○井上(一)委員
国民民主党・無所属クラブの井上一徳です。
本日は、地方公共団体情報システム標準化法案について質疑をさせていただきたいと思います。
私も、衆議院議員になる前に防衛省におりまして、そのときに、指揮システム、今までは陸海空にそれぞれシステムがあって、それを、例えば大臣が見るときに、陸のシステムを見る、海のシステムを見る、空のシステムを見る、それで判断するのかということで、1つの画面を見て大臣は判断するときは、陸の情報も海の情報も空の情報も1つのシステムの中に入っています。そういうような中央指揮システムというものをつくったのですが、その担当でやっていたときに、システムを標準化するというか、情報を1つにシステムの中にやるというのは相当大変だと思います。
今回、この地方公共団体情報システム標準化の目標はすごくいいと思います。各地方公共団体がそれぞれ独自のシステム開発をして、それがいっぱいある。今回の新型コロナでも分かったように、情報の共有もできない。国と地方の情報の共有もできないし、機関の情報の共有もできない。迅速に対応しようとしてもなかなかできない。そういうのを、日本全国の地方公共団体が情報交換をしやすいようにする。これはもうすばらしい発想だと思いますが、私は、大がかりな体制を組んで、予算もしっかり組んで、取り組まないと目標倒れに終わってしまう可能性が非常に高いと思っています。
まず大臣に、私は、この新型コロナで、デジタルについては日本は遅れているというのが本当によく分かったと思います。今、テレワークということで、地方で仕事ができる環境も整えていくというようなことも言われています。地方において、デジタルを進めていく必要性、意義についてまずお伺いしたいと思います。
○武田国務大臣
こうした情報システムの統合化というのは本当に厄介なもので、特に陸海空のシステム統合は大変だったと思います。敬意を表したいと思います。
デジタル化の推進によりまして、全国どの地域に住んでおっても同様の社会経済活動を営むことができるようになることから、地域における魅力ある多様な就業の機会の創出や、東京一極集中の是正にも資する取組と考えております。
また、地方公共団体の情報システムの標準化は、デジタル化の基盤として住民サービスの向上に寄与するとともに、システムの維持管理、改修の負担を軽減することにより、職員がより創意工夫を発揮できる業務に注力できるようになるものであり、その結果として、地方創生にもつながっていくものと考えております。
○井上(一)委員
デジタル・ガバメント実行計画というのを見ますと、こういう考え方です。まず、ガバメントクラウド、政府として大きなシステムをつくる。その大きなシステムを各地方公共団体も使えるようにしていく。
まず、このガバメントクラウドについて、質問の順番は違うんですけれども、ガバメントクラウドについて、どういうような意義、構想、スケジュールなのか、御説明していただけますでしょうか。
○時澤政府参考人
お答えいたします。
ガバメントクラウドでございますが、これは、政府の情報システムにつきまして、共通的な基盤、機能を提供する複数のクラウドサービスの利用環境というものでございます。地方自治体の情報システムにつきましても、ガバメントクラウドを活用できるよう、具体的な対応方針、課題について検討を進めているところでございます。
このガバメントクラウドの要件につきましては、令和3年度の第1・4半期をめどに検討を行いまして、早期に契約手続を進めていくことを予定しているものでございます。
○井上(一)委員
ガバメントクラウドもまだ検討している状況にあって、これから契約をしていくということなのですが、まず、各省庁がどういうシステムを持っていて、各省庁のどのシステムを統合していくのかも非常に難しい課題だと思います。
私は、これから検討されるということなので、検討を待ちますが、1つだけお願いしたいのは、ガバメントクラウドが、海外のベンダーと契約するというようなこともあり得るのでしょうか。
○時澤政府参考人
まず、ガバメントクラウドにつきましては、政府情報システムのためのセキュリティ評価制度というのがございます。ISMAPというものですが、このISMAPに登録されたサービスから調達するということを原則にいたします。
その上で、不正アクセス防止やデータ暗号化などにおきまして最新かつ最高レベルの情報セキュリティーが確保できること、加えまして、データセンターの物理的所在地が日本国内であること、さらに、一切の紛争は日本の裁判所が管轄するとともに、契約の解釈が日本法に基づくものであること、こういったことを契約等により担保できることなどを選定基準とするということを考えております。
したがいまして、これらの基準を満たす者であれば、国産企業か外国企業かによって区別されるものではないというものでございますが、最新の動向を注視して、慎重かつ適切な対応をしてまいりたいと考えております。
○井上(一)委員
私は、ここはやはり、国内企業と契約するという基本原則を立てた方がいいと思います。
これは何で国産企業と契約するという基本原則が立てられないのですか。
○時澤政府参考人
先ほども申し上げましたが、まず、セキュリティーがきちんとしていること、そしてさらに、データセンターが日本にあるということ、さらに、裁判管轄、解釈が日本法に基づくものということであれば、我々の求めているもの、例えば、海外に流出とかということがないということがありますので、そうしたことを満たす者であれば、これは国内、海外を区別するものではないだろうという判断の下に、こういう判断基準で選んでいきたいということを考えているところでございます。
○井上(一)委員
私は、これからしっかり検討していってもらいたいと思うのですが、日本のセキュリティーを本当にしっかり確保できるのは、私はやはり国内企業だと思います。そこはしっかり検討してください。
次に、地方公共団体のシステムをどうしていくかということなんですが、まず、地方公共団体についても、どういうシステムがあるかというのを全て細かく調べないといけないと思うのですが、今、その実態把握はどうなっていますか。
○髙原政府参考人
御答弁申し上げます。
これまで、総務省では、全ての自治体を対象に、情報システムの状況等について調査を行ってきております。
この調査を通じて、各自治体の情報システムのクラウド化の状況、情報システムの類型などについて把握をしております。
具体的に申し上げますと、住民情報とか選挙人名簿、固定資産税等々、システムの種類ごとに、例えば、自治体クラウドでやっているのかとか、メインフレームを使っているのかとか、そういったいろいろな観点から調査をして、各自治体ごとに把握しているということでございます。
以上でございます。
○井上(一)委員
だから、把握しているのは、どのぐらいのシステムがあって、今どういう状況ですかというのをお尋ねしているんですが。
○髙原政府参考人
私どもが調査しておりますのは、20程度の業務ごとのシステムがどういう形態で運営されているかということを調べております。
例えば、住民基本台帳ですと、1,741ございますが、自治体クラウドと言われている類型が583、単独クラウドが637、そのほか、かなり、メインフレームで自分の庁内に置いてという、昔からやっているような形が20団体とか、そういうことを業務ごとに調べているということでございます。
○井上(一)委員
かみ合わないのは、多分、調査の質というか奥深さだと思いますが、やはり、標準化するということになると、本当に相当細かく調べていかないと、標準化というのは本当に難しい作業だと思います。
現在、地方自治体のシステムに、大体どのぐらいの予算が使われていて、この標準化システムを入れればどのぐらいの経費が削減されるのか、おおよその数字でいいので教えていただきたいと思います。
○髙原政府参考人
御答弁申し上げます。
地方公共団体のシステム運営経費は、大体、今、約5,000億程度というふうに想定しておりまして、この標準化の取組によって3割削減を目標にしているということでございます。
○井上(一)委員
標準化の対象事務として17に限定しています。理由は何で、今後、追加もあり得るのか、この点についてはどうでしょう。
○髙原政府参考人
御答弁申し上げます。標準化法案では、事務処理の内容が各地方公共団体で共通し、統一的な基準に適合する情報システムを利用することが住民の利便性向上や行政運営の効率化に寄与する事務ということで、そういった事務を対象として規定しております。
そして、現在進めている標準化の取組においては、デジタル・ガバメント実行計画などの累次の閣議決定において、地域情報プラットフォーム標準仕様等を参考としつつ整理された、住民記録、地方税、社会保障、教育に関する17分野の業務を念頭に置いております。
17業務以外の業務についても、事務の共通性など、標準化法案における標準化対象事務の趣旨に合致するものについては、関係府省、地方公共団体の意見を十分に踏まえた上で、対象に加えることも検討し得るものと考えております。
以上でございます。
○井上(一)委員
この17の中に住民基本台帳というのがあります。他方で、これまでに、住民基本台帳ネットワークシステム、いわゆる住基ネットがもう既に全国展開されていると承知しております。この標準化に当たっての住民基本台帳と、これまでに整備してきた住民基本台帳ネットワークシステムの違いについて御説明ください。
○髙原政府参考人
御答弁申し上げます。
住民基本台帳ネットワークシステムは、各自治体が個別に整備している住民記録システムの情報のうち、氏名、住所等の一定の本人確認情報に限って全国共通仕様のサーバーを通じてネットワーク化し構築した全国的な本人確認のためのシステムであって、マイナンバー制度の基盤となるとともに、行政手続における住民票の写しの省略を可能とするなど、住民の利便の増進や行政の合理化に貢献してきているところでございます。
ただ、この住民基本台帳ネットワークシステムによって、各自治体の住民記録システムを標準化したわけではないということでございまして、住民記録システムから住民基本台帳ネットワークシステムに接続する部分を共通化しただけでございます。
そして、今回の取組でございますが、住民記録システムを含む各自治体の情報システムの多くが個別の自治体ごとに異なる仕様で整備されているため、情報システムの改修等を行おうとする自治体の人的、財政的負担や、住民、企業の利便の妨げとなるといった課題が残されているということでございまして、この機に、住民記録システムなど、自治体の基幹系システムの標準化を図って、システムの共同化や連携を促進することで、住民の利便の向上や行政運営の効率化につなげてまいりたいと考え、法案を提出させていただいたところでございます。
以上でございます。
○井上(一)委員
この標準化について専門家の人といろいろ意見交換していると、これは地方自治事務の効率化に資する取組だということは重々承知しているんですが、例えば図書館の事務についても同じように標準化すると、例えば、テレワークで地方に行った人が、地方の図書館に行ったときに、日本全国にこんな本がないだろうかということを探すときに便利になるのではないかということを聞きまして、そういう取組も是非やってみたらいいのではないかと思いました。
図書館事務というのは、地方自治事務の効率化とはつながらないのですが、住民の利便性の向上ということからいうと、非常に意義があることだとはそのとき思いました。こういった業務を追加するということについてはどうでしょうか。
○髙原政府参考人
御答弁申し上げます。
現在、標準化法案の標準化対象事務としては、デジタル・ガバメント実行計画などの累次の閣議決定において整理されてきております住民記録システムなど、17分野の業務を念頭に置いているところでございます。
他方で、この17業務以外の業務についても、事務の共通性でありますとか、標準化法案における標準化対象事務の趣旨に合致するものについては、関係府省又は自治体の意見を十分に踏まえた上で、対象に加えることも検討し得るというふうに考えます。
○井上(一)委員
私の地元は京都府なのですが、京都市で、2014年以降に100億円程度を使って、住民基本台帳とか税とか福祉といった基幹業務処理を行う大型汎用コンピューターをオープン化しようとして、今までのやっていた大手のベンダーから、入札で新しいIT企業と契約をしました。それでオープン化しようとしたのですが、なかなかうまくいかない。
そういうようなことで、やはりシステムの移行というのは本当に大きなリスクが伴うと思うのですが、これから取り組む標準化に当たってのリスクとか、そのリスクをどういうふうにこれから乗り越えようとしているのか、今時点で検討課題等があれば教えていただきたいと思います。
○髙原政府参考人
御答弁申し上げます。
情報システムの標準化、共通化につきましては、デジタル・ガバメント実行計画に基づき、令和7年度を目標時期として取組を進めていくことになっております。
ガバメントクラウド上の標準準拠システムへの移行に当たっては、限られた期間内において計画的な移行を進める推進体制を構築すること、円滑なデータ移行、移行後の運用テストや業務運営体制の検証、それから、移行に伴う情報システムの障害などの影響が生じないようにすることなどの幾つかの課題があると考えております。
これらに対しましては、今年の夏を目途に、標準化、共通化の実現に向けた必要な工程などをまとめた手順書をお示しすることを考えているほか、令和2年度第3次補正予算において、準備経費を含めた標準化、共通化のための経費を計上しております。
また、やはり、標準仕様というものは自治体の業務に即したものをつくっていくというのがまず第一でございますので、地方公共団体の皆さんの意見を十分に伺いながら、現在、標準仕様の策定作業も進めているところでございます。
私どもとしては、自治体が標準準拠システムへ円滑に移行することができますよう、適切な助言、財政支援、京都市のような大変大きな団体については個別の御相談などにも応じながら、しっかり対応してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○井上(一)委員
それで、この京都市の場合の例でいうと、ベンダー企業から新規のITに、入札の結果、変わりました。新規のIT方が取ったのですが、結果として失敗してしまいました。それはなぜかというと、元々つくっていたシステムというのはその入札で負けた方なわけで、新しい方は新規のものをつくるわけが、どうしても古いシステムのデータが欲しいわけです。だから、元々の企業に協力をしてもらわないとうまくシステムの構築ができないわけです。けれども、元々の企業が協力しようとしても、入札制度上、協力することができないと聞きました。
けれども、そんなことをやっていたら、いつまでたっても新しい企業が参入することもできないので、もう少し入札制度上も何か工夫があっても私はいいと思います。そうしないと競争が成り立ちません。今までつくってもらった企業に入札を続けてもらわない限りは新しいものに更新できないということにもなってしまいかねないわけです。
こういった点で、何か公正取引委員会としてコメントはないでしょうか。
○粕渕政府参考人
お答え申し上げます。
公共調達におきましては、安価で質の高い物品やサービスを調達することが要請されるものであることから、発注機関におきましても、可能な限り競争性の確保に配慮した調達を行われることが競争政策上望ましいと考えております。そのため、落札者が請け負った業務を適正に行うことができる環境を整備することも重要であると認識しております。
そのような環境を整備するためには、一般論で申し上げますと、情報システム調達の発注機関が入札を行う際には、落札者が情報システムを適正に提供できるような仕様を定めるなどして、入札を経てシステムを提供する事業者が変更されたとしても、円滑な移行が確保できるようにすることが重要であるというように考えております。
○井上(一)委員
入札するときに、やはり入札者が、本当にシステムの移行のことまでよく理解している人が仕様書とかを作らないと、同じような失敗が出てくると思います。これからシステムの更新をしていかないといけないわけですから、調達に当たる人、仕様書を作る人に対してしっかり周知しておく必要があると思うので、総務省としても、是非、この点の教訓を周知していただきたいと思いますが、いかがですか。
○髙原政府参考人
御答弁申し上げます。
これまでも、総務省では、自治体に対して、地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン等において、情報システムの調達、移行等に関する留意点を示してまいりました。
今委員から御指摘いただきましたが、ベンダーロックインを解除して、ベンダー間のシステムの移行をデータ移行等を含めて円滑に行うことは極めて重要であるというふうに考えておりますので、先ほど公正取引委員会さんから御説明があった点も含めて、必要に応じてガイドラインの見直し等を行い、自治体に周知してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○井上(一)委員
是非よろしくお願いしたいと思います。
それで、これは今、標準化基準とか、これからシステムをいろいろガバメントクラウド上に展開して、試験とか評価していかないといけないわけですが、専門家、有識者の活用というのが非常に重要になってくると思うんですけれども、この有識者の活用についてはどのようにお考えになっているでしょうか。
○髙原政府参考人
御答弁申し上げます。
標準化基準を策定するに当たりましては、標準化法案6条3項、7条3項において、地方公共団体のほか、標準化対象事務に係るシステム事業者などから意見を聴取することとしております。
また、現在、関係府省において進められている標準仕様の検討に当たっては、関係府省間で共有された作業方針を踏まえ、業務システムに通じる市町村の課長級や係長級の担当者を検討会の構成員とするほか、市町村の担当部局の御意見を丁寧に伺うとともに、適宜、政府CIO補佐官の確認を取りながら進めていくこととしております。
今後も、標準化の推進に当たっては、こうした地方公共団体の実務に通じた方や政府CIO補佐官の意見を広く伺いながら取組を進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○井上(一)委員
地方自治体でこれからいろいろデジタル化を進めるというのに当たっては、人材が非常に重要ということで、地方自治体における職員の研修を進めていく必要があると思いますが、国からどういうようなサポートをされる予定か、お答えしていただきたいと思います。
○大村政府参考人
お答えいたします。
自治体におきましてデジタル化を進めるに当たっては、情報担当部局の職員の専門性の向上や一般職員のICTリテラシーの向上などの人材育成が大変重要であると認識しております。
そうしますと、育成のための研修が大切ですので、これまでも、自治大学校、地方公共団体情報システム機構、市町村職員中央研修所等の関係機関において、一般職員向けの研修から専門性の高い研修まで幅広い研修がされているところでございます。
総務省としては、関係機関と協力して、特にコロナ禍で効果が認識をされてきたオンライン研修の学習ですとか、最新の技術動向等を踏まえた研修内容の見直しなど、研修の充実が図られるように努めるとともに、自治体に対して研修情報を取りまとめて提供し、積極的な活用を促してまいりたいと考えております。
また、今年の夏をめどに、昨年末に策定をした自治体DX推進計画の手順書を提示したいと考えておりますが、その中で、研修とともに、キャリアパスの形成といった観点からも人材の育成手法について盛り込むこととし、先進的な自治体の事例も紹介していきたいと考えております。
○井上(一)委員
これまでの質疑の中でも、地方自治体の意見を丁寧に聞いて進めていくと言われていますが、意見を聞くだけではなくて、反映していくという仕組みが必要だと思いますが、その点についてはどのようにお考えですか。
○髙原政府参考人
御答弁申し上げます。
現在、関係府省において進められている標準仕様の検討に当たりましては、関係府省間で共有された作業方針を踏まえ、業務システムに通ずる市区町村の課長級や係長級の担当者を検討会の構成員とするほか、市区町村の担当部局の御意見を丁寧に伺いながら進めていくこととしております。
例えば、総務省の自治体システム等標準化検討会では、住民担当課や情報システム担当課の課長や係長といったシステムの実務が分かる方を構成員とするほか、標準仕様書案の作成に向けた全国照会では、全市区町村の住民担当課及び情報システム担当課宛てに直接意見照会を行い、実務の観点から意見聴取を行っておりまして、昨年の6月ぐらいにも意見照会をやりましたが、600件とか700件とかいうオーダーで御意見をいただいております。それを自治体システム等標準化検討会にフィードバックして、要は、その原案を修正していくという作業を経て、標準仕様書案を作成している途上にあるということでございます。
今後も、標準化の推進に当たりましては、こうした地方公共団体の実務に通じた方からの意見等を広く伺いながら、できる限り現場の声を反映させるように努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○井上(一)委員
この標準化法案については、専門家の人に聞いてみても、5年間でやるというのは相当無理があるということをおっしゃっていました。特に、標準準拠システム開発を6か月でやるとかになっているのですが、これだけでもやはり2、3年はかかるんじゃないかと言われるんですね。
標準化をスケジュール感を持って進めていくというのは非常に重要なことだとは思いますが、余り急ぐがゆえに地方公共団体がどのようなシステムを持っているのか、その現状把握とか、準備にすごい時間がかかると思いますので、余り準備をおろそかに、スケジュール感だけでやっていると、さっきの京都市の例ではないですが、やはりうまくいきません。相当なお金を投資するわけですから、準備をしっかりして、データ移行、システム移行がしっかりできるというような計画を作ってからやってほしいと思います。
地方自治体で、先行的というか先駆的な地方自治体と協力して、いろいろシステムの開発とかそういうのをやっていくということをレクで聞きましたので、是非、一挙にやるのではなくて、そういう先進的な気持ちを持っている自治体と一緒になって、まずはそこでやってみる、そして課題の洗い出しをして、そこの成功事例を広げていくというような、そういうような取組に是非していっていただきたいと思います。
続きまして、地元を回っているときに聞いた話について御質問させていただきたいと思います。
特に、このコロナ禍で、子供食堂や放課後支援活動が非常に重要だといって真剣に取り組んでおられる方々がおられます。私は、特にこのコロナ禍において人のつながりが希薄になっている中で、特に子供さんたちの居場所づくりに頑張っておられる皆さんに敬意を表しますし、できる限りのサポートをしてあげたいと思っていますが、行政として最大限の支援を行う上に当たって、子供食堂それから放課後学習支援活動などの活動の意義をどう評価しているか、それからどのような支援策があるか、教えていただきたいと思います。
○酒田政府参考人
お答えいたします。
子供食堂や子供への学習支援につきましては、子供の食事の確保や学校以外におけます学習機会の提供はもとより、子供たちが安心して過ごせる場所を提供されておりまして、大変有意義な活動をされていると考えております。
内閣府では、平成27年度に、企業や個人からの寄附金を原資といたしまして子供の未来応援基金を創設いたしまして、子供食堂や学習支援を始めとして、居場所の提供、相談支援や衣食住などの生活の支援といった、草の根で子供に寄り添った支援を行っておられる団体へ活動資金を提供しておりまして、これまで、延べ449団体に総額約11億1,700万円を支援してまいりました。
直近におきましては、昨年7月に、毎年度の支援に加えまして、緊急に新型コロナウイルス感染症対策を踏まえました追加支援を行いまして、例えば、オンラインによる学習支援を行うなどの団体に総額約5,300万円を支援いたしますとともに、引き続き、本年度におきましても、96の団体に約1億4,600万円を支援いたしておりまして、子供たちを支える団体への支援の充実強化に取り組んでいるところでございます。
引き続き、子供の未来応援基金を活用しながら、草の根で子供に寄り添った支援を行っておられる団体の活動をしっかりと支えてまいりたいと考えております。
○井上(一)委員
お子さんをお持ちのお母さん方とかは、子供食堂、それから放課後学習支援に非常に期待されていますし、是非とも引き続き温かい支援をよろしくお願いしたいと思います。
賃金の話です。中小企業の皆さんを回っていると、新型コロナ禍で本当に厳しい状況だ、何とか雇用を守りたい、その上で、賃上げも何とかしてあげたいんだと思っておられる経営者の方がおられますが、他方で、賃上げをすると死活問題になってきて、どうしても下請だとそのしわ寄せが全部自分たちに来るので、何とか、この賃上げをした分を元請の方でしっかりと、中小企業に負担がかからないように見てくれないのだろうか、そういうところに政府として温かい支援をしてくれないのかと言われます。
私も本当にそのとおりだと思っているのですが、まず、最低賃金が今どういう状況になっているのか、全国、それから京都府、教えていただきたいと思います。
○小林政府参考人
お答え申し上げます。
地域別最低賃金の全国加重平均額でございますけれども、令和元年度が901円、令和2年度が902円でございます。また、京都府の地域別最低賃金額でございますけれども、こちらは、令和元年10月1日から909円となっておりまして、令和2年度においても据置きとなっております。
以上でございます。
○井上(一)委員
調べてみると、諸外国の実質賃金というのはかなり上がっているんですね。1995年を100とすると、例えばアメリカだったら、たしか115ぐらいまで行っているんです。ほかの国も結構伸びています。しかし、日本は実質賃金がむしろ下がっています。
この状況を何とかやはり変えて実質賃金を上げる、それによって個人消費を増やしていく、そういう経済の回し方をしていかないといけないと思うのですが、賃金を上げるということについては、中小企業の経営者の皆さんにとってはもう本当に死活問題なわけです。だから、何とか賃金を中小企業の経営者の皆さんも上げられる、その分は、きちんと元請の方もコストとしてそこを見るということを政府としてしっかり大手の企業に伝えてほしいと思うのですが、そういった取組について、政府は何かされていますでしょうか。
○飯田政府参考人
お答えいたします。
まず、委員の方から中小企業の賃金の上昇ということでございまして、やはりこれは私どもも非常に大事な課題だと思っております。
中小企業がやはり賃金を上げるためには生産性を向上していただかないといけないということでございますので、ものづくり補助金ですとかIT導入補助金ですとか、様々な補助金なども使いまして中小企業の生産性の向上に向けた取組をまず応援してまいりたいというふうに考えてございます。
その上で、最低賃金のお話もございましたが、最低賃金の引上げなども含めまして、合理的な労務費の上昇というものに関しましては、下請中小企業にしわ寄せにならないように、しっかり取引の適正化を進めてまいりたいというふうに思っております。
具体的には、まず最初の取組といたしましては、下請中小企業振興法というのがございます。この中の振興基準におきまして定めているんですけれども、この中で、親事業者に対しまして、人手不足や最低賃金の引上げに伴う労務費の上昇、こういったものの影響をちゃんと加味して十分に協議をした上で取引対価を決定することを定めております。この振興基準がしっかり守られているかということを見るために、全国120名の下請Gメンによる取引実態の把握を行うとともに、問題事例がございましたら業所管官庁に対して改善への指導助言を要請していくということを行っております。
それから、2つ目に、この問題は様々な業種特性があると思っておりまして、その業種特性を踏まえた取引の適正化の取組を促すという観点から、自主行動計画というものを業界の方々に作っていただいております。現在、16業種49団体により策定をされておりますけれども、そのフォローアップを毎年行いまして、各業界内での取組の定着を図ってまいりたいというふうに思っております。
それから、3つ目でございますけれども、この取引適正化のためには、経営者の巻き込みが重要だというふうに考えております。そのために、大企業と中小企業が共存共栄していくという関係を構築する、取引適正化の徹底を図る、こういった取引環境を整備することを企業の代表者の名前で宣言していただくパートナーシップ構築宣言という仕組みを今活用しております。現在、1,080社が宣言を公表しておりまして、引き続き、更なる企業による宣言を促してまいりたいと思っております。
こうしたことを通じまして、親事業者による適正な取引を促してまいりたいと考えてございます。
○井上(一)委員
是非、政府においては、力強い取組をして、中小企業の経営者の皆さんができる限り賃上げをしやすい、そういう環境づくりに尽力していただきたいと思います。
では、終わります。ありがとうございました。