主張

新型コロナウイルス感染と憲法

 新型コロナウイルス感染は世界中に拡大し、日本や各国に様々な課題を突き付けています。新型コロナウイルスという未知の敵との戦いにおいて、国際機関の果たす役割は限定的なものにとどまり、各国がそれぞれ独自の戦いを強いられている状況です。そのような状況にあって、わが国では、国の担う役割や地方自治体の担う役割の重要性が改めて認識されるようになりました。

 

 わが国においても、新型コロナウイルス感染拡大を機に、憲法に緊急事態条項を設ける必要があるか否かが議論されるようになっています。

 現行憲法には、参議院の緊急集会の規定以外には、緊急事態に対処するための規定が設けられていません。万が一新型コロナウイルスに多くの国会議員が感染し、定数を満たさなくなった場合の対応をどうするのか、また、国会議員の任期満了時に選挙を行うことができないことになった場合の対応をどうするのか、こういった点については深刻な危機が来る前にしっかり議論しておく必要があります。

 

 また、想像を絶するような超大型の地震など、わが国の存立を揺るがすような危機的な事態が発生し、現行憲法が定める通常の統治の在り方では収拾し難いという事態が生じる可能性を否定することはできません。あらゆる事態に際して、国家には国民を守り抜く責任があり、「対処できない」では済まされません。危機的な事態においても、「超法規的な措置」がとられることなく、あくまで憲法秩序の下で収拾できるような仕組みを、予め憲法に規定しておくことは重要なことです。

 そして、このような危機的な事態において、公共の福祉のためにどうしても国民の権利を制限せざるを得ない場合であっても、真に必要な最小限度のものでなければならないということ、そして、国民が権利制限の内容について理解し、適切な判断を下すためにも国民の知る権利は完全に確保されなければならないという原則を憲法に明記しておくことが大事です。

 

 また、今回の新型コロナウイルス感染の拡大は、国と地方の役割について改めて考えさせる機会にもなりました。そして、都市部に人口が過度に集中することによるリスクの高さも明らかになりました。

 東京一極集中が進む一方で、地方が疲弊する現状を根本的に改める転機ととらえ、国と地方自治体の基本的な役割など憲法を含めた議論を行う必要があると考えています。

 アインシュタインの言葉に「困難の中に機会がある」とあります。日本全体のグランドデザインについて議論すべきときです。

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