくかというのが基本的には大事じゃないかなということを申し述べて、御質問を終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

PAGE TOP