国会活動

日米貿易協定と今後の交渉体制

〇第200回国会 衆議院 外務委員会 2019年11月8日(金)

○井上(一)委員

 希望の党の井上一徳です。

 こういう正常ではない状況の中で質疑をしないといけないのは、少し残念には思っております。ただ、理事会で決められたスケジュールですので、それにのっとった形で質疑はしていくということが大事だと思っております。

 自動車それから自動車部品については、これから更に交渉ということで、今の時点では決まっていないわけですので、これを除いた経済的な影響とか、今どういうような状況にあるのかということについて、私も資料を求めております。

 ただ、残念ながら、政府の今の資料に対する対応は若干誠実なものではないと思っておりますので、政府には誠実に対応していただきたいと思っています。

 資料の取扱いについては、理事会の中で、この委員会が終わった後に協議しようと言っていたわけですから、委員会が終わった後に協議をするという対応をすべきではないかと思っております。

 自動車それから自動車部品を外した場合の影響ということで、私は、関税にどれぐらいの影響があるのかということを聞いております。

 これについては、なかなかお答えができないということではありましたが、きのうのやりとりの中で、追加分が1兆9421億円ということで、単純にこれは25%を掛ければ自動車それから自動車部品の額になるんですかと聞いたところ、そうではなくて、2.5%を引いた22.5%が追加分になるというお答えがありました。

 そうだとすると、自動車・自動車部品の合計額は、単純計算すると8兆6315円になります。この数字は認めていただけますでしょうか。

○澁谷政府参考人

 それがどういう意味をもたらすかということは別といたしまして、先生のおっしゃったような計算でやるとそういう数字になるということにはなろうかと思います。

○井上(一)委員

 そうだとすると、やはりこれはアメリカの統計を引っ張って計算したと注で書いてありますので、そうだとすると、この8兆6315億円についてですが、自動車と自動車部品について、細かい品目を言うとこれからの交渉に差し支えがあるというのは理解はできますが、自動車と自動車部品で大まかに幾らかというのはいかがでしょうか。もし言えないとすると、なぜ言えないのでしょうか。

○澁谷政府参考人

 今回の日米交渉におきましても、自動車・自動車部品はかなり大きな議論の対象になってきたところでございまして、特に、自動車は対象が明確なんですけれども、自動車部品というのは、日本もアメリカも、いわゆる貿易統計上の分類とまた違う、交渉上の対象として何を部品として扱うかということは、まずそういう議論から始めたところでございます。

 現時点で、今回の日米交渉を通じて、日米の間で一定の認識が共有されているということはありますけれども、ただ、これは、実はUSMCAの交渉でメキシコとアメリカとの間でも、自動車部品をどういうふうにするか、NAFTAで一度セットされているにもかかわらず、やはりもう一回きちんとそういう議論から始めたというふうに伺っております。

 USMCAにおきましても、米墨間の関係文書で自動車部品の範囲について詳細は明らかにされていないというふうに承知しておりまして、やはりこのあたりについて、私ども、慎重に対応していきたいと考えているところでございます。

○井上(一)委員

 私がなぜそれを知りたいかというのは、常々言っているとおり、関税の支払い減少額が最終年では2126億円になっているわけですが、大宗を自動車・自動車部品が占めるのであれば、この2126億というのは大変ミスリードする数字ではないかなということで言っているわけです。

 自動車・自動車部品については現時点ではまだ確約されていないわけですので、現時点ではこれぐらいの影響で、自動車・自動車部品が交渉でとれればこれぐらいになるいうことを、国民に誠実に説明する姿勢の方が大事ではないかと思っております。

 そういう意味で、資料については政府の方で誠実に応えていただいて、それで国民の皆さんに理解を求めるという形で臨んでいただきたいと思います。

 この日米貿易協定が発効したとすると、4カ月以内に協議をするということになって、その中で、関税その他の貿易上の制約などについて交渉を開始するという予定と聞いております。

 茂木大臣がこれまで交渉責任者としてやっておられましたが、この発効した後の交渉責任者というのは誰がなるのでしょうか。

○茂木国務大臣

 まずは、おっしゃるような協議を行うことによって対象分野を決めていくということになりまして、いずれにしても、今後の交渉においても、日米それぞれウイン・ウインになるような交渉にしていきたい。

 もちろん、日本として、国益に反するような合意をしない、こういう前提のもとで進めたいと思いますが、交渉の担当者といいますか責任者が誰になるか等々につきましては現時点では決まっておりませんが、まず、申し上げた協議については、一般的には事務レベルでこの協議を行うということになると思っております。

 そして、いずれにいたしましても、我が国の国益に反するような合意、これを行う考えはなくて、そのためには万全の体制で臨む必要がある、このように思っております。

○井上(一)委員

 事務方からもそう聞いたのですが、4カ月の事務方の協議で、どういう事項を交渉していくのかなどを決める非常に重要な協議になってくると思うんです。

 そうすると、事務方が、誰かに判断を求めないといけないときに、今時点で決まっていないということになると、どういう体制でこの協議に臨むのかというのが私は見えてこないのです。その点を、イメージが湧くような御示唆をいただければと思います。

○茂木国務大臣

 これまでも、ライトハイザー通商代表との間ではさまざまな議論をしてきております。もちろん、これからどういう項目を協議するかという中で、恐らく、十年かけてもゆっくり協議しよう、こういう感覚をアメリカ側が持っているとは思っておりません。

 一方で、第一段階の、この物品貿易、さらにデジタル貿易につきましては既に合意に至っておりますから、拙速に、これから半年のうちに結論を出そうとか、こういう話にもならなくなってくるのではないかな。

 そういうスパンの中で、どういう項目が、対象がふさわしいか、お互いの関心がありますので、そこの中で合意する項目ということを決めていくことになるのではないかなと思っております。

○井上(一)委員

 これは発効されれば、来年早々から協議が開始され、しかも4カ月以内に協議を終えるということですから、やはり国益を守るための体制を政府としてしっかり組んでいただきたいということを要望して、質問を終わりたいと思います。

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