国会活動

新型コロナウイルスでの資金繰り対策、感染症での法整備

〇第201回国会 衆議院 総務委員会 2020年3月5日(木)

○井上(一)委員

 希望の党の井上一徳です。

 私も、前回に続いて、新型コロナウイルス対策について質問したいと思います。

 日々、新型コロナウイルスの感染の影響が広がっていまして、地元でも心配する人がふえています。特に、中小の事業者の方とか飲食店の方が、これから年度末を控えて資金繰りが本当にできるだろうかと、本当に心配されています。

 それで、私は、昨日、中小企業庁それから金融庁に資金繰りについて話を聞きました。いろいろな取組をされているのは、事実だと思います。

 まず、中小企業庁、金融庁が、それぞれ、どういう取組をされているかについて、御説明いただきたいと思います。

○奈須野政府参考人

 お答え申し上げます。

 新型コロナウイルスの影響ということでは、御指摘のように、特に資金繰りに関する相談が寄せられております。

 先日、緊急対策を取りまとめておりまして、こうした事業者からの相談状況を踏まえて、当面の緊急的措置として、セーフティーネット貸付け、それからセーフティーネット保証の需要を最大限見積もった結果として、約5,000億円の枠を確保しております。

 まずは、私どもとしては、この執行の加速化に全力を挙げていくということが重要と考えております。

 このため、3月の2日には、早速、全ての都道府県を対象としてセーフティーネット保証4号を発動して、3月3日には、セーフティーネット5号の対象とする業種も公表しております。

○石田政府参考人

 金融庁におきましては、新型コロナウイルス感染症に関しまして、事業者の資金繰りに重大な支障が生じることがないよう、全国の金融機関に対しまして、事業者を訪問するなどの丁寧な経営相談を行うこと、経営の継続に必要な資金の供給及び既存融資の条件変更など適切な対応に努めるよう、2月7日付で要請を行っているところでございます。

 金融機関におきましては、こうした要請を踏まえまして、例えば、緊急相談窓口の設置ですとかあるいは緊急融資制度の取扱いを開始するなど、積極的な事業者支援に取り組んでいるものと承知しております。

 金融庁といたしましては、当該要請に加えまして、新型コロナウイルスに関する金融庁相談ダイヤルを設置し、資金繰り等に関する金融機関との取引に係る相談の受け付けを実施しているところでございます。

 今後も、引き続き、全国の金融機関において適切な事業者支援がなされるよう、金融庁としてしっかりフォローしていきたいというふうに考えております。以上でございます。

○井上(一)委員

 今は、平時ではなくて緊急時ですので、やはり緊急時に応じた、最大限融通をきかせた金融をやっていただきたいと思っています。

 いろいろ政府としても取り組んでいるわけですが、相談がこれからもふえてくると思いますので、相談体制をしっかり確保してほしいと思っています。それから、こういった取組をしていることをぜひ全国の事業者の方々に周知徹底して、少しでも不安感を解消するようにしてほしいと思います。

 政府として、テレビそれから新聞を通じて、特別な金融措置をとっているということを広報していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

○田中政府参考人

 お答えいたします。

 新型コロナウイルス感染症に関しましては、政府において、これまでも首相官邸等のホームページ、災害ツイッターなどのSNSを用いまして迅速な情報発信を行うとともに、政府広報でも、インターネット広告などで周知を図ってきたところでございます。

 今後、今月10日を目途に第2弾となる緊急対策が取りまとめられるものと承知しているところでございまして、今後とも、そうした状況に応じまして、さまざまな手段を用いて情報の発信と周知に取り組んでまいりたいと考えております。

○井上(一)委員

 政府を挙げて周知を徹底していただきたいと思います。

 事業者の方々の不安を解消するということはNHKとしても非常に大事な役割ではないかと思います。NHKとしても取り組んでいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

○木田参考人

 お答えします。

 新型コロナウイルスにつきましては、テレビ、ラジオ、インターネットとあらゆる伝送路を使って、今、情報発信を強化しております。

 政府や自治体などが行うさまざまな対策や取組については、例えば、新型コロナウイルスの特設サイトというのがあるんですが、そこへ行っていただくと、中小企業の経営相談窓口の一覧を掲載するなど今しております。

 引き続き、放送やインターネットでの視聴者・国民の皆様にとって必要な情報を事実に基づいてきちんと丁寧に伝えてまいりたいと考えております。

○井上(一)委員

 しっかり取り組んでいただくことをよろしくお願いします。

 それでは、次に、資料を用意しています。一つ目が、災害対策基本法の資料です。もう一つが、新型インフルエンザ等対策特別措置法の資料です。

 私は、どちらでもかまいませんので、法律に基づいた迅速な措置をとっていただきたいという考え方で、新型インフルエンザ等対策特別措置法が使えないのであれば、私は災害対策基本法に基づいて対応をとるべきだという主張をしております。

 まず、なぜ新型インフルエンザ等対策特別措置法が使えないのか、簡潔に御説明いただきたいと思います。

○吉永政府参考人

 お答え申し上げます。

 新型インフルエンザにつきましては、委員からも資料をお配りいただいてございますけれども、新型インフルエンザ等対策特別措置法におきまして、第2条第1号におきまして、新型インフルエンザか新感染症であって、全国的かつ急速な蔓延のおそれがあるものに限るというものが対象となるものでございます。

 このうち、新型コロナウイルスは新型インフルエンザではございませんので、適用するとすると、新感染症に該当するかどうかという形になりますけれども、この点につきましては、感染症法第6条第9項におきまして、人から人に伝染すると認められる疾病であること、また、既に知られている感染症の疾病とその病状又は治療の結果に明らかに異なるもの等、このいずれにも該当するものと規定されているところでございます。

 新型コロナウイルスにつきましては、未知の感染症ではございませんで、今回の新型コロナウイルス感染症となる病原体が特定されていることから、御指摘のように、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく対応は困難であるというふうに考えてございます。

 政府といたしましては、あらゆる可能性を想定いたしまして、国民生活への影響を最小化するために、新型インフルエンザ等対策特別措置法と同等の措置を講ずることとなるよう、立法措置を早急に進めているところでございます。

○井上(一)委員

 私は、本当に、しゃくし定規ではなくて、こういうときこそ柔軟な解釈があってもよいのではないかと思っております。

 そういう状況であれば、私は、災害対策基本法を使ったらよいのではないかと思っています。

 この災害対策基本法は、災害の定義で、基本的には自然災害とされています。自然災害なのですが、「政令で定める原因により生ずる被害をいう。」ということで、政令で定めれば災害対策基本法が使えます。政令で定めるということは法律よりも早く、迅速に適用できますので、私はこの災害対策基本法を使ったらよいのではないかというふう思っているわけです。

 ちなみに、きょう防衛省・自衛隊にも来てもらっていますが、防衛省・自衛隊では災害派遣として対応しているわけです。だからこそ、災害の定義の部分にある「政令で定める原因」につけ加えればよいのではないかと思っていますが、この点についてはいかがでしょうか。

○村手政府参考人

 お答え申し上げます。

 災害対策基本法におきましては、対象となる災害について、資料にもございますけれども、異常な自然現象により生ずる被害に加えまして、大規模な火事又は爆発による被害を具体的に規定してございます。その上で、さらに、これらの具体的に規定された原因事象により生ずる被害に類する程度の被害をもたらす原因事象を政令で定めることとし、その原因事象により生ずる被害を対象災害に加えるという仕組みになってございます。政令で規定する範囲については法律的に制約があるものと考えてございます。

 また、感染症の分野につきましては、感染症予防法や新型インフルエンザ等対策特別措置法などによって別途法体系が整備されてございます。こうしたことから、政令改正によって新型コロナウイルスを災対法の対象災害の原因事象に加えることには困難があるのではないかと考えてございます。

 以上でございます。

○井上(一)委員

 こうやって、新型インフルエンザ等対策特別法も使えない、災害対策基本法も使えないので、総理から言わせると、新たな法律をつくるしかないとなってしまうわけです。法律をつくるとなると、時間はかかる、時間がかかる間に社会不安は広がるという流れをぜひ早くとめないといけないと思います。

 総理は昨日各党の党首に要請をされて、法的措置をとるということですが、この法律の内容とスケジュール感について教えていただきたいと思います。

○安居政府参考人

 お答え申し上げます。

 危機にあっては、常に最悪の事態を想定しまして、あらかじめ備えることが重要でございます。今後、一定の地域において急激な感染の拡大などが見られた場合に講ずべき措置の具体化は、まさに待ったなしの状況であると認識しております。

 政府としましては、あらゆる可能性を想定し、国民生活への影響を最小化するため、緊急事態宣言の実施も含め、新型インフルエンザ等対策特別措置法と同等の措置を講ずることが可能となるよう、立法措置を早急に進めることとしております。

 なお、資料にございますように、現在の新型インフルエンザ等対策特別措置法におきましては、緊急事態宣言が行われた場合においては、例えば施設の利用制限の要請等、措置を講じることが可能となると承知しております。

○井上(一)委員

 私は、法律をつくるのであれば、ぜひ実効性のある法律をつくっていただきたいと思っています。一つ要望なのですが、災害対策基本法の資料に災害緊急事態への対処というところがあります。こういった特別な、大規模な災害の場合には緊急措置がとれるということで、災害緊急事態の布告をして対応する。その場合に、緊急政令の制定というところを見ていただきたいのですが、災害緊急事態に際して、国会が閉会等により召集等を待つ時間がない場合には、以下の規制を政令により行うことができることになっています。国会が開かれていない場合に内閣が政令でやっていい措置の中に4つあります。生活必需物資の配給、譲渡、引渡しの制限、禁止が政令でできます。国民生活の安定のため必要な物資又は役務等の給付の対価の最高額の決定もできます。それから、金銭債務の支払い延期及び権利の保存期間の延長もできます。海外からの支援の受入れについて必要な措置も閉会中であれば政令でできるということになっているわけです。しかし、国会開会中は、法律で措置するということです。

 例えば金銭債務の支払い延期は今まで2回行われました。大正12年の関東大震災のときには支払い猶予措置として30日間でした。昭和2年の金融恐慌は高橋是清が収束させたということで教科書にも出てきますが、昭和2年の金融恐慌のときは21日間支払い猶予をして金融危機をおさめました。

 私は、最悪の事態に備えるということであれば、必要に応じて内閣がこういう措置も発動できるように法律で規定しておくべきだと私は考えておりますが、その点について政府はどのようなお考えでしょうか。

○安居政府参考人

 先ほど申し上げましたけれども、いずれにいたしましても、インフルエンザ特措法と同等の措置を講ずることが可能となるよう、立法措置を早急に進めたいというふうに考えております。

○井上(一)委員

 こういった最悪の事態に備えた法律をぜひ整備してほしいと思います。

 防衛省は災害派遣で対応しているということです。1月31日に自衛隊の行動命令が発出されて災害派遣活動が開始され、ダイヤモンド・プリンセス号への対応ということで、医官20名、それから看護官28名、部隊からも約60名といった体制で災害派遣活動を行ったと承知しております。

 こういった自衛隊の皆さんが対応されて、自衛隊が最後のとりでですから、更に活動してもらわないといけない場面が想定されるわけですが、自衛隊の中に感染者が出ることは絶対避けないといけないと思います。その点について、防衛省・自衛隊としてはどういう配慮で、どういう取組をされているか、お答えいただきたいと思います。これで最後にしたいと思います。

○椎葉政府参考人

 お答えさせていただきます。

 今回の災害派遣におきましては、内閣官房新型インフルエンザ対策室等から示されております対応策を踏まえつつ、その基準よりも更に安全幅をとりました感染防護基準を定めまして、隊員の感染防護に万全を期しているところでございます。現時点では、災害派遣に従事した隊員から感染者は出ていないところでございます。

 一方、国内の複数地域におきまして散発的に感染が報告されていることから、今後、自衛隊員への感染が生ずる可能性も念頭に置く必要があると考えているところでございます。

 防衛省・自衛隊といたしましては、個々の患者発生がクラスターとならないよう、手洗い、せきエチケット等の一般感染対策を徹底するほか、テレワークや時差出勤の推進、また発熱等の風邪症状が見られる場合等の特別休暇の利用など、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に積極的に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

○井上(一)委員

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

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