○井上(一)委員
希望の党の井上一徳です。
まず、冒頭に、墜落したと見られています航空自衛隊F35Aのパイロットが無事に、そして一刻も早く救出されるということを心よりお祈りしたいと思っております。
それでは、質問に入らせていただきます。
本日は、東京一極集中是正を中心に質問をさせていただきたいと思います。
これについては総務大臣にも、質問いたしまして、大臣も、危機意識を持ってやっていかないといけないという話でありました。
資料にもおつけしておりますが、転入超過が続いておって、更に最近になって加速化しているような感じもしております。
2014年に総合戦略をつくりまして、2020年に転入転出を均衡させるという目標を立ててやったわけですが、2014年以降、転入の方がふえて、2018年には、2017年が11万9779人だったものが13万5600人ということで、かなりふえているわけです。
こういうことで、2020年の目標は正直かなり難しいと思います。まず、2017年から2018年に大幅にふえていますが、これについて、政府としてどのような分析をされているか、お伺いしたいと思います。
○丸山(雅)政府参考人
お答え申し上げます。
まず、東京圏への転入超過数は、日本人移動者で見て、2013年に約10万人、2014年に約11万人、2015年から2017年まではおおむね12万人程度で推移し、2018年は13・6万人となっております。
東京圏における転入超過につきましては、従来から、その大半を10代後半や20代の若者が占めておりまして、進学、就職が大きなきっかけになっていると考えてきたところでございます。
2018年の東京圏への日本人移動者の転入超過数は、前年に比べて1・6万人程度増加いたしましたが、その内訳を見ますと、転入者数が1・0万人程度増加、転出者数が0・6万人程度減少となっております。
具体的には、おおむね全ての年齢階級で転入超過数が増加し、特に20代の若者の転入超過数が大きく増加しております。また、女性の転入者数が男性に比べて大きく増加しており、愛知県や大阪府といった大都市や、茨城県や静岡県、栃木県といった東京圏近郊からの転入超過数が増加となっておりますことから、20歳代や女性の転入超過の増大、大都市や東京近郊からの転入超過が多いといった、ここ数年見られてきた傾向が更に強まったものと分析いたしております。
○井上(一)委員
先ほど申し上げたとおり、2020年の転入転出を均衡させるという目標は、正直かなり難しいと思いますし、実現不可能だと思います。
この目標を見直すことになろうかと思うのですが、まず流れを大きく変えていかないと、転入転出均衡に向けて動かないと思います。この2020年の目標見直しに当たっては、原因をしっかり分析して対策も立てる必要があると思うのですが、2020年の目標改定に向けてどのように取り組まれるのか、教えていただきたいと思います。
○辻政府参考人
お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、現行の総合戦略におきまして、2020年時点で東京圏から地方への転出入を均衡させるという目標を掲げてございますが、その達成は大変厳しい状況にございます。
このため、議員御指摘のとおり、一極集中の要因を十分分析した上で、その是正に関する目標設定と対応方策を検討する必要があると認識してございます。
過度な東京一極集中の是正に向けまして、これまで、きらりと光る地方大学づくりやUIJターンによる起業・就業者の創出など、多岐にわたる施策に取り組んできており、これからは順次本格的な施策の効果があらわれるものと考えておりますけれども、今後とも、要因分析をしっかり行った上で、さらなる施策の充実を図る必要があると考えております。
このため、第1期の総合戦略の検証と、第2期に向けた推進の両面から検討する有識者会議を開催し、議論を深めているところでございます。有識者会議での議論等を踏まえつつ、しっかりと分析を行い、第2期の総合戦略においても過度な東京一極集中の是正に向けた目標を掲げ、引き続き全力で取り組んでまいりたいと考えております。
○井上(一)委員
資料2でつけています。世界の巨大都市人口ランキングということで、これは東京のみならず関東大都市圏となっているわけですが、それでも全世界的に見ると1位となっています。2030年も引き続き1位になるだろうという予想がされております。
私は、大企業を地方に移転していく必要があるのではないかという観点から質問をさせていただきたいと思います。資料2の上の方を見ていただきますと、都市別グローバル企業本社所在数ということで、東京については占有率が72・6%となっています。全世界的に見ると首都圏に大企業が集まっている傾向は見受けられるんですが、ニューヨークとかを見てみますと、グローバル企業が占有率は13・6%ということで、非常に抑えられた数字になっているわけです。そういうことで、我が国としても、首都圏に集中する大企業の本社を移転させていく必要があるのではないかと思っております。
そういった流れの中で、例えば小松製作所について言うと、平成14年、平成23年に本社機能を石川県の小松市に移したとか、YKKグループも本社機能の一部を富山県の黒部市に移転した、それからアクサ生命保険も機能の一部を札幌市に移したとか、そういった流れが出てきてはいるのですが、全体的に見るとまだ大きな流れになっているという状況にはないと思います。
本社機能移転を大きな流れにしていくということで、政府としてもいろいろ取り組んでいると聞いておりますが、この本社機能移転の促進のために取り組んでいる今の状況を教えていただきたいと思います。
○鎌田政府参考人
お答えいたします。
地方で安定した良質な雇用を創出し、東京一極集中を是正する観点から、企業の本社機能の地方移転、また地方での拡充を促進する地方拠点強化税制を平成27年度に創設したところでございます。
本制度におきましては、企業が本社機能を東京23区から地方へ移転する場合ですとか、地方の本社機能を拡充する場合に新増設する建物などの取得価額や、本社機能に従事する雇用者の増加数に応じて減税措置を講じているところでございます。
○井上(一)委員
私も、地方拠点強化税制ということでやっていると説明を受けました。ただ、地方拠点強化の件数は目標では7500件、それで雇用者数も4万人ふやすというような目標を立ててはいたのですが、実際には目標値からはるか下回る304件にとどまっているということでございます。
税制について言えば、オフィス減税ということで、企業は地方に移転した方が得になるという税制にはなっていないと思います。もっと、地方に移転した方が企業としても得するというような魅力的な税制に抜本的に変えていく必要があるのではないかと思いますが、この点については政務の方からお答えいただきたいと思います。
○中根副大臣
お答え申し上げます。
東京の一極集中、これを是正する観点から、企業の本社機能地方移転、また、地方での拡充を進めていくこと、これは極めて重要なことだと認識しております。
こうした観点から、企業の本社機能の地方移転及び拡充を地方拠点強化税制、支援しているところでありますが、これは地方自治体からも大変期待が大きいわけでございます。
そういった観点から、引き続き、本制度を広く周知しまして、企業の本社機能移転を促進するとともに、今後、経済界を含めた関係者の意見や、第2期のまち・ひと・しごと創生総合戦略策定に向けた検証等を踏まえながら、先生おっしゃっていただきましたこのメリットの関係も含めて、制度改正の必要性も含めて検討を進めてまいりたいと考えております。
○井上(一)委員
この地方強化税制は平成31年度で日切れになると聞いておりますので、延長していただくことは当然として、制度改正の必要性も含めというよりは、制度改正は必要であると思いますので、抜本的に大胆な税制改正をぜひやっていただきたいと思いますが、この点について強い決意をお聞かせいただきたいと思います。
○中根副大臣
ありがとうございます。お答え申し上げます。
先ほどもお話ししたように、この制度を更に広く周知しまして、経済界というと経団連とか日商とか同友会などありますが、そういった方々のいろいろと意見も踏まえまして、第2期のまち・ひと・しごと創生戦略、今つくっているところでございますから、その策定に向けた検証等を踏まえて、先生おっしゃったように、やはり企業が地方に行くためのメリットがない、低いという状況ではなかなか目標に達しないわけでございますから、その点、そして、今回の5年間の目標、先ほどKPIのお話もいただいたと思いますが、そのあたりのこともしっかりと踏まえた中で検討を進めてまいりたいと思っております。
○井上(一)委員
ぜひよろしくお願いしたいと思います。
それでは次に、中央省庁の移転についてお聞かせいただきたいと思います。
文化庁が京都に移るということで、今着々と進んでおりますが、文化庁の移転も含めて、中央省庁の地方移転の現在の状況について御説明いただきたいと思います。
○高橋政府参考人
お答え申し上げます。
中央省庁を含む政府関係機関の地方移転の取組は、平成28年3月の政府関係機関移転基本方針、同年九月の「政府関係機関の地方移転にかかる今後の取組について」を、まち・ひと・しごと創生本部において決定し、これに基づき取組を進めているところでございます。
具体的には、文化庁の京都移転は、遅くとも2021年度中を目指すとされる本格移転に向けて取り組んでいるところでございます。
また、消費者庁につきましては、同庁が徳島県に消費者行政新未来創造オフィスを開設し、消費者政策の分析、研究、実証実験等のプロジェクトを集中して実施しており、これを同オフィスの恒常的な設置、規模の拡大に向けた試行としても位置づけ、平成31年度を目途に検証、見直しを行うこととしております。
総務省統計局につきましては、昨年四月に和歌山市に統計データ利活用センターを置き、統計ミクロデータの提供業務等を実施しております。
その他、特許庁、中小企業庁、観光庁、気象庁については、地方支分部局等の体制整備を行い、具体的な取組を進めております。
今後とも、関係省庁、地元と連携しつつ、取組を着実に進めてまいりたいと考えております。
○井上(一)委員
ぜひ、引き続き頑張ってやってほしいと思います。
加えて、中央省庁だけではなくて、研究機関それから研修機関についても地方移転を進めていくということで、今政府の方としても進めていると思いますが、この進捗状況についてもあわせて教えていただきたいと思います。
○高橋政府参考人
研究機関、研修機関等の地方移転につきましては、研究機関、14機関、33案件、研修機関、10機関、17案件について具体的展開を明確にした年次プランを国と地方の関係者の協力により作成し、平成29年4月に公表し、これに基づいた国と地方の関係者による取組が進められているところでございます。
年次プランに予定されている拠点の設置や共同研究の開始、研修等については、既に八割以上が実施されており、例えば研究機関では、山形県に一部移転した国立研究開発法人国立がん研究センターが、山形県や鶴岡市と、がん等の病気の早期発見のために期待される新技術に関する共同研究を実施しております。また、研修機関では、富山県に一部移転した独立行政法人医薬品医療機器総合機構が海外の薬事行政官対象の医薬品審査研修を実施しております。
それぞれの機関がプランに沿って取組を進めている中、対象機関と地域企業の共同研究が始まるなど、既に移転の取組の成果が得られつつあることから、これらの動きが地域イノベーションの進展などにつながるよう取組を進めてまいりたいと考えております。
○井上(一)委員
先日の総務委員会でも地域おこし協力隊について伺いまして、大臣も8000人に充実していくということでしたが、いろいろ勉強してみると、地域おこし企業人という制度もあると聞いております。
まず、地域おこし企業人という制度の概要と実績についてお聞かせいただきたいと思います。
○佐々木政府参考人
お答えいたします。
平成26年度より推進している地域おこし企業人交流プログラムは、地方公共団体が、3大都市圏に所在する企業等の社員を一定期間受け入れ、そのノウハウや知見を生かし、地域独自の魅力や価値の向上等につながる業務に従事してもらうプログラムでございます。
具体的には、3大都市圏に所在する企業等の社員を、定住自立圏に取り組む市町村や条件不利地域を有する市町村が6カ月から3年間受け入れるものでございます。
その間、例えば、マーケティング技術を生かした観光客の誘致や最新ICTノウハウを生かした地域産業の活性化など、企業で培われた人脈やノウハウを生かしながら、地域の活性化に効果的、効率的に取り組んでいただくものでございます。
総務省としては、派遣元に、企業に対する募集、PR経費などの企業人の受入れの期間前に要する経費、企業人受入れに要する経費、企業人が発案、提案した事業に要する経費について特別交付税措置を講じているところでございます。
これまでの実績は、特別交付税の算定ベースということでございますが、平成26年度は22人、受入れ自治体17団体でしたが、毎年度着実に増加しており、平成30年度は70人、受入れ自治体56団体と、取組が広がってきているところでございます。
○井上(一)委員
今取組は広がっているということでありましたけれども、地元でもなかなか知っている人が少ない制度ではないかと思います。こういった地域の活性化につながるような制度は、さまざまな方々に周知して、知ってもらうということが非常に大事だと思います。ぜひ地域おこし協力隊と同じような形で大臣も力を入れてやっていただきたいと思うのですが、この点について大臣のお考えを聞かせていただいて、質問を終わりとしたいと思います。
○石田国務大臣
議員御指摘のように、持続可能な地域社会の構築、これに向けまして民間企業のノウハウを取り入れていくということは非常に重要でございまして、地域おこし企業人のさらなる推進を図っていくためには、制度の周知をこれまで以上に行っていく必要があると考えております。
このため、本年度予算におきまして、初めて地域おこし企業人官民連携推進事業を計上いたしました。
この事業によりまして、地域おこし企業人受入れに係る課題を把握、分析するとともに、企業人受入れや派遣による市町村、企業双方のメリット、企業における人材派遣の意義や自治体との連携の可能性などをこれまでの実例から収集をいたしまして、企業や自治体職員を対象とした会議や研修会などの場におきまして、広く周知してまいりたいと考えております。
また、地域おこし企業人受入れに要する経費の特別交付税措置を、本年度より350万円から560万円に引き上げることといたしておりまして、この制度をより一層推進し、持続可能な地域社会の構築につなげてまいりたいと考えております。
○井上(一)委員
ありがとうございました。