○井上一徳君
国民民主党・無所属クラブの井上一徳です。
ただいま議題となりました地方税法等の一部を改正する法律案等について、会派を代表して質問をさせていただきます。
まず、2月13日に発生した福島県、宮城県を中心とする地震により被害を受けられた方々にお見舞いを申し上げるとともに、政府には一日も早い復旧に取り組んでいただきたいと思います。
また、新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになられた方々に改めて哀悼の誠をささげるとともに、治療中の皆様にお見舞いを申し上げ、そして、厳しい状況下において力を尽くされている医療従事者の方々に心より敬意と感謝を申し上げます。
新型コロナウイルス感染症は日本の抱える様々な問題を顕在化させましたが、その一つとして、都市に人口が集中するリスクが改めて浮き彫りになりました。
新型コロナウイルスの感染状況からも明らかなように、都市集中のデメリットは大きくなっています。今こそ都市と地方の在り方を抜本的に見直すときです。地方が衰退し、都市集中が進む現状を大きく変えていかなければなりません。
今求められているのは、地方衰退と都市集中の同時解消であり、全国的に均衡の取れた、美しく、住みやすい日本の実現です。そのためには、権限や予算、人材を地方に大きく振り向け、地域住民に密着する地方公共団体が、地域の実情に応じた政策を迅速、的確に実行できる仕組みが必要です。
まず、政府の地方創生に関する取組について伺います。
2014年に作られたまち・ひと・しごと創生総合戦略では、2020年時点で東京圏から地方への転出、転入を均衡させ、東京一極集中の流れを止めると宣言していましたが、この目標を達成することはできず、むしろ加速化しました。
政府は、2024年度に目標を再設定しましたが、今までのような政策を続けていて、本当にこの目標を達成することができるのでしょうか。
コロナ禍で東京都内を離れる人は増えており、昨年7月から6か月連続で転出超過になっていますが、転出先は、近隣の神奈川、埼玉、千葉が中心で、東京圏への一極集中是正にはほど遠い状況です。
日本は、世界の中でも本社機能が首都圏に集中している国です。コロナ禍を機に本社機能を地方に移す動きが見られていますが、まだまだ少数にとどまっています。本社機能を地方へ移す動きを一層促すためにも、税制面などで本格的な支援を行うことが必要ではないでしょうか。
地方財政の在り方そのものについても議論が必要です。
我が国の財政は、最終支出ベースにおける国と地方の比率は4対6になっていますが、他方で、国民が負担する租税収入の配分における国と地方の比率は6対4と逆転しています。
国と地方の役割分担の大幅な見直しと併せて、地方が自由に使える財源を拡充するという観点から、国、地方間の税財源の配分の在り方を見直す必要があるのではないでしょうか。使途を限定しない、いわゆるひもつきではない一括交付金制度を復活させることも検討してみるべきではないでしょうか。
全国の政令指定都市で構成する指定都市市長会は、大都市制度改革として特別自治市創設を提言しています。現在の政令市制度に代わり、道府県の事務権限までを市が一元的に担う制度です。政府の第30次地方制度調査会も、平成25年に取りまとめた答申の中で、特別自治市について言及し、二重行政が解消されると指摘しています。特別自治市構想について政府はどのように考えていますか。
以上が私の質問です。
地方の発展なくして日本の発展はありません。コロナ禍を機に多くの方々が自分の生活スタイルや人生を見詰め直しておられます。今こそ国と地方の在り方を抜本的に見直す時期だと再度申し上げ、私の代表質問とさせていただきます。
御清聴ありがとうございました。
○国務大臣(武田良太君)
井上議員からの質問にお答えをいたします。
まず、国と地方の税源配分について御質問いただきました。
地方税の充実に関しては、これまでも、個人住民税の10%比例税率化による3兆円の税源移譲、消費税率引上げに際しての地方消費税の拡充などに取り組んできたところであります。
国、地方の税源配分については、国と地方の財政健全化や地方団体間の財政力格差などへの配慮も必要と考えております。
今後も、税源の偏在性が小さく、税収が安定的な地方税体系の構築に取り組みつつ、地方の行政サービスをできる限り地方税で賄うことができるよう、地方税の充実確保に努めてまいります。
次に、特別自治市について御質問をいただきました。
指定都市市長会が創設を提言している特別自治市については、第30次地方制度調査会の答申において、その意義を認める一方で、周辺自治体に対する都道府県の行政サービス提供への影響についての懸念などが指摘をされております。
大都市制度の在り方については、これまでも累次の地方制度調査会などで検討が行われ、必要な制度の見直しを講じてきており、その在り方については、これまでの検討経緯や制度の活用状況も踏まえつつ、慎重に検討すべき課題と考えております。
○国務大臣(坂本哲志君)
東京圏への一極集中の是正についてお尋ねがありました。
第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略では、2024年度に地方と東京圏との転入、転出を均衡させることを目標としており、この達成に向けて、第1期総合戦略の基本目標に、新たに、多様な人材の活躍を推進する、新しい時代の流れを力にするの2つの横断的目標を追加するなど、取組の強化を図っております。
さらに、昨年12月の改定においては、新型コロナウイルス感染症を契機としたテレワークの拡大や地方への関心の高まり等の動きを踏まえ、地方創生テレワークを強力に推進するなど、新しい地方創生の取組を進めることとしております。
こうした取組を通じて、東京圏からの地方への力強い人の流れをつくり出し、一極集中の是正につなげてまいります。
企業の本社機能の地方移転についてお尋ねがありました。
企業の拠点の所在は、一般に、顧客や取引先との関係、経営コストへの影響、人材の確保等、様々な要素を総合的に勘案した経営判断により決定されると承知しています。
こうした要素のうち、コストに係る支援措置として、地方拠点強化税制を講じており、令和2年度税制改正では、インセンティブ強化等の見直しを行っています。
本税制や人材確保等も含めた関係施策を講じることで、引き続き、企業の地方拠点の強化を促進してまいります。
一括交付金制度の復活についてお尋ねがありました。
民主党政権時代に、地域の自主的な選択に基づく事業の実施を目指し、各省庁の投資補助金の一部を一括化し、都道府県、指定都市を対象とする地域自主戦略交付金を創設したものと承知しています。
これについては、運用される中で、地方公共団体から、対象事業が従来の補助金事業に限定されていること、事業規模の年度間の変動や地域間の偏在を考慮すると、交付対象団体を一般市町村にまで拡大することが困難であったこと、手続が煩雑であることといった課題が指摘されたことから、平成25年度に廃止され、各省庁の交付金等に移行をいたしました。
その際、地方からの意見も踏まえ、関係各省庁において、事業別に細分化されていた整備計画をより大きな政策目標別にまとめることや、事務手続を簡素化することなどの運用改善を行ったところです。
このように、地方の意見を踏まえ、真に地方にとって効果が高く、使い勝手のよい施策の仕組みづくりを推進することが重要と考えています。
以上です。