国会活動

新型コロナウイルス、経済安全保障

〇第201回国会 衆議院 総務委員会 2020年2月27日(木)

○井上(一)委員

 希望の党の井上一徳です。

 きょうは、新型コロナウイルス対策、それと5Gをめぐる経済安全保障の問題について、質問させていただきたいと思います。

 まず、新型コロナウイルス対策については、専門家会議が、まさにこの1,2週間が、拡大するのか、それとも収束に向かうのか、まさに分水嶺の時期に当たっているということで、日本の国の危機管理の真価が問われている本当に重要な時期だと思っております。どうすれば収束に向かわせることができるのかという観点から質問させていただきたいと思います。

 それで、基本方針を読みました。この中にある水際対策を読みましたが、私は、真価が問われるような事態において、認識が若干甘いのではないかと思っています。

 こう書いてあります。「国内への感染者の急激な流入を防止する観点から、現行の入国制限、渡航中止勧告等は引き続き実施する。」という書き方です。私の理解では、ここは、流入を徹底的に防止するという認識ではないかと思います。急激な流入を防止する観点といったら、多少入ってくるのはもう仕方がないという意味合いにしかとれないわけです。

 そういう意味で、今、この感染を水際で徹底的に防ぐという観点からすると、私は、今の中国は湖北省と浙江省の2省しか入国制限していませんが、中国全土に広めるべきだと思っています。まず、中国全土から入国を拒否している国はどういう国があるのか教えていただきたいと思います。

○大隅政府参考人

 お答えいたします。

 これまで把握しているところでは、米国、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール等におきまして、入国前14日間以内に香港、マカオを除く中国に滞在歴のある外国人の入国を禁止する等の措置を講じていると承知しております。他方で、例えばG7各国の対応を見ると、英国、フランス、ドイツ、イタリア及びカナダは入国拒否は行っていないと承知しております。

○井上(一)委員

 速やかに中国全土からの入国を拒否していくという観点から、私は対象国を中国全土に広めるべきだと考えていますが、いかがでしょうか。

○石岡政府参考人

 お答え申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症の感染が拡大し、無症状であっても、検査の結果、ウイルスへの感染が確認された者もいる中、我が国へのさらなる流入を阻止するためには、機動的な水際対策を講じることが不可欠であると考えております。

 これまで、政府におきましては、新型コロナウイルス感染症が蔓延している中国の地域から来訪する外国人や、感染症が発生しているおそれのある旅客船に乗船する外国人について、当該地域や旅客船を新型コロナウイルス感染症対策本部、政府の対策本部でございますが、この対策本部において報告し、法務省は、これを踏まえて、入管法第5条第1項第14号に基づきまして、迅速に上陸拒否の措置を講じることとしているところでございます。

 既に、2月1日から湖北省を、そして2月13日から浙江省を対象地域として、両省に滞在歴がある外国人及び両省において発行された旅券を所持する外国人について、特段の事情がない限り、上陸を拒否することとしております。

 さらに、韓国の大邱広域市及び慶尚北道清道郡における感染者が急増している状況に鑑みまして、昨日、政府として、閣議了解によりまして、これらの地域に滞在歴のある外国人についても、特段の事情がない限り、入管法第5条第1項14号に該当する外国人であると解することとしております。

 法務省としましては、これを踏まえまして、本日午前零時より、これらの外国人について上陸拒否の措置を講じることとしております。

 新型コロナウイルスの感染拡大の状況が時々刻々と変化している中、今申し上げたように、これまで機動的に水際措置をとってきたところでございますが、今後の上陸拒否の措置の対象地域につきましては、政府全体としてのさまざまな情報や知見に基づき検討の上、総合的に判断されることとなります。法務省としましては、その内容等を踏まえて適切に対応してまいります。

○井上(一)委員

 産経新聞の世論調査でも、中国全土からの日本入国を一時的に禁止すべきだとの意見があるが賛成かということで、賛成が67.7%となっています。多くの国民が不安に思っている状況は、間違いありません。

 それで、調べてみると、湖北省と浙江省は入国禁止にしていますが、例えば、湖北省の隣の広東省や河南省を見ると、浙江省よりも感染確認数が多いわけです。にもかかわらず、ここは指定していません。

 中国全土に私はすべきだと思いますが、なぜ広東省や河南省を指定していないのでしょうか。

○石岡政府参考人

 お答え申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症の拡大の状況が時々刻々変化している中、上陸拒否の対象地域につきましては、関係省庁におきまして、感染者数、これは感染者の率も含みますが、感染者数や感染率、そして移動制限措置の有無、医療体制の状況等、さまざまな情報や知見に基づきまして検討の上、総合的に判断され、政府対策本部に報告されることとなっております。

○井上(一)委員

 今日の日経新聞にも、科学的な根拠、法的な根拠を検討した上で示されるということなのですが、例えば中国では、湖北省の隣にある江西省を見ると感染の率はかなり高いわけです。にもかかわらず、ここも指定されていないということで、客観的な基準が私はないのではないかと思っていますが、どこが客観的な基準をつくっているのですか。

○石岡政府参考人

 お答え申し上げます。

 関係省庁におきまして、先ほど申し上げましたとおり、感染者数や、あるいは移動制限措置の有無、医療体制の状況等、さまざまな情報や知見に基づきまして総合的に検討しまして、その上で政府対策本部において報告されることとなっております。

 そして、政府対策本部に報告された後、法務省としましては、入管法を所管しておりますので、入管法に基づき、その内容を踏まえまして、適切に上陸拒否の対応をとってまいることとなります。

○井上(一)委員

 これはレクのときにも聞きましたが、基本的にはやはり関係省庁でと言うだけで、きちんと客観的な基準をつくって、判断する部署というのがありません。だから中国全土に拡大するかどうかというのは関係省庁の間ではなかなか決め切れず、どうしても政治的判断になってしまうということです。

 私は、中国全土にぜひ拡大すべきだということを申し上げて、高市大臣も対策会議のメンバーでもありますので、こういった問題意識を持っているということだけは知っておいていただきたいと思います。

 続いて、ここの「水際対策」の中で認識が私は甘いのではないかと思っているのは、「検疫での対応については、今後、国内の医療資源の確保の観点から、国内の感染拡大防止策や医療提供体制等に応じて運用をシフトしていく。」ということで、あたかも何か検疫に今まで力を入れていたのを、国内感染拡大防止策の方にシフトしていくとしか読めないのですが、その趣旨を御説明いただきたいと思います。

○奈尾政府参考人

 お答え申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症の水際対策につきましては、昨日の政府対策本部におきまして安倍総理からも発言がありましたように、国内への感染者の急激な流入を防止する観点から、現行の入国制限、渡航中止勧告等は引き続き実施することとしてございます。

 また、本日から、韓国の大邱広域市及び慶尚北道清道郡に滞在歴のある外国人につきましては、特段の事情がない限り、入管法に基づき入国拒否の措置を講ずることとしております。

 一方で、25日に取りまとめられました新型コロナウイルス感染症対策の基本方針に基づき、国内対策としては、患者の増加のスピードを可能な限り抑制するため、小規模患者クラスター、これは集団でございますけれども、このクラスターが次のクラスターを生み出すことを防ぐとともに、今後、国内で患者数が大幅にふえたときに備えて、医療体制等の必要な体制を整備する必要があるとされております。

 このように、海外からの水際対策と国内での感染防止対策、あわせて取り組むことによりまして、感染防止のための万全の対応を図ってまいりたいと思っております。

○井上(一)委員

 であれば、基本方針もそのような書き方をした方がいいと思います。あたかも運用をシフトしていくということだと、水際対策を多少手薄にするとしか読めないわけです。基本方針を多少変えることはできるのかどうかわかりませんが、ぜひそういう趣旨を周知していただきたいと思っています。

 それでは、5Gをめぐる経済安全保障について質問をしたいと思います。

 資料を用意しておりますが、その中で、日経新聞の記事がありまして、諸外国では、例えばアメリカではファーウェイを排除する方向でいろいろやっている、それから、イギリスはうまくつき合っていく方向だということで、いろんな国が苦慮していると書いていますが、日本としては、ファーウェイについてどういうような対応を考えておられるかについて、御説明いただきたいと思います。

○高市国務大臣

 5G機器などの調達先につきましては携帯電話事業者が判断するものでございますけれども、サイバーセキュリティーが確保されることは極めて重要だと認識をしております。

 総務省では、昨年4月の全国5Gの周波数割当ての際に、各携帯電話事業者に対して、サプライチェーンリスクを含む十分なサイバーセキュリティー対策を講じることを条件として付しました。

 また、昨年12月24日から免許申請の受け付けを開始したローカル5Gにつきましても、導入ガイドラインにおいて、サプライチェーンリスク対応を含む十分なサイバーセキュリティー対策を講じることを求めて、その旨をローカル5Gの免許時に条件として付すこととしております。

 ファーウェイについてのお尋ねでございましたけれども、たしか一昨年の12月に政府で決定された内容では、現時点で日本として特定の国や企業の機器の排除を求めるものではないということでございます。

 ただ、5Gについては非常に重要な基盤インフラとなってまいりますので、総務省としては、この5Gの本格的な導入に向けて、しっかりと条件を付したものについてチェックをしながら、サイバーセキュリティーの確保に向けて取り組んでまいります。

○井上(一)委員

 先日、閣議決定で、特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律案が国会に提出されました。この法案の説明を受けて、サイバー攻撃を受けにくい5Gの設備導入を後押ししようとするものと理解していますが、他方で、新聞では、ファーウェイなどの中国製品を事実上排除する狙いがあると書かれております。

 この法案の目指すところはどこにあるのか、教えていただきたいと思います。

○野原政府参考人

 お答え申し上げます。

 5Gは、携帯電話だけでなく、スマート工場、遠隔医療、自動運転など、さまざまな用途での活用が期待される、ソサエティー5.0の基盤となるインフラでございます。

 この新しいインフラ上で新たなサービスが創出されるとともに、人手不足等の社会課題の解決にもつながることを通じ、地方創生にも貢献し得ることから、全国津々浦々、早期の整備が期待されているものでございますが、こうした5Gについては、5Gの3つの特徴、超高速大容量、超低遅延、端末の同時多数接続といった特徴があることから、サイバー攻撃によるトラブル、事故や情報窃取などを防ぐため、これまで以上に安全で信頼できるシステムを構築することが求められております。

 このような状況を踏まえまして、政府としては、一定の要件を満たす5Gシステムの開発供給又は導入に関する計画を認定する制度を創設し、認定された計画に基づく投資を行う事業者に対して税制や金融面での支援を行うことなどを内容とする特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律案というのを今月18日に国会に提出したところでございます。

 同法案では、その基本理念といたしまして、5Gシステムの開発供給及び導入がサイバーセキュリティーを確保しつつ適切に行われることを基本とし、我が国における産業の国際競争力の強化や5Gシステムの活用による新たな事業の創出に資することを旨とすることが規定されております。

 同法案は、このような基本方針に基づきまして制度の運用を行うことを通じまして、安全、安心な5Gシステムの早期普及を後押しする支援措置を定めた振興法、支援法でございまして、特定の国の企業や製品の排除を念頭に置いた規制法ではございません。

○井上(一)委員

 これから5Gにおいて日本のメーカーも頑張ってほしいとは思っています。内閣官房日本経済再生総合事務局の資料2を見ていただくと、通信基地局の世界シェアはトップ3社で世界の8割を占めており、日本メーカーは国内に残っていて、NEC、富士通で0.8%、0.7%ということで、残念ながら存在感を示せるような状況になっていません。

 これから5Gを普及していく上で、我が国のメーカーの育成を図っていってもらいたいと思うのですが、この点についてはどのようにお考えでしょうか。

○野原政府参考人

 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、現在のモバイル用途の移動通信インフラ機器市場では、海外企業が世界シェアで上位を占めておりまして、日本企業は厳しい状況に置かれていると承知をしております。

 同インフラの構築につきましては、これまで、単独のサプライヤーがシステムの主要部分全てを受注することが多かったということで、日本のサプライヤーが入り込む余地が少なかったということでございますが、他方、これからインフラ整備が本格化する5Gの分野では、各国の主要携帯キャリアを中心に、システム構築について複数のサプライヤーにオープンにしていく方向というふうに認識をしております。海外企業と連携することで日本企業が国内外の市場を獲得できるチャンスが広がっているというふうに考えております。

 こうした状況を踏まえまして、先ほどお話がありました5Gの関連法案では、税制等で支援する事業計画の要件の一つといたしまして、オープン性に注目しているところでございます。国内外の企業がそれぞれの強みを持ち寄って連携していくことを後押ししたいというふうに考えております。

 同時に、5Gインフラの高度化が今後進んでいくことを踏まえまして、日本企業の技術力を高めていくことも重要でございまして、1月30日に成立した補正予算を活用いたしまして、関連の技術開発を支援していくことにしております。

 このように、新しい制度、税制、予算を総動員いたしまして、5G分野の民間の取組を後押しすることで、情報通信関連の日本企業の育成を進めてまいりたいと考えております。

○井上(一)委員

 資料3もつけていますが、5Gの関連特許を見てみても、この中には日本企業は全く出てこないということで、日本企業が以前のように世界の中で存在感を示せるように、国としてもぜひ支援をしていただきたいと思います。

 次は、資料4に関連して質問したいと思いますが、その前に、新聞記事で、国家安全保障会議(NSC)の事務局である国家安全保障局に来年4月から経済分野を専門とする経済班を設けるという記事がございました。私自身は、これからの時代には経済についても安全保障の観点が不可欠であるということでこの経済班を設置する狙いがあるのではないかと思っていますが、この狙いや体制、今後の取組について御説明いただきたいと思います。

○藤井政府参考人

 お答えを申し上げます。

 安全保障と経済双方にまたがる分野で、先生御指摘のとおり、さまざま新しい課題が顕在化をいたしております。具体的には、サイバーセキュリティーしかり、機微技術の管理しかりということでございます。

 これらの諸課題につきまして、我が国の安全、安心及び開放性と多様性を確保し、経済の成長と発展を目指して対応していく必要があろうかと考えております。

 こうした情勢を受けて、国家安全保障局に、昨年秋になりますが、審議官1名、参事官3名を含む10名弱の体制で、経済班設置準備室が発足しております。現在、体制、人員を含め、経済班発足のための整備を鋭意行っております。

 4月の正式発足後は、幅広い諸課題につきまして、政府内の各部門の連携を含め、企画立案、総合調整を行い、迅速かつ適切に対応を進めてまいりたいと考えております。

○井上(一)委員

 非常に私は時宜にかなった体制整備だと思っております。

 それで、この資料4を見ていただきたいのですが、アメリカも安全保障の観点から対米投資を非常に厳格にしているという記事でありまして、この2月に、米国で施行される外国投資リスク審査近代化法の新規則は、機微な個人情報にかかわる投資、それから軍事施設などに近い不動産の取得も審査の対象に加えるということです。これは、特に中国からの投資をチェックするという観点からの規則だと理解しております。

 同じような形で、軍事施設などに近い不動産の取得も審査するということで、資料5を見ていただきたいのですが、記事によれば、外資の土地取得制限についても政府として検討し、20年6月をめどにまとめる経済財政運営と改革の基本方針で方向性を示す方針であり、21年の通常国会までに新法の制定を軸に法整備を急ぐという記事があります。

 私も、こういったアメリカと同じような、FIRRMAのような法律をつくって土地取引についても審査の対象とすべきと考えますが、この点についてはいかがでしょうか。

○藤﨑政府参考人

 政府といたしましては、まず事実関係から申し上げますと、報道のような、外国人や外国資本の企業による国内での土地取得を制限する検討を始めたという事実はございません。

 外国資本による土地取得につきましては、これまで、防衛施設周辺の確認など、土地の性質や所在等に応じて関係する各省庁において実態調査などを行うなど、必要な措置をとってきているところでございます。

 引き続き、こうした取組を進め、土地取引の実態や影響などをよく把握していくことが重要であるというふうに考えております。

○井上(一)委員

 資料4の記事で皆さん見ていただけたらお分かりになりますが、「「ホワイト国」日本外れる」ということで、日本については、安全保障の観点から様々な規則がまだ整備されていないということで、ホワイト国から日本は外れるということになっています。ぜひ、いろいろな意味で安全保障に係る取組をしっかりしてほしいと思っております。

 最後の質問です。

 先ほど御説明ありました特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律案については、メーカーからの申請とか、それからシステムをつくる人の申請……

○大口委員長

 井上君、時間が来ております。

○井上(一)委員

 はい、わかりました。終わります。

 これをしっかり審査できる体制をつくっていただきたいということを申し述べて、質問を終わりたいと思います。

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