国会活動

公的統計に関わる人材

〇第198回国会 衆議院 総務委員会 2019年4月9日(火)

○井上(一)委員 

 希望の党の井上一徳です。

 公的統計は国民共通の財産ですので、二度とこういうことが起こらないというように、再発防止策をしっかりしてほしいという観点から、幾つか質問をしたいと思います。

 まず、前の3月1日の総務委員会で、基幹統計が56、それから一般統計223について問題点の深掘りを今やっていると聞いておりましたので、予定について質問をさせていただいたところ、春までをめどに統一的な審査を行う予定であるとご答弁がありましたが、現在の進捗状況について教えていただきたいと思います。

○横田政府参考人 

 御質問の点検検証部会におきましては、56の基幹統計につきまして、再発防止、それから不適切事案の発生時対応、品質向上、この3点の視点に即しまして、合計で数十項目にわたる書面調査による実態報告を今各府省に求めたというところでございます。

 これを各府省にいただいた上で、現在、週2回のペースでワーキンググループを開催しているところで、これまで計6回、約20時間のヒアリングを行うなど、精力的に審議を行っていただいているところでございます。

 また、200を超える一般統計調査、これにつきましても、基幹統計に準じまして、各府省で自己点検を進めておりまして、基幹統計のヒアリングを終えた後に、点検検証部会へ報告がなされる予定ということになってございます。

 これらの統一的な審査、予備審査ということでございますけれども、この結果を踏まえまして、深掘りすべき課題につきまして重点的な審査を行いました上で、6月又は7月までに第1次の再発防止策等の提案を取りまとめる予定ということで承知しておるところでございます。

○井上(一)委員 

 統一的な審査や、再発防止のための取りまとめについては、統計委員会はどういう関与をするんでしょうか。

○横田政府参考人 

 ただいま、先ほど私の方から御答弁申し上げましたのは、点検検証部会での作業が主になっております。

 この部会におきましてまた議論を行いまして、その上で統計委員会でまた議論が行われるということでございまして、先ほど、第一次の再発防止策というふうに申し上げましたけれども、これは当然、統計委員会で議論なされた結果ということになるということでございます。

○井上(一)委員 

 続きまして、統計に従事する人材というか、人の確保が非常に重要だと思うのですが、総務委員会で質問したところ、平成30年度には、統計に関する定員として、各府省全体で103人の増員をしたということでありました。

 103人の増員は非常にいいことですが、やはり質の高い人材を確保するということが非常に重要だと思います。質の高い人材がきちんと確保されたと理解しておいてよろしいでしょうか。

○横田政府参考人 

 今委員御指摘のとおり、平成30年度は、統計改革全体で103人という増員が行われたところでございます。そのうち純粋に統計分といたしましては各府省で67人ということでございまして、うち総務省で40人の増員が行われたということでございます。

 実際にどういう人材かというところでございますけれども、今申しました総務省の方での例になりますけれども、民間調査会社の経験者であるとかといった外部人材の活用、それからあと、経験豊富なOBを登用するといったようなことで、専門性を有する人材の確保を進めているところでございます。

 また現在、点検検証部会におきましても、いろいろと各府省に対しまして、統計の業務の経験や研修の受講状況といったところで、統計業務に携わる職員の専門性についても調査しているというところでございます。

 これで具体的に検証結果が出てまいりますので、これを踏まえまして、統計人材の確保・育成方針、これをどういうふうに行っていったらいいのかということをまた更に詰めていきたいというふうに考えておるところでございます。

○井上(一)委員 

 あと加えて、採用のほか、研修を通じた能力の強化ということが重要だと思います。統計人材の育成のために、研修の強化について具体的にどのような取組をされているのか、お聞きしたいと思います。

○横田政府参考人 

 今委員御指摘のとおり、この研修ということにつきましては、公的統計の信頼を確保し、品質確保、向上を図るためには非常に重要なことだというふうに考えております。

 これはやはり、各府省の職員が能力向上を行うというインセンティブを付与するということもあわせてまた考えていかなければいけないというふうに思っております。

 このような観点から、政府では、昨年四月に、政府全体を通じた統計人材の確保・育成方針を策定いたしました。

 各府省においては、これに基づいて研修やOJTを通じた能力開発や人事交流などに取り組むということになっておるところでございます。

 具体的には、政府職員全体の統計研修、これは総務省の統計研究研修所が行っておるところでございますけれども、こちらの方で、EBPMやビッグデータなどに関する研修の充実、あるいは職場から参加できるオンライン研修の拡大などに取り組んでおるところでございます。

 さらに、研修期間が3カ月となりますこの本科の研修におきまして優秀な成績をおさめた方には昇給などの処遇改善を行うといったような形で、研修受講のインセンティブにも配慮しているといったようなことを行っているところでございます。

 いずれにいたしましても、このような取組を通じまして、研修効果の充実に努めてまいりたいというふうに考えております。

○井上(一)委員 

 続きまして、調査員の確保について伺いたいと思います。

 統計調査員の高齢化が進んでおりまして、平成27年度においては、登録調査員15・6万人のうち60%を超える約10万人が60歳以上ということで、将来にわたって安定した調査実施の体制を整えることが大事だと思います。調査員の確保や育成について、処遇は7060円程度だったという報道もありましたが、処遇を確保しなければならないと思います。調査員の確保についてどのように取り組んでいくのか、教えていただきたいと思います。

○横田政府参考人 

 今御指摘ございましたように、統計調査を取り巻く環境は非常に厳しさを増しているという中で、この重要な役割を担っている統計調査員の確保、育成ということもかなりな困難を伴っているということでございます。

 このため、育成とそれから確保という観点でございますけれども、総務省では、従来から、統計調査員となることを希望する方をあらかじめ登録し、必要な事前研修を行うということを行っております。さらに、統計調査員として活動している方への研修につきましても、具体的には、調査が困難なオートロックマンションへの対応等のノウハウの共有であるとか、あるいは個人情報保護の扱い、この重要性の徹底といったこと、それからオンライン調査の実習といったようなことで、内容を充実し、統計調査員のスキルアップを図るということを行っておるところでございます。

 また、御指摘ございましたように、高齢化が進んでいる調査員、このなり手の裾野を広げるということも非常に重要なことでございますので、学生や生涯学習の受講者等の任用に向けた取組を進めているということもございます。

 さらには、統計調査員の処遇ということもございます。従来から、公務員給与のベースの改定に合わせて改善を行ってきたということでございますけれども、統計調査員として長きにわたって活動していただいた方にはまた表彰を行うということも行っておるところでございます。

 この統計のあり方について、今後、総合的に検討していくというふうにこれまでも申してきたところでございますけれども、その中で、統計調査員の処遇といったことについてもまた検討していきたいというふうに考えておるところでございます。

○井上(一)委員 

 最後の質問にしたいと思いますが、西村委員長の奮闘によりさまざまな問題点も見つかったりして、統計委員会の役割は非常に重要だと思います。

 統計委員会を更に強化していくということが非常に重要じゃないかと思っておりまして、私自身は、統計委員会の一部委員の常勤化を行うこともして、統計委員会を強化していくということが非常に大事じゃないかなと思っているのですが、石田総務大臣にお聞きしたところ、一定の調査等が整った段階で総合的に考えていくべきというご答弁がございました。

 西村統計委員長に統計委員会の強化をぜひやっていただければと思うのですが、統計委員会の強化について西村統計委員長にお尋ねして、最後の質問にしたいと思います。

○西村参考人 

 統計委員会の強化というのは、もうほとんどこれは待ったなしの状況だというふうに考えております。

 どういう形でやっていくのかというのは、なかなか難しいことがあります。そのためにこそ、政府の後押し、それから国会の後押しというのがどうしても必要だというふうに考えております。

 やはり基本は、統計委員会が司令塔という立場、つまり各府省から独立した第三者機関、これは正確には第三者機関とは言えないんですが、一応第三者機関という形、位置づけにはなっていますので、そういった意味での第三者機関として統計委員会が設置されて、これが、中立それから公正かつ専門的な見地ということから各府省が行う統計調査に対するチェック機能を果たす、さらに、それから、各府省がやるべき統計というのは一体何なのか、そういうことについてもきちんとしたことが言える、そして、各府省の実際の運営体制、それに対して何か物が言えるという形になるのが、これはどうしても必要だというふうに思っています。

 それは、昨年6月の統計法改正では、そういった形で、総務大臣の諮問によることなく自律的、機動的に意見を述べる、つまり、建議ができるという形になったことで所要の規定が整備されたわけですが、これだけでは十分じゃなかったというのが今回の問題の裏にあるわけです。

 したがって、問題、特に再発防止ということを考えれば、現在進んでいる点検検証部会における徹底した検証というものを踏まえて、こういった取組の中で、統計委員会のさらなる機能強化の必要性というのは考えていくべきであろうというふうに思っております。

 以上です。

○井上(一)委員 

 二度とこういう事態が起こらないように再発防止策をしっかりやっていただきたいということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

 

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