国会活動

NHKの地域との連携、4K・8K衛星放送の普及

〇第198回国会 衆議院 総務委員会 2019年3月19日(火)

○井上(一)委員 

 希望の党の井上一徳です。

 よろしくお願いします。

 きょうはNHKの予算について質問したいと思います。通告はしていないのですが、きょうの議論を聞いていて、やはり、NHKの不偏不党について、本当、大丈夫なのかと思っておられる国民の方はいらっしゃるのではないかと思うんです。私は、NHKは絶対に不偏不党であるべきで、絶対に守っていただきたいと思っています。これはもう強く求めたいと思います。

 会長には、通告をしていないのですが、不偏不党について、職員を徹底的に指導してもらいたいと思います。会長、この点について、どう思われますか。

○上田参考人 

 お答えいたします。

 NHKといたしましては、放送法にのっとり、番組編集の自由を確保して、公平公正、不偏不党、自主自律を貫くことが、視聴者から信頼されるかどうかの生命線であると考えております。

 国民の知る権利に応え、特定の利害に左右されることなく、意見が対立している問題は多角的に取り扱うなど、基本的な姿勢を堅持することが重要と考えており、これからも、この認識を常に持ち、業務の執行に当たってまいりたいと考えております。

○井上(一)委員 

 職員の指導をぜひ徹底していただきたいと思います。

 それでは、予算に関連いたしまして、受信料の引下げに伴いまして、来年度予算では、事業収支が30億円の赤字となっています。2020年度予算でも215億円の赤字、そして収支見通しでは、2021年、2022年と赤字が続いて、ようやく2023年度では黒字を確保する見通しだと聞いておりますが、具体的にこの黒字を達成するためにどういうような計画をお持ちでしょうか。

○上田参考人 

 お答えいたします。

 事業収支につきましては、受信料値下げ等により減収となりますけれども、公平負担の徹底などにより、増収の確保に努めてまいります。

 事業支出は、一層の業務改革の推進などにより経費の削減を行い、一定の適正な水準におさめるよう厳正に管理してまいります。

 これにより、事業収支差金は、2022年度までの間マイナスが続く見込みでありますけれども、2023年度には黒字に転換すると見ております。

○井上(一)委員 

 これから徹底的な経費削減に努めるということになろうかと思いますが、総務大臣からも、聖域なく徹底的に経費節減に取り組むことを強く求めるということで、これからさまざまな検討が行われてくると思います。私が、ぜひお願いしたいのは、地域の放送局にしわ寄せが来ることがないように検討していただきたいと思います。この点については以前も質問させていただいて、職員の半数以上が地域の放送局に勤務しているということで、これはしっかり配慮してやっていくと聞いております。改めて、地域の放送局にしわ寄せが行かないように検討をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○上田参考人 

 お答えいたします。

 地域放送サービスの充実は、多様な地域社会への貢献として経営計画の重点方針の一つに掲げ、地域改革に積極的に取り組んでおります。NHKの全国ネットワークを生かしながら、地域の魅力や課題を広く発信し、地域に寄り添う放送サービスの強化を図っていくことが重要であると考えております。

 31年度の地域放送サービスの予算は、地域改革を更に進めるため、ブロック経営の推進に取り組むことなどによりまして、30年度から12億円の予算を増加させております。

 以上です。

○井上(一)委員 

 地方にしわ寄せが行かないように、引き続きよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、続きまして、NHKの大変重要な使命であります大災害時を始めとする緊急時の対応について質問をしたいと思います。

 NHKの京都放送局では、東日本大震災に当たる3月11日に京都府内のコミュニティー放送局加盟の放送五局と、大規模な災害が発生した場合にNHKの非常災害ニュースの情報を利用できる覚書を締結したということで、非常にいい取組だというふうに思っております。

 大規模な災害が発生した際の情報提供はNHKとして極めて重要であると会長もいつもおっしゃっておりますが、特に高齢者、それから視聴覚障害者、特にこれからは外国人といった方々を含めて、あらゆる人々に迅速かつ正確な災害情報が届くということが必要であると思います。

 現在、NHKとして、どのような取組を行われているか、聞かせていただきたいと思います。

○木田参考人 

 お答えいたします。

 外国人や障害者、高齢者などの方々への災害時の情報提供は、公共メディアとして極めて重大な課題だと受けとめております。さまざまな取組を進めております。

 例えば、テレビのL字画面に、台風などへの注意を英文で表示したり、NHKワールドの英語サイトに誘導するQRコード、これを表示したりしております。

 昨年九月の北海道胆振東部地震の際には、総合テレビの映像に英語の同時通訳をつけて、NHKワールドの英語サイトなどを通じて情報を伝えました。

 また、総合テレビでも副音声での2カ国語放送の充実強化に努めております。

 聴覚障害者の方々のためには、特設ニュース等にすぐ字幕を出せる体制を午前七時から深夜零時まで組んでおります。字幕付与ができない時間帯には、文字スーパーやL字放送で情報を伝えております。

 今後も、さまざまな伝送路を活用して、災害時の情報提供を充実させていきたいというふうに思っております。

○井上(一)委員 

 私は、先日、NHKの放送技術研究所に伺いまして、いろいろお話を伺いました。

 その中でも、AIを活用して、災害時の情報提供などさまざまな取組をしていることを聞きましたが、今後、どういう点に力を入れてそういった技術研究をやっていくのか、教えていただきたいと思います。

○児野参考人 

 お答えいたします。

 NHKでは、人に優しい放送技術の研究に取り組んでおり、高齢者や障害者、外国人も含め、誰もが災害時に生命を守るための放送サービスを受けられるようにするなど、情報のバリアフリーに向けた研究開発を進めています。

 現在は、より多くの番組に字幕を付与するための音声認識技術、CGによる手話アニメーションの自動生成技術、外国語での情報発信に向けた自動翻訳などの研究に取り組んでいます。

○井上(一)委員 

 引き続きそういった面での技術研究を進めていっていただきたいと思います。

 その際に、研究所に伺った際に、議論でもありました4K、8Kについても説明していただき、私も、4K、8Kテレビを実際に視聴をさせていただきまして、本当に臨場感があふれ、まさに、今までの映像や音響とは違う、異次元の体験をさせていただきました。

 それで、昨年12月1日からこの4K、8Kの衛星放送が始まったばかりですが、まだ余り知られていないのではないかと思います。今後、この4K、8Kの普及に向けてどのような取組を行っていかれるか、お聞かせいただきたいと思います。

○坂本参考人 

 お答え申し上げます。

 4K、8Kの本放送、去年の12月から始まりましたけれども、電子情報技術産業協会、JEITAによりますと、受信機出荷台数の予測として、東京オリンピック・パラリンピックが開催されます2020年には、4Kテレビ、4K対応テレビの累計が1300万台を超えるというふうに見込んでおります。また、8Kは2022年までにおよそ50万台が普及するとしております。

 NHKでは、より多くの視聴者の皆様に4K、8Kの新しい価値を提供できますよう、魅力的なコンテンツを充実させるとともに、総合テレビを始めとする放送やホームページなどを通じまして、視聴方法を丁寧に説明し、放送の普及に努めてまいりたいと考えております。

 新たなサービスの魅力に触れていただくために、大画面によりますパブリックビューイングなどについても効果的に実施をしてまいりたいと考えております。8K放送を受信するには、衛星の左旋の波に対応した受信設備が必要であります。普及に向けた取組は、総務省の4K・8K推進のためのロードマップに沿いまして、関係者オール・ジャパン体制で取り組んでいるところです。

 今後とも放送サービス高度化推進協会、BS民放、ケーブルテレビ事業者、受信機メーカー等と連携をとりながら、放送番組の周知広報、受信環境の整備のお問合せなどにきちんと対応してまいりたいと考えております。

○井上(一)委員 

 4K、8Kを普及させようとすると、私は、衛星放送のみならず、やはり地上放送をやっていく必要があるのではないかと思います。いろいろな技術的課題も多くあるとは聞いていますが、どういう課題があるのか、教えていただきたいと思います。

○児野参考人 

 お答えいたします。

 NHKでは、総務省の委託研究の一部を受託しまして、平成28年度から30年度にかけて、4K、8K映像を地上波で放送するための技術に関する研究開発に取り組んでまいりました。この委託研究では、現行の地デジ方式の特徴を継承しつつ、映像データを圧縮する技術の改善や、現状よりも大容量データを伝送する無線伝送技術の研究開発を行ってきました。

 この成果を実証するため、東京と名古屋において実験試験局を整備し、野外における伝送実験を実施して、一定の成果を得ることができました。

 今後の課題としましては、情報量の多い4K、8K映像を地上波で放送するためのさらなる映像圧縮技術の開発や、さまざまな地形において電波を安定して送信、受信する、そのための技術などの研究開発を進めていく必要があろうかと思っております。

○井上(一)委員 

 いろいろ技術的な課題がありましたが、総務省としても、4K、8Kを普及させていくということは考えておられると思います。総務省として、4K、8Kの普及に向けてどういうような取組をされているか、お聞かせいただきたいと思います。

○佐藤(ゆ)副大臣 

 お答えいたします。

 まず、昨年12月1日に新4K8K衛星放送が開始されたわけでございますが、4K、8Kは、超高精細で立体感、臨場感あふれる映像によりまして、国民・視聴者に対してこれまでとは全く別の次元の視聴体験を提供するというものでございます。

 新4K8K衛星放送の普及に向けてでございますが、対応受信機等の受信環境整備と、そして、4K、8K放送ならではのコンテンツの提供という、いわばハードとソフト両面での取組の一体的な推進が必要であるというふうに考えております。

 まず、対応受信機についてでございますが、昨年の秋以降、各メーカーからチューナー内蔵テレビ等が順次発売されておりまして、商品ラインナップが充実しつつございます。今後、こちらの方の普及が加速することをまず期待したいというところでございますし、また、コンテンツにつきましては、既存のコンテンツのリメークも可能ではございますが、やはり撮影、編集等、全ての制作プロセスを4K、8K対応機材で行うことで一層高精細映像が実現できる、いわゆるピュア制作コンテンツですとか、あるいは4K、8Kチャンネルでしか視聴できないオリジナルコンテンツの拡充が大きな鍵を握るというふうに考えております。

 なお、高精細な4K、8Kの映像でございますが、実は放送以外でも、例えば医療分野での内視鏡やセキュリティー分野での防犯カメラなどを通じた診断や認証にも有効でございまして、さまざまな産業活用を通じた市場の拡大によって、まず、4K、8K関連製品の今後の低廉化が期待される。

 そして、総務省といたしましては、こうした産業面での4K、8K技術のICT活用の普及拡大にも取組をしつつ、放送におきましては、引き続き関係者と連携をしながら、新4K8K衛星放送の魅力や視聴方法に関する周知広報活動を強化してまいりたいと存じます。

○井上(一)委員 

 4K、8Kは、非常に情報量も多いですので、私は、災害が起こった場合の映像伝送に使うと非常にいいのではないかと思っておりまして、防衛省もきょう来て頂いておりますので、そういったヘリの映像伝送装置に、4K、8Kの技術を応用してもらうことはどうかという質問をしようと思いましたが、時間が押していますので、その質問は飛ばします。

 それから、先ほどの地方を大事にしてほしいという観点から、幾つか質問させていただきたいと思います。

 平成31年度の総務大臣意見の中でも、地方の創生の観点から、地域の関係者と連携することにより、多様な自然、歴史、文化、人々の暮らしなどそれぞれの地域ならではの魅力の紹介、地域経済の活性化に寄与するコンテンツについて、その充実や国内外に向けた積極的発信に一層努めることとあります。

 総務委員会でも、私、地域おこし協力隊について質問をしたのですが、地域おこし協力隊の皆さんの意見などを聞きながら、連携をとって、地域の魅力をぜひ発信していただきたいと思うのですが、この点についてNHKの御意見を聞かせていただきたいと思います。

○木田参考人 

 お答えいたします。

 NHKの経営計画では、NHKが追求する六つの公共的価値の一つとして、地域社会への貢献を位置づけており、3カ年の重点方針でも多様な地域社会への貢献を掲げ、地域の魅力や課題を広く発信し、多様な地域社会に貢献することを目指しております。

 2019年度の国内放送番組編集の基本計画でも、編集の重点事項の一つに、「全国の放送局と本部がしっかりと連携して、地域社会に貢献」ということを明記して、地域社会では、地域に暮らす人の視点から、役立つ情報、関心の高いテーマ、固有の課題などを積極的に取り上げ、全国放送では、豊かな自然、文化、人々の営みなど、地域の魅力を広く発信することとしております。

 地域おこし協力隊については、地域をテーマにしたニュースや番組でたびたび取り上げており、今後も取材していくことになるものというふうに考えております。地元に根づいて地域の活性化に貢献している人たちとも広く連携して、情報をいただきながら、地域の放送サービスの充実に努めてまいりたいというふうに考えております。

○井上(一)委員 

 大河ドラマもありましたが、来年は「麒麟がくる」ということで、京都の北部の皆様は、大変楽しみにして、期待しております。

 これは何回も会長にはお願いしているのですが、京都北部には、いろいろ、明智光秀とか細川ガラシャ、細川幽斎に関連する、史跡、名勝がたくさんありますので、ぜひ地域を盛り上げるためにもロケーションを多くのところでやっていただきたいというお願いを何回かしております。これについて改めて会長のお話を聞かせていただきたいと思います。

○上田参考人 

 お答えいたします。

 「麒麟がくる」、この大河ドラマの撮影はまだ始まっておりませんけれども、ドラマのロケ地は、企画内容や予算規模、場面や設定にふさわしい風景、交通の便、地域からの要望など、さまざまな要素を総合的に勘案し、番組制作部門が決定いたしております。

 いろいろな地域からさまざまな御要望をいただきますが、今挙げましたような観点から、引き続き総合的に検討してまいりたいと考えております。

○井上(一)委員 

 時間が来たので終わりますが、あと、京都北部に綾部市というのがありまして、そこはグンゼの発祥地で、波多野鶴吉さん、はなさんが創業者でいます。綾部で朝ドラの誘致活動も行っておりますので、その点についてもぜひ伝えておきたいと思います。

 じゃ、これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

 

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