○井上(一)委員
国民民主党・無所属クラブの井上一徳です。
今日はNHKの決算ということですが、その前に、新型コロナウイルス対策、特に水際対策、これについてお聞きしたいと思います。
4月8日のときにもこの水際対策について、ここに厚労省の方に来ていただいて質問させていただきました。そのときも、4月8日の時点で変異株が猛威を振るっておるということで、大変な危機感を持っていました。そういう状況が続いて、この新型コロナウイルスについてはまだまだ収束の見通しがついていません。そういう中で、明日にでもまた緊急事態宣言の再延長というようなことになっています。
今日の朝日新聞でもありましたが、インド株がじわり拡大ということで、強い感染力で国内で市中感染のおそれがあるとのことです。英国株についても非常に危機感を持っていましたが、今度はインド株になっています。
それで、4月8日のときにも非常に強い問題意識を持って私は質問しまして、そのとき厚労省の方からも、非常に強い危機感を持ってこれについては水際対策を強化していますということでした。
そのときに、お答えになったときが、入国後14日間の待機について誓約書の提出を求めていて、出国前と入国時の2回の検査に加えて、入国後3日目に追加の検査を実施する、それで問題がなければ宿泊施設を出ていってもらって、自主的に隔離をしてもらう、そのときにはアプリを使って位置情報をしっかり提供してもらうということで、万全を尽くしてやっていますという答弁だったわけです。私は、それで一人一人しっかりフォローしてくださいねという強いお願いをしました。
アプリについてはどうも不具合がある、本当に一人一人しっかりその位置情報を確認できているのかどうか分からないという状況になっていますし、朝日新聞によれば、もう25日までに14人からインド型が見つかっています。うち9人は、海外渡航歴がある人との接触などが確認された例で、検疫での流入防止には限界があったことも表しているということで、強化はしているのですが、やはりまだ穴があるということを言わざるを得ないと思います。
この水際対策に係る新たな措置ということで、4月8日のときは3日間だったのを、5月7日には6日に延ばし、5月25日には、今度はこれを10日に延ばしています。
逆に言うと、本当の意味の危機管理でいうと、やはり14日間は宿泊施設でしっかり隔離する、それを大原則にした上で、収束が見通せる時期になってきたら、10日にしたり、6日にしたり、3日にしたりといって緩めていく、これが私は危機管理の原則だと思いますが、今厚労省がやっていることは、後追い、後追いになっています。
それで、こういうインド型が拡大している兆候を踏まえて、政府の対策分科会の尾身会長も、やはり14日間にした方がいいのではないかという声も出ているわけです。
私は、もう一度基本に返って、水際対策を徹底するという意味からも、14日間、政府の施設でしっかり隔離をするという基礎を徹底した方がいいと思いますが、いかがですか。
○浅沼政府参考人
お答えいたします。
今議員から御質問がございました、インドで初めて確認された変異株、B1・617、便宜上、いわゆるインド株と言わせていただきますが、こちらの方ですが、3月中旬にインド政府が、新たに変異株に係る発表を行っておりまして、その後、4月26日に国立感染症研究所が、この株を注目すべき変異株とし、さらに、5月10日にWHOが、5月12日は国立感染症研究所が、当該のこの変異株を、VOC、懸念すべき変異株と評価を変更したところでございます。
それに対しまして、私どもといたしましては、4月28日に、今議員御指摘の、入国後3日目の検査をして、3日間待機、3泊4日をしていただいた後に、入国後14日間の待機を求める扱いとし、5月7日には、インド、ネパール、パキスタンからの入国者につきまして、入国後3日及び6日目に追加の検査を実施し、検疫措置の強化を講じたということで、懸念すべき変異株への評価の変更前には、先んじて強化措置を行っていたところでございます。
さらに、5月25日からは、インド株が流入するリスクがより高いと懸念されるインド、ネパール等6か国からの入国者につきましては、更に、入国後10日目にも、宿泊施設に留め置いて検査を実施する、一層の強化措置を講ずることを決定したところでございます。
14日間ということでございまして、私たちも、原則的には、コロナウイルスの潜伏期14日間ということで考えてはいるんですが、CDC、アメリカの疾病管理庁というところがあるんですが、CDCの数理分析によりますと、14日間何もしないで留め置く効果と、10日間ぐらいきちっと留め置いた上で、そこの施設を出るときに陰性だと確認してリリースする、その後の感染のリスクというのがほぼ一緒、あるいは、検査をちゃんとした上でリリースする方がその後の感染リスクが高くないということも踏まえまして、もちろん、これは拘束することになりますので、できる限り効率的、効果的なことをするということで、10日間とさせていただいたところでございます。
もちろん、念には念が大事ですので、この10日後のいわゆる自宅等待機につきましても、健康フォローアップを確実に実施した上で、入国後14日間の自宅等待機を求めることとしております。
この健康フォローアップも、今議員御指摘のとおり、まだいろいろ不備があるのではないかという御指摘でございまして、それにつきましても、日夜改善を続けて、いわゆる確認ができない人数というのも日々減ってきております。さらに、連絡が取れない場合は見回りの強化なども行って、この14日間の健康状態の確認と自宅等待機の徹底を図ることとしております。
また、水際対策につきましては、我々、検疫だけにとどまらず、インド、ネパール等の6か国からの再入国を、当分の間、特段の事情のない限り拒否する水際強化措置も講じているなど、関係省庁が連携して取り組んでいるところでございます。
引き続き、政府全体として機動的な対応を講じてまいりたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○井上(一)委員
危機管理の発想からいうと、やはり構えは大きい方がいいと思います。空振りしてもよいのです。構えを大きくしておいて、あらゆる危機に対応できるようにしておくことが安心感にもつながるわけです。
私は、政府として特定の施設、宿泊施設に14日間しっかり隔離することをやるべきだと思います。感染してからでは遅いのです。それを強く求めたいと思いますので、是非、政府部内でもう一度しっかり検討していただきたいと思います。
それからあと、緊急事態宣言がまた延期されるということで、前回の総務委員会でも、持続化給付金をもう一度やるべきだということをお願いしました。強く要望しました。大臣にもお話をさせていただきました。
さらには、雇用調整助成金は6月30日で切れることになっているわけです。緊急事態宣言の中でも雇用を確保している企業に対しては、やはり政府は手厚く支援すべきだと思います。早めに、雇用調整助成金を速やかに延期するということを政府として決めて、発表すべきだと思いますが、いかがですか。
○志村政府参考人
お答えさせていただきます。
雇用調整助成金の特例措置につきましては、新型コロナウイルス感染症の感染が拡大する中で、前例のない措置を講じることにより、事業主の雇用の維持の取組等を強力に支援してきたところでございます。
5月、6月について、特に業況が厳しい事業主等に対し、日額上限15,000円、助成率最大10分の10の手厚い支援を引き続き行うこととしております。仮にこれに該当しない場合でも、日額上限13,500円等、リーマン・ショック時を超える水準の支援を行うこととしております。
このため、7月以降、雇用情勢が大きく変化しない限り、通常制度に向けて段階的な見直しを進めていく旨お示ししてきているところですけれども、いずれにしても、雇用情勢等をしっかり見極めながら早急に検討していきたいと考えております。
○井上(一)委員
早急に検討するのは当然なんですけれども、7月以降の延長についても、是非政府として決断していただきたいということを強く求めたいと思います。
それでは、NHKの決算について質問をさせていただきます。
新型コロナの影響で、非常に家計の負担も、日常生活を送っている皆さんも大変苦しい状況にあります。そういう中で、このNHKの受信料の負担をどう減らしていくかというのも喫緊の課題だと思います。
昨年の10月からは2.5%の受信料の引下げということになっておりますが、月額で1割を超える思い切った受信料の引下げにつなげるとおっしゃったわけです。
私は、NHKの現在の受信料の引下げの方針は、2023年度に衛星放送の受信料を1割下げるということが基本方針だと思っていますが、やはり国民の声は、2023年度ではなくて、今、コロナで困っている、まさに今、そして、衛星放送ということではなくて、地上波も含めて、1割ではなくて更なる引下げという声が強いと思います。私は、この声にいかに応えていくかということだと思いますが、まず、総務大臣に、報道によれば、放送法の審議は政府としてもう諦めたというような報道もありますが、これについて、放送法、今国会で是非成立させたいという強い思いを述べておられましたので、総務大臣、いかがですか。
○武田国務大臣
今回提出させていただいております法案については、御指摘の受信料引下げの仕組みの導入を含めたNHK改革に関するものであり、国会で御審議いただき、成立させていただきたい、このように考えております。
○井上(一)委員
であれば、私は、緊急事態宣言も延長される、国会の会期をまたいで延長されるわけです。先ほど申し上げた持続化給付金、雇用調整助成金、政府としてもいろいろな支援策をこれから更に講じていかないといけないということになると、補正予算もやはり審議しないといけないと思います。
私は、国会を延長して、補正予算を審議するのであれば、この放送法も議論できるのではないかと思います。そういうような思いでこの国会で取り組んで、NHKの受信料の引下げにつながる放送法を成立させていくという思いを大臣は今述べられたと思います。
これは会長にもお聞きしたいのですが、放送法は議論されることになっているわけですが、私は、2023年度に衛星放送に特化して1割を下げるというのが今のNHKの基本方針であると思います。これを、2023年度を前倒しして、衛星放送だけではなくて地上放送にも広げて、そして、1割ではなくてそれ以上の引下げということを早期にやるべきだと思いますが、会長、いかがでしょうか。
○前田参考人
お答え申し上げます。
NHKは、受信料につきまして昨年10月に2.5%の値下げを実施いたしました。これまでの負担軽減策と併せ、今年度は年間400億円規模の還元を行うことになっております。さらに、コロナ禍の影響もございまして、受信料収入は、2018年度のピーク時に比べて、今年度予算では400億円余り少ない6,700億強になる予定であります。
NHKには、災害報道の強化や全国ネットワークを生かした情報発信による地域社会への貢献、国際発信の強化、ユニバーサルサービスの拡充などに努める義務がありまして、2023年度に予定しております値下げで受信料を値下げした後でもしっかりと取り組んでいく必要があると考えております。
これを実現するためには、来年度、構造改革に取り組みまして、スリムで強靱なNHKとなるとともに、値下げの原資として700億円程度を確保して、2023年度に確実に値下げを実施してまいりたいということは今まで御説明申し上げてまいりました。
値下げを予定しております2023年度は、衛星波の整理、削減を実施する方針でありますし、衛星付加受信料が従来から地上契約に比べて割高感がずっと継続して指摘されておりますので、今回は値下げは衛星付加受信料について実施したいと現在では考えております。
その具体的内容につきましては、新型コロナウイルス感染症の社会経済への影響、また、今年度から本格的にやります訪問によらない営業活動への移行の状況などを見た上、収支構造をしっかり見極めた上でないとできないと思っております。
受信料の値下げ、ワンショットで下げるということでございませんで、構造的にしっかりと収支が成り立つように見極めませんとできませんので、その点は是非御理解いただきたいと思います。
○井上(一)委員
先ほど会長からも、改革に今取り組まなければもうNHKの未来はないというような話もありました。是非、会長のリーダーシップで強い改革を成し遂げてもらって、国民の皆さんの声に応えられるような改革をしていただきたいと思います。
それでは、残りの時間で、北朝鮮向けの拉致被害者や特定失踪者に向けたラジオ放送についてお尋ねしたいと思います。
政府の拉致対策本部が「ふるさとの風」というラジオ放送を持っており、それから、民間の特定失踪者問題調査会が「しおかぜ」というラジオ放送を行っております。
「ふるさとの風」は、外国の配信会社に委託して、年間費用約1億2,800万円かけてやっています。それで、民間の特定失踪者問題調査会の方は、日本の送信所、具体的にはKDDIの八俣送信所、NHKの国際放送の拠点でもある送信所から送信しています。
私は、北朝鮮にいる拉致されている方々、それから特定失踪者の方々に対しては、日本の国内からラジオ放送した方がいいのではないかということで議論させていただいて、その点については、NHK、それから特定失踪者問題調査会等で話をしてもらって、できる限り日本の方から放送してもらうということで話を進めていただくということになっておりましたが、今その状況についてどのようになっているか、お聞かせいただきたいと思います。
○松坂参考人
お答えいたします。政府は、特定失踪者問題調査会に委託し、毎日1回、「しおかぜ」の枠を使いまして、30分間、八俣送信所から「ふるさとの風」のコンテンツを現在送信しております。
同調査会からは、この政府のコンテンツの送信時間を拡大するため、来年度から送信機の使用時間を1時間程度延長したい旨の要望が寄せられ、先日、NHKと調査会、それに送信機の所有権を有するKDDIの3者で協議を行いました。その際、NHKからは、NHKの国際放送に支障がないことなどを条件に、来年度、調査会の要望どおり、使用時間の延長に応じることが可能である旨を回答しております。
○井上(一)委員
NHKとしても努力していただいていると私自身は評価させていただきたいと思います。
それで、もう1つは、この今あるKDDIの八俣送信所、これはKDDIの所有ですが、NHKの国際放送の拠点になっているという場所です。ここの送信所が老朽化が進んでいるということで、このままいくと、放送できないかもしれないという状況になっています。
これはやはり新規更新が必要だと思いますが、NHKとして、この八俣送信所の新規更新についてはどのように考えておられますか。
○松坂参考人
お答えいたします。
先ほど述べましたように、「しおかぜ」につきましては、NHKやKDDI、特定失踪者問題調査会の3者で覚書を結び、NHKの短波国際放送に支障がないことなどを条件に、一部の送信機の使用を認めているところです。
「しおかぜ」が使用しております送信機は、KDDIの所有物でありますけれども、老朽化は進んでおります。現在、NHKの国際放送にはこの送信機をほとんど使用しておらず、今後も使用する見込みはないため、現状では更新する必要はないと考えております。
「しおかぜ」が使用している送信機に不具合が発生して、別の送信機の使用を調査会から要望された場合は、その時点での送信機の使用状況を踏まえまして判断したいと考えております。
○井上(一)委員
けれども、今の答弁だと、使えなくなったときに改めて相談してもらって、そのときにNHKとして支障がなければ、特定失踪者問題調査会に使うこともその時点で検討しますということだと、送信できない可能性も出てくるわけです。いや、私、それはおかしいと思いますよ。今時点でしっかりと、特定失踪者問題調査会が引き続き放送ができるようにNHKとしても協力していきますという答弁になのではないですか。会長、どうですかね。
○前田参考人
お答え申し上げます。
御指摘の送信機は、KDDIの所有物でございまして、老朽化が進んでおります。現在、NHKの国際放送にはほとんど使っておりませんで、今後も使う見込みはございません。このため、現時点では更新の必要性は感じていません。
短波による国際放送に関しましては、NHKが通常使用しております送信機を十分に活用し、国際発信を行っていきたいと思います。
「しおかぜ」が使用しております送信機に不具合が発生いたしまして、別の送信機の使用を調査会から要請された場合には、その時点でしっかりと対応してまいりたいと思います。
○井上(一)委員
だから、そのしっかり対応というのが、送信できない可能性も残されているような含みのある答弁なわけです。
総務大臣、済みません、最後に、総務省としてもしっかりやりますという答弁をいただけないですか。
○武田国務大臣
拉致問題は菅政権の最重要課題でありますので、この解決のためにはできることは何でもやる、こういう方向性を持って臨んでいきたい、このように考えています。
○井上(一)委員
是非、総務省としても強くバックアップしていただきたいと思います。
ありがとうございました。