国会活動

NHKの常時同時配信と民間放送

〇第198回国会 衆議院 総務委員会 その1 2019年5月14日(火)

○井上(一)委員 

 希望の党の井上一徳です。

 きょうは、3人の参考人の先生方に貴重な御意見を賜りまして、本当にありがとうございました。私も幾つか質問をさせていただきたいと思います。

 いろいろちょっと勉強してみると、世界各国の放送体制というのは、基本的には公共放送と商業放送で成り立っているということですけれども、ヨーロッパの国は、最初は公共放送から始まって、商業放送が認められたのは1980年代以降ということであります。基本的には、だから、まずは公共放送があって、商業放送がある。アメリカの場合は、また逆に、商業放送が主体で、公共放送が認められたのは、これは後で認められて、後でやっている。

 ということで、ヨーロッパ型、それからアメリカ型、あると思うんですけれども、他方では、公共放送しかないところも当然ありますが、ちょっとそれはおいておいて。

 日本は、戦後は公共放送と商業放送が並立した形で成り立ってきたというふうになっておりますけれども、いわゆる、私はこの日本の二元体制というのは国民の間にかなり定着しているんではないかと思っているんですけれども、日本の二元体制における意義と、今度の放送法の改正がこの二元制に影響を与え得るのか否か、どのようなインパクトがあり得るのか、それをちょっと3先生方にお教えいただきたいと思います。

○宍戸参考人 

 御質問ありがとうございます。

 委員御指摘のとおり、世界の放送の発展というものの中で見たときに、日本の場合には、公共放送と民間放送のバランスというものが、とりわけ戦後はきちんとバランスがとれた形でいわば発展してきて、しかもそれが、両者が競争することによって放送の普及あるいは高度化というものを達成してきた、そういうプラクシスを持っているというふうに思っております。

 今回の同時配信ということにおきましては、あるいは同時配信をNHKについて認めることによって二元体制が壊れるんじゃないかというふうな御指摘もあり得るところかとは思いますが、むしろ、このままだと二元体制を維持したまま全体として放送がいわば小さくなっていって、社会的役割も、あるいは国民の視聴というものも縮んでいくのではなくて、むしろ、インターネットにいわば出ていく、それで、幅広い視聴者を、とりわけ若い世代を獲得することによって、いわば二元体制を新しい時代の中でバージョンアップしていく、そういった取組ではないかと私は理解しているところでございます。

○中村参考人 

 御指摘のように、日本は、ヨーロッパ型、アメリカ型とも違う日本独自の二元体制でこれまでやってきて、しかもそれはかなり有効に機能しているのではないかと私は思っております。

 豊かな放送文化、これは世界に誇ってよい放送文化をこれまで培ってきたのではないかと思いますし、また、NHKなどに対する国会や政府のチェックがありながらも、各放送局の番組審議機関などを通じて、自律性の高い、そういった機構になっていると思っておりまして、国民からの信頼も一定以上得ているのではないか。

 つまり、制度全体の柱は変えなくてもよいのではないかと思いますが、ただ、一方で、インターネットという第三元のメディアが出てきたと思っておりまして、日本の培ってきた放送の二元体制とあわせて、三元のこの新しいメディア空間をどのように育てていくのかという観点が今重要になっているのではないかと考える次第です。

 以上です。

○砂川参考人 

 二元体制は世界でも日本独特と言っていいかと思いますし、これが十分な効用を示してきたのは今までそうだと思うんですけれども、今回の同時常時配信が行われた場合に、一つ、普及が図られて、非常に普及して、みんなが見ているという状況になったときに、民放に対して、当然、じゃ、何で民放はやらないのか、そういうことになりますね。

 現状をキー局の方と議論したことがあるんですが、多分そのまま、権利処理問題もありまして、インターネットに、じゃ、民放が常時同時配信ができる番組ってどのぐらいあるんだろうといったら、ほとんど、限りなくゼロに近いんですね。これはローカル局への影響の問題もございますが、そういったことを想定して番組をつくってございませんので。

 そういたしますと、多分、放送での二元体制は、インターネット上ではなかなか二元体制というまでにはいかないであろうというところがございます。

 じゃ、しからば、ネットでも二元体制のよさというものをどう生かしていくのか。つまり、民放は具体的にネットに対してどういうような公共的役割を果たすか。つまり、今は商業ベースのサービスは行っておりますが、ある意味の公共的なサービスは当然していないわけですので、二元体制の民放に対する公共的なインターネット利用、こういうところの検討が今後必要なんではないかというふうに考えております。

○井上(一)委員 

 私も、おっしゃるとおりで、今回の放送法の改正というのが、NHKの常時同時配信、これが焦点になっているんですけれども、実は、やはり民間放送における常時同時配信をどうしていくか、これが結局議論になっているところだと思うんですよね。この二元体制を、三先生方もありましたように、やはり、日本型としてある程度定着して共感も得ていると思いますし、この体制を何とか守っていってほしいと。

 他方で、NHKは常時同時配信できるかもしれないけれども、民間放送がそれをやった場合にどういうようなインパクトが出てくるのか。だから、民間放送の方からは、できる限りNHKの常時同時配信については制約的にやってくださいということになっていると思うんですけれども。

 今後、やはり大きな流れとしては、この常時同時配信というのは拡大していく方向にならざるを得ないと思うんですけれども、その場合に、民間放送が、今後どういうような、それを受けとめて、どういうように対応していくのが望ましいのか。この点についても3先生方にお話しいただきたいと思います。

○宍戸参考人 

 お答えを申し上げます。

 やはり、民間放送局においても、公共放送ではないですが、しかし同時に、やはり公共的な役割を果たす。それは、ジャーナリズムを発揮して、表現の自由であるとか民主主義社会であるとか、あるいは健全な娯楽の供給ということをおやりになるために、放送局というのは免許を取ったり認定を受けてやっておられるんだというふうに私承知しております。

 そうだといたしますと、同時配信というのは、やはりビジネス的にいろいろ課題はあるかと思いますけれども、いわばジャーナリズム、あるいはメディアとしては、影響力、あるいはやりたいことを更に広くやる機会だというふうに前向きに受けとめていただいた上で、そのコンテンツの制作のあり方であるとか、あるいは人材、それから、これまで出ておりますプラットフォーム、ルールづくりなどなど、そこは先導的役割を果たすべきNHKと協力して、そして、自分たちがおやりになりたいようなやり方というものを、やはり当然業務改善とかをしていただく必要はあるかと思いますが、それによってやっていただく。本来的なメディアとしての役割を果たすためのいい機会だと捉えていただけないかなと私は考えているところでございます。

○中村参考人 

 民間放送局は、もう現在の制度で同時配信などを自由にできるわけですので、そこは経営判断ということでありましょうし、ラジオはラジコでやっていますから、テレビもそれに倣ってどんどんやっていただきたいものだと思いますけれども。

 ただ、常時同時配信が、これはビジネスになるかというとなかなか難しい面もあろうかと思います。ですから、それだけではなくて、いかにITを始めとする新しいテクノロジーに民間局として向き合うのかという観点が大事でありましょう。ですから、それは同時配信だけではなくて、そのネットならではのコンテンツを充実させていくとか、データやAIを使って新しいサービスを講じていくというような工夫が必要になってくると思います。

 そういった点でいいますと、例えば、日本テレビがプラットフォームであるHuluを買収するとか、フジテレビがネットフリックスに番組を提供するとか、あるいはテレビ朝日がAbemaTVを始めるといったさまざまな、民間放送局でも戦略が出てきていますので、そういった戦略を高めて個別対応していただければと思う次第です。

 以上です。

○砂川参考人 

 中村参考人からありましたように、やはり民放ならではのインターネット展開って絶対必要でして、そういったオリジナルな対応に対して政策スキームの中で何か対応することがあり得るのかということは一つあろうかと思いますが。

 もう一つ、NHKの今回の同時配信を受けて、じゃ、民放もやるべきだというような合意がもしなされるのであれば、次の再免許というのは2023年、その次が2028年ですから、やはり、放送の同時配信というのをどういうふうに位置づけるのかを考えた上で、2028年という、つまり次の次の再免許時のときに補完するようなものをどういうふうにするのか、こういう議論を今から始めることはあり得るかと思いますが、次の再免許時に、ある種、民放にも同時配信を義務づけるというのは余りにも短兵急だと思いますので。

 つまり、放送の補完としてのインターネットなのか、二元体制をそのままインターネットでも維持するのかという議論をした上で、10年後ぐらいの放送免許に対してどういう制度改正を行っていくのかというのが現実的かなと思っております。

 以上でございます。

○井上(一)委員 

 時間が来ましたので、これで終わりたいと思います。ありがとうございました。

 

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