○井上(一)委員
国民民主党・無所属クラブの井上一徳です。
まず最初に、金光社長にお伺いしたいと思います。
総務委員会、予算委員会の中でも放送に関する外資規制が議論されていまして、私も特に強調しているのですが、これは我が国の安全保障に関わる問題です。放送というのは非常に社会的影響力が大きいですから、外国の干渉を排除する、その上でも、外資規制を設けてしっかりとその影響を排除していくという問題です。
そういう認識からいうと、金光社長が最初の記者会見で言われたのが、外資規制の基準を僅かにせよ超過し、外資規制違反の状態だったことで投資家、株主を始め、多くの方に御迷惑をおかけしたことをおわびしますとのことでした。
私は、一番御迷惑をかけているのは国民だと思います。私は、もっと痛烈な反省の弁があってもいいのではないかと思うのですが、いかがですか。
○金光参考人
我々のミスで、重要な外資規制に違反してしまったということに関しまして、深く反省しております。
それで、いわゆる議決権をオーバーしているということに関して、先ほど来申し上げておりますが、開示するかしないかを含めて、それは認定が取り消されるかどうかの1つに懸かっております。したがいまして、認定が取り消されるというリスクを我々は感じ、総務省の方に情報をお伝えしたということでございます。
我々は放送関係の事業者でありますが、パブリックな側面と事業収益性を追求する側面、二律背反するものを抱えて事業を行っております。したがいまして、株主、投資家というものに対して保護の配慮をするということに関しても御理解をいただければというふうに思っております。
○井上(一)委員
しかし、最も配慮するのは国民だと思います。安全保障の問題ですから。
ここで金光社長が、僅かにせよ超過しと言われているわけです。僅かにせよといっても、超過しているわけです。基準から外れているわけです。これをゴルフでいえばもうOBなんですよ。駄目なんですよ。その時点でアウトなんです。
ゴルフの場合はペナルティーで打ち直せますよ。けれども、放送法では絶対的欠格事由なわけです。これは、電波法の解説をそのまま読むと、こうなっています。無線局の免許の絶対的欠落事由は、免許を与えられた後においても維持されるべき性質の要件、しかも、絶対的不適格性を示すものであって、総務大臣に裁量の余地がなく、義務として取り消さなければならない。
直ちに取り消さなければならないという重要な問題なわけです。そういう重要な問題だからこそ、社長は多分、総務省に相談しに行ったと思います。それで、総務省も相談を受けて、これはどうするかというのを判断しました。
まず、これは総務大臣の判断に関わる事項なわけですよね。それを課長と局長だけで判断しているとは思えないし、大臣に上げていなければ法律違反になるんじゃないですか。
○吉田政府参考人
お答えいたします。
総務省の行政文書取扱規則におきまして、放送法第166条第1項又は第2項の規定に基づく認定の取消しに係る決裁者は、情報流通行政局長となっております。
ただ、本事案は、外資規制違反という重要な事案であることに鑑みれば、大臣に報告すべき事案であったと考えており、その点は、当時の担当者の認識が甘かったと言わざるを得ないと考えております。
○井上(一)委員
認識が甘いという問題で済まされる話ではないわけです、これは。課長のところに口頭で、まあ文書を持ってという話でしたけれども、行かれた。その後は口頭で厳重注意。今の質疑の中で、文書はちゃんと残っているんですかと言ったら、文書はありませんと言うわけですよね。こんなことがあるわけないじゃないですか。
今るる局長は、当時の判断として、内閣法制局の見解、当時はそういう見解を基にして判断しましたということは、過去の文書があったからこそ今そういう答弁をされているんじゃないですか。本当に文書はないんですか。
昨日、私が質問レクで聞いたときは、文書はありますということを聞いたので、改めて私は理事会で提出をお願いしようと思ったのですが、文書がないということは本当ですか。
○吉田政府参考人
お答えいたします。
当時の資料を確認いたしましたところ、フジ・メディア・ホールディングスが作成し、持参した資料、また、当時の総務省において事案の概要についてまとめた資料がございます。(井上(一)委員「ございます、ちょっと、最後、語尾が聞き取れなかった」と呼ぶ)
○石田委員長
どうぞ、明確に。
○吉田政府参考人
フジ・メディア・ホールディングスが作成し、持参した資料、また、当時の総務省において本件事案の概要についてまとめた資料がございます。
○井上(一)委員
では、今までなかったというのは、何がなかったんですか。何がなくて、何があったんですか。
○吉田政府参考人
事実関係についてまとめた資料でございます。当時の、例えば、やり取り模様であるとか、厳重注意を行うための決裁を行うような資料というのはございませんでしたということをこれまで説明してございます。
○井上(一)委員
今まで何の議論をしていたんですか。文書はないかと言ったら、ないと言う。あるはずではないですかと言っていたわけですよ。今になったら、あるということですよね。
では、この文書はちゃんと提出してください。これは理事会で協議していただきたいと思います。
○石田委員長
はい、理事会で協議します。
どうぞ、質問を続けてください。
○井上(一)委員
次は、昭和56年の内閣法制局の見解もずっと議論になっていますが、私も、これは文書を出してくださいと言ったら、文書は出せません、口頭で概要を伝えますといって、口頭なんです。文書を、これが出せずに、本当に正しい判断ができるんですか。
総務省にまず聞きます。その当時の内閣法制局とのやり取り、どういうやり取りだったんですか。
○吉田政府参考人
1981年に、当時の郵政省から、電波法の放送局の免許に係る外資規制に関し内閣法制局に相談したところ、同法においては、免許の取消し処分を行う時点で取消事由が必要であり、当該事由が存在しないのであれば取消処分を行うことができないと整理されていたものでございます。
○井上(一)委員
今日は法制局にも来ていただいたと思いますが、法制局としてはどのような見解を総務省に返されましたか。
○木村政府参考人
まず、一義的には、法令、放送法の所管当局でございます総務省さんにおいて放送法の解釈、運用というのはなさるべきというふうに考えてはおります。
御指摘の56年の見解でございますけれども、これは、昭和56年6月に、内閣法制局が当時の郵政省に対しまして、当時の電波法に関し、放送局の免許を受けている株式会社について、一定時点に外国人、これは外国法人も含まれますけれども、の議決権が全体の5分の1以上を占めるという事実が生ずれば、現時点において当該事実が認定できなくとも、郵政大臣は電波法75条により免許の取消しをしなければならないのかという問いが立てられまして、それに対して、消極に解するというお答えをしているということでございます。
この回答そのものにつきましては、あくまでも昭和56年当時の電波法の規定の文言、趣旨等に即しつつ解釈を行ったものという理解でございます。
○井上(一)委員
済みません、今御説明いただいたものを何で文書として出せないのですか。
○吉田政府参考人
先ほど来御説明申し上げていますとおり、非開示情報の有無について確認をしております。
国会からの要請につきましては、真摯に対応してまいりたいと存じます。
○井上(一)委員
今、法制局に説明してもらった内容というのは別に非開示情報も何もなく、それを出してもらえばいいのですが。
いずれにしても、また文書提出を理事会で求めたいと思います。
○石田委員長
協議します。
○井上(一)委員
それで、先ほどのゴルフの例でいえば、これは失格者がそのままプレーしているような状況なんですよね。今は元に戻っていますからといっても、これは1回失格になるわけですよね。失格になった人がプレーを続けている。ペナルティーも何もない。これはおかしくないですか、ペナルティーがないというのが。
局長、最初答えてもらったから、大臣にもこれは聞きたいと思います。
○武田国務大臣
御指摘の点、ごもっともだと思います。そうしたことも踏まえて、しっかりとした、法改正も含めた対応を取っていきたいと考えております。
○井上(一)委員
私も、当時の課長、長塩課長に来てもらって、話を聞かないと、これは真相が分からないですね。
私はやはり、法律違反をフジもしていた、そして総務省も、法律違反をしていたのを見過ごしている。私は、言うなればこれは、さっきのゴルフの例でいくと、友達ゴルフなんですよ。ペナルティーだったのを、いや、いいよいいよみたいな、ちょっとぐらいだからもういいよみたいな、なれ合いなんですよ。緊張感が全くない。
これはペナルティーを今からでも科すべきですよ。当時の課長をしっかり呼んで、事情を聞いて、やはりおかしい判断をしているのだから、処分をしないと、これは示しがつかないと思いますよ。大臣、どうですか。
○吉田政府参考人
2014年当時に、当時の担当者が、先ほど申し上げた電波法に関する整理を踏まえ、放送法の認定放送持ち株会社についても同様に考えられることから、認定の取消処分を行う時点で取消し事由が必要であり、取消し事由が存在しないのであれば取消処分を行うことができないと判断したものと考えておりまして、そのような考え方自体は、総務省としては今でも妥当であると考えております。
一方で、御指摘のとおり、この局長限りで判断した点、あるいは、先ほど来、以前御指摘あったと思いますが、公表を行わなかった点などについては、当時の対応につきまして、当時の担当者の認識が甘かったものと考えております。
○井上(一)委員
いずれにしても、長塩課長と、当時の局長の判断はやはり看過してはいけないと思いますので、是非、当時の長塩当課長に国会に来てもらって、事実関係について聞かないといけないと思います。
残りの時間で、再発防止策についてお聞きします。
今、大臣からも、法律改正も含めて再発防止策を取っていくということでしたが、やはり、諸外国がどういうような放送法に関する規制を設けて、そして、どういう審査をして、どういう罰則を設けているかということもしっかり調査した上で、総務省での規制の在り方、審査の在り方を検討していくべき必要があると思いますが、いかがですか。
○吉田政府参考人
今回の事案を受けまして、放送法に係る外資規制の在り方や実効性の確保につきましては、様々な御指摘をいただいております。
大臣からは法改正も視野に検討を開始するよう指示をいただいているところでございますが、その際には、御指摘の諸外国の状況についても調査し、参考としていきたいと考えております。
○井上(一)委員
あと、社長にお聞きしたいのですが、当時、総務省に行ったときに、再発防止策をしっかりやってくださいということを言われたということですが、今もずっと基本的には19.99%が続いているわけですよね。ずうっと危ない状況がずうっと続いているわけですよ。いつも冷や冷やしないといけない状況なわけですよね。
これは、やはり再発防止策を取るのであれば、もっと余裕のある設定の仕方というのを考えるというのが普通だと思うのですが、なぜそうされないんですか。
○金光参考人
株式の保有に関しては、市場に株を出している以上、自由でございます。その時点で、外国人、日本法人等々の区別で売り買いを制限することはできません。
したがいまして、外人の保有比率、議決権を割り当てる前の保有比率に関しては、それは増えたり減ったりします。その後、3月と9月の末に議決権を振り分けるときに、既存の議決権を持っている外国人の株主をそのままにして、残っている19.99の枠を按分して割り当てるということになっています。その際に、我々は、株主平等原則ということで、その比率を我々の意思で19.99以下にすることはできません。
したがいまして、今の制度をもってすると、常に、20%以上保有者がいた場合はそういう状況になっているという状況でございます。
御説明申し上げました。
○井上(一)委員
これはどうなんですか。こういう状況が、19.99%がずっと続くと、やはり総務省としても、違う規制の在り方というのを考えようとしなかったのですか。
○吉田政府参考人
お答えいたします。
外国人等が保有する株式につきましては、議決権を持たないようにするための名義書換拒否という仕組みがございます。正しく計算されていることを前提に、その名義書換拒否の仕組みを使えば、外国人の議決権比率が20%を超えることがないような現在の法制度となっているところでございます。
ただ、いずれにいたしましても、外資規制の在り方について見直しの検討の指示をいただいておりますので、様々な御指摘を踏まえながら検討をしてまいりたいと存じます。
○井上(一)委員
何回も繰り返すようですけれども、放送法における外資規制というのは安全保障の問題ですから、しっかりとした制度、実効性のある制度をぜひつくってもらいたいと思います。
最後の質問ですが、放送法における外資規制について、総務省でもこれから再発防止策を検討するということなのですが、私はやはり、政府全体で外資規制の在り方を考える時期に来ているんだと思っています。
特に、中国は軍民融合ですよ。もう軍と民が融合、軍と経済が融合してやってくるという戦略です。だから、各国とも、経済安全保障ということで、外資規制の在り方については徹底的に議論して、外資規制をしっかりしたものにしています。
そういう中で、日本も取組はしていますよ、外為法の改正とか。私は、そういう個々の省庁だけでやるのではなくて、政府全体で外国資本規制をどうするかというのを検討すべき時期に来ていると思いますし、まさに国家安全保障局の経済班というのは、そういった経済安全保障を政府を挙げて取り組む、政府一緒になって考えていく、そういう組織だと思っています。
そういう観点で、国家安全保障局がこの外資規制について積極的に関与していくという取組が必要だと思いますが、いかがですか。
○藤井政府参考人
お答え申し上げます。
ただいまの井上議員の御指摘、私どもの思い、全く同じでございます。
経済安全保障の分野におきまして、様々な課題がございますが、その中でも非常に大切なものの1つが、外国人投資家に対する対内直接投資、これをきちんと審査をしていくということであろうというふうに考えております。
御指摘がございましたが、既に2019年に外為法を改正をしていただき、事前届出、審査対象を見直し、より厳格化しております。
それに加えて、これはきちんと運用していくということが非常に大切になってまいります。その運用に当たりましては、国内外の行政機関、これは私どもも入りますけれども、国内のみならず外国の行政機関との情報交換、情報の連携、その強化も運用として図ってきているところでございます。
御指摘のとおり、経済班をつくっていただきましたけれども、今後とも、外資規制の在り方を含め経済分野における国家安全保障上の課題に対して重大な関心を持ち、関係省庁と連携をしながら、委員御指摘のとおり、政府全体としての取組というものを全力で進めてまいりたい、かように考えております。
○井上(一)委員
是非政府全体でしっかり取り組んでいただきたいということを強く要望しまして、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。