○井上(一)委員
国民民主党・無所属クラブの井上一徳です。
今日は、新型コロナ対策を始めいろいろな質問をしたいのですが、その前に、まず、拉致被害者の方々に対する北朝鮮向けラジオ放送について議論をしておきたいと思っています。
北朝鮮向けラジオ放送は2つありまして、1つが「ふるさとの風」という政府の番組です。これは、拉致対策本部が実施しておりまして、2007年7月から、英国の配信会社に委託して海外から送信しています。費用が令和2年で年間約1億5千万円です。
もう1つが、民間の「しおかぜ」という放送があります。特定失踪者問題調査会が実施されておりまして、最初は英国の配信会社に委託してやっていましたが、今はNHKの国際放送の拠点であるKDDIの八俣送信所より送信しています。年間約2千2百万円で寄附金等を使い送信していると聞いております。
北朝鮮におられる拉致被害者の方々は、非常につらい立場で今なおおられると思います。生きる希望も、もはやないような状況で、今生活しておられると思います。そういう方々に対して、日本からラジオ放送を送って、希望をつなげてください、日本政府は救出しますというメッセージを送っているわけです。
そういう意味でいくと、私は、政府がやっている「ふるさとの風」こそが日本から送信すべきだと思っていまして、なぜ「ふるさとの風」を海外の配信会社に委託し、しかもそれを海外から送信しているのかと思います。やはり日本から送信すべきだという問題意識で、質問や議論をさせていただきたいと思います。
それではまず、「しおかぜ」は民間の特定失踪者問題調査会が実施されているものですが、「しおかぜ」について、政府が承知している範囲で御説明ください。
○岡本政府参考人
お答えいたします。
特定失踪者問題調査会のホームページによりますと、北朝鮮向けラジオ放送「しおかぜ」は、拉致被害者に対して日本での救出努力について伝えること、北朝鮮当局に注意しつつ情報を外部に出すよう伝えること、北朝鮮情勢について外部から情報注入することなどを目的として、平成17年より放送されているとのことでございます。
現在、毎日2時間、国内の送信所から放送されているものと承知しております。
以上でございます。
○井上(一)委員
それでは続いて、政府が行っている「ふるさとの風」について、その概要を御説明いただきたいと思います。
○岡本政府参考人
政府拉致問題対策本部は、北朝鮮に向けて、日本語ラジオ放送「ふるさとの風」と韓国語ラジオ放送「日本の風」を平成19年より放送しております。
「ふるさとの風」におきましては、拉致被害者に向けて、御家族の声や励ましのメッセージ、拉致問題に対する政府の取組や国内外の情勢などを伝えており、また、「日本の風」におきましては、北朝鮮の人々に対して、日本の文化や生活の紹介など我が国に対する理解を増進する情報や、拉致問題を含む国内外の情勢などについて伝えております。
現在、「ふるさとの風」、「日本の風」合わせて毎日4時間、海外の送信所から放送しております。
○井上(一)委員
済みません。予算も含めて御説明ください。
○石田委員長
では、もう一度、岡本内閣審議官。
○岡本政府参考人
令和2年度予算に計上された「ふるさとの風」、「日本の風」関連経費は、約1億2千8百万円でございます。
○井上(一)委員
年間約1億2千8百万円ということですね。失礼をいたしました。
それで、「しおかぜ」は、KDDIの八俣送信所、NHKの国際放送の拠点から送信されていますが、「ふるさとの風」は、英国の子会社に委託して海外から送信されています。この経緯を御説明ください。
○岡本政府参考人
お答え申し上げます。平成19年に「ふるさとの風」、「日本の風」の放送を開始するに当たりまして、どの送信所を使って放送するのか検討いたしましたが、日本国内にある海外向け短波ラジオ放送の送信所は、KDDIが所有し、NHKが独占的使用権を有する茨城県古河市の八俣送信所しかございません。他方、NHKは、拉致問題に限らず、政府が制作した番組の放送を行うことができないことから、海外の送信所を利用することとしたものであります。
平成19年当時、海外に送信拠点を有する会社で、安定的、継続的に北朝鮮向け短波ラジオ放送を実施できる会社は、英国とオーストラリアの会社のみでございましたので、当初この2社に送信を委託しました。その後、オーストラリアの会社が、北朝鮮向けに短波放送を送信していた送信所を閉鎖したために、平成22年以降、英国の会社に送信を委託してきております。
○井上(一)委員
私の問題意識は、英国の会社を通して第3国から送信するのではなくて、日本から送信するべきだと思っているのですが、この点については、拉致対策本部としてはどういう認識ですか。
○岡本政府参考人
お答え申し上げます。
日本国内の海外向け短波ラジオ放送に係る送信所、先ほど申し上げましたように、八俣送信所のみでございます。この送信所は、NHKが独占的使用権を有しておりますので、北朝鮮向け短波ラジオ放送「ふるさとの風」を国内から放送するには、この番組をNHKから放送してもらうか、八俣送信所の使用権、放送枠ですね、これを一部NHKから借り受ける、このいずれかによる必要があります。
このうち、「ふるさとの風」をNHKに放送してもらうことは、NHKは自ら制作した番組以外の番組の放送は行っておりませんので、これはできないと考えられます。また、NHKが独占的使用権を有しておりますこの八俣送信所の使用権、放送枠の一部を政府が借り受けることについても、NHKに照会いたしましたが、困難としております。
一方、民間団体の特定失踪者問題調査会は、同会が運営する北朝鮮向け短波ラジオ放送「しおかぜ」の放送のために、1日2時間30分の放送枠をNHKから借り受けております。この2時間30分の放送枠のうち、2時間を「しおかぜ」の放送に充てて、残りの30分につきましては、政府からの委託を受けて、「ふるさとの風」の放送に充てております。
したがいまして、現在も、「ふるさとの風」は、海外の送信所を使って放送するとともに、加えて、1日30分、国内の送信所を使って北朝鮮に向けて短波ラジオ放送を行っております。「ふるさとの風」の送信拠点につきましては、北朝鮮に向けて安定的に放送できるよう、日本国内からの送信も含めまして、いかなる手段によることが最も望ましいのか、不断の検討を重ねつつ、適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
○井上(一)委員
拉致対策本部としては国内から送信したいという思いです。その思いで、八俣の通信所、送信所を使いたいということです。しかし、NHKが持っています。
NHKに対して、昨年の2月17日に、内閣官房の拉致対策本部から二つ聞いています。一つは、NHKの放送網を使って「ふるさとの風」の番組内容を放送できますか、もう一つが、「ふるさとの風」を放送するに当たり、NHKの放送拠点となっているKDDIの八俣送信所を使用できますかという、この二つを質問されたわけですね。昨年の2月17日で、もう1年近くたちます。
まず、問合せの内容について簡潔に御説明ください。総務省を通じて、NHKに2つ質問されたわけですが、その質問の内容を簡潔に御説明ください。
○岡本政府参考人
お答え申し上げます。
ただいま委員から、先生からお話があったとおりでございますけれども、正確にその質問内容を申し上げますと、2月17日付で、NHKに対しまして、二点でございますが、一点目は、当方から、私どもから「ふるさとの風」「日本の風」のコンテンツをNHKに渡して、NHKの放送として、現行の「ふるさとの風」「日本の風」の海外からの送信と同じ時間帯又はそれ以外のNHKが送信機を使用しない空き時間でNHKの放送枠を用いて放送することの可否、それから二点目が、当方が、私ども政府が、特定失踪者問題調査会と同様に、総務省から無線通信業務に係る特別業務の局として免許を取得した上で、NHKから八俣送信所の使用権を一部借り受けて、北朝鮮向けに「ふるさとの風」「日本の風」を送信することの可否、この二点について照会いたしました。
○井上(一)委員
それで、これは昨年の2月17日ですから、約1年たっているわけですが、NHKとしてはこの問合せに対してどういう回答をされたか、御説明ください。
○松坂参考人
お答えいたします。
拉致問題は、NHKにとってもしっかり扱うべき重要なテーマだと認識をしております。
拉致問題対策本部からの検討依頼のうち、政府のコンテンツをそのままNHKの放送として放送することについては、番組編集の自主自律の観点からお受けできないと考えているというふうにお答えいたしました。
それから、八俣送信所の送信機につきましては、これまで、独占的使用権を有するNHKと所有権を有するKDDI、それに特定失踪者問題調査会の三者の合意の下、調査会の使用を認め、「しおかぜ」の送信が行われてきております。使用を認める相手方が増えまして複数になると、調整が複雑になると考えているところであります。
○井上(一)委員
NHKが回答されたわけですが、まず一つ目、自主自律の編成権ということでした。
放送法の65条について確認しておきたいと思います。「国際放送の実施の要請等」ということで、総務大臣は、協会に対し、放送区域、放送事項、邦人の生命とか身体及び財産の保護に係る事項、国の重要な政策に係る事項、国の文化、伝統及び社会経済に係る重要事項云々、その他必要な事項を指定して国際放送又は協会国際衛星放送を行うことを要請することができると規定されています。このように、国際放送に対しては総務大臣は要請できるということになっているわけです。
私は、この規定を使うこともできるのではないかと思っていますが、その点について、総務省はどういうようなお考えでしょうか。
○秋本政府参考人
お答えいたします。
委員から今御指摘のございました放送法の65条に、国際放送の実施要請についての規定がございます。
この規定に基づきまして、今年度、令和2年度につきましては、北朝鮮による日本人拉致問題に特に留意することなどの文言を入れたラジオ国際放送の実施要請を行っております。
一方で、同じ65条の第2項におきまして、「要請をする場合には、協会の放送番組の編集の自由に配慮しなければならない。」という規定がございます。個別の放送内容については、NHKの自主的な判断に委ねられるものと認識をしております。
○井上(一)委員
今の放送法の解釈をしていただきました。
そうすると、二つ目なんですね。
KDDIが所有している八俣の送信所を使うことはできないかという問いに、今まで三者やっていてもう一者入ると調整が複雑になるとのことでした。しかし、調整が複雑になるのは当然です。調整が複雑になるということだけで、使えるか使えないかが分からないわけです。使うことができるかどうかということについて、NHKはどうですか。
○松坂参考人
八俣送信所の送信機につきましては、先ほども述べましたけれども、NHK、KDDI、特定失踪者問題調査会の三者で覚書を結び、NHKの国際放送に支障がないことなどを条件に調査会に対して使用を認めてきました。
この枠組みをそのまま利用し、政府が調査会への委託を増やすということであれば、仮にその分調査会による送信機の使用時間の延長が必要になったとしても、NHKにとっては使用を認める相手方は変わらないことになります。
先ほど拉致対策本部からの答弁でありましたけれども、現状でも、毎日1回「しおかぜ」の枠を使って、30分間、八俣送信所からコンテンツを送信していることは承知しております。
今後、調査会から使用時間を延長したいとの要望があれば、NHK、KDDI、調査会の三者の枠組みの下、NHKの国際放送に支障がないかなどの観点から検討を行っていきたいというふうに考えております。
○井上(一)委員
私は依然として、三者が四者になって調整が複雑になるというだけで、八俣の送信所を政府が使うことはできるのではないかと思っているのですが、NHKの回答に対して内閣官房拉致対策本部はどういうような見解ですか。
○岡本政府参考人
お答え申し上げます。
ただいまNHKから答弁がございましたように、「しおかぜ」による「ふるさとの風」の委託放送枠、これは現在も行っておりますが、この現在の30分からこれを拡大することにつきましては、NHK、特定失踪者問題調査会、それから八俣送信所を所有するKDDI等、関係者の意向を踏まえながら、その可能性を検討する余地はあるということでございました。
他方、この検討を行うに当たりましては、調査会がNHKから借り受けていますこの放送枠については、八俣送信所の保守用送信設備、すなわち、バックアップ用の予備機の使用権でありまして、仮にNHKの放送に不具合が生じた際には、予備機がNHKに優先的に割り当てられて、調査会は使用できなくなり、調査会に委託している政府の「ふるさとの風」も放送できなくなってしまう可能性があるということに留意する必要があります。
したがいまして、仮に「しおかぜ」による「ふるさとの風」の委託放送の時間枠の拡充が実現したといたしましても、北朝鮮に対する安定的な放送の継続を確保する観点から、海外からの送信につきましても、引き続き維持する必要があるとは考えております。
いずれにしましても、「ふるさとの風」の送信拠点につきましては、北朝鮮に向けて安定的に放送できますように、国内からの送信も含めまして、いかなる手段によるのが最も望ましいのか、不断の検討を重ねながら適切に対応してまいりたいと考えております。
○井上(一)委員
今の政府の説明を聞いていると、拉致対策本部としては、自分自らがそこの管理をするという考えはないが、今「しおかぜ」に委託している部分を拡充していくというのが一つの考え方だということだったと思います。
私も、調整に時間がかかるということはよく分かりますので、一つのやり方としては、「しおかぜ」が持っている番組の中で政府の枠を広げるとか、さらには、政府がほとんどそれを使用するということも私は考えられると思います。そういう方向で是非、政府、拉致対策本部、それからNHK、それから総務省も関係してくると思いますので、しっかり調整をしていただきたいと思います。
まず、その点について、拉致対策本部、どうでしょうか。
○岡本政府参考人
安定的な放送を確保するためには放送手段を多元的に構えておく必要があると思いますので、国内からの放送の拡充も含めまして検討してまいりたいというふうに考えております。
○井上(一)委員
是非、検討するというよりは、やる方向で詳細を詰めていってほしいと思います。NHKにも見解をお聞きしたいと思います。
○松坂参考人
三者の間で検討を進めていきたいというふうに考えております。
○井上(一)委員
では、これは最後は総務大臣に締めで御発言いただきたいのですが、周波数の割当てについては、総務省、総務大臣の権限になると思います。そういう意味で、総務省もしっかり両者の調整をバックアップしていただきたいと思いますし、日本からの放送がしっかりできるように総務省の御支援もいただきたいと思います。いかがでしょうか。
○武田国務大臣
菅政権の最重要課題がこの拉致の問題でありまして、拉致被害者等に向けた情報発信の強化というものを図っていくことは、これは政府を挙げて取り組んでいかなくてはならない問題だと思っております。
御指摘のように、周波数の国際調整などの今後とも必要な対応を行ってまいりたいと考えております。
○井上(一)委員
是非、大臣、御支援よろしくお願いいたします。
それでは、続いて、コロナ対策について伺います。
2月7日に緊急事態宣言が延長されました。ただ、感染者数も徐々に減ってきてはおりますが、経済状況は深刻で、今日も、株価は3万円を超えたという報道がありましたが、地方の経済状況はひどい状況です。もう店は本当にやっていられないという方々が地元を回っても本当に多くおられます。
それで、まず、時短要請協力金についてお聞きしたいと思います。
緊急事態宣言対象地域では一律に6万円ということになっていますが、大規模な飲食店にしてみれば6万円では固定費を賄えないというような意見も出ていますし、他方で、個人経営のような小さな飲食店については売上げを超える支給になっているのではないかというような意見も他方であります。
小さな飲食店の方々も、正直、6万円も必要ではないと思っておられます。ただ、周りの人からは、あなたのところはいいね、6万円ももらえて、私のところは何も出ないのにという声も聞こえてきて、飲食店の方々も、自分のところに全く非がないにもかかわらず困っておられるわけです。
私は、国民全体が心を一つにしてこのコロナを乗り越えていこうというときに、余り分断があるのはよくないと思っています。
そういう意味で、私は、補償あるいは支援をするのであれば、事業規模に応じた支援が大事だと思っていますが、まず、一律6万円の支援について、不平不満の声が政府に聞こえてきているでしょうか。
○梶尾政府参考人
お答え申し上げます。ただいま御指摘のありましたような一律の支給になっているということで、大規模な店では固定費も賄えないような場合、あるいは小規模な店では売上げより多い、そういったような御意見があることは私どもも承知しているところでございます。
○井上(一)委員
小さな飲食店のところはどうでしょうか。
○梶尾政府参考人
失礼しました。
小さなお店については、売上げよりも多いというようなことが、御意見があるということも承知しているところでございます。
○井上(一)委員
1月29日の官房長官の記者会見のときに、事業規模に応じた支援の在り方を検討するという御発言もあるのですが、これを踏まえて内閣官房として何か検討はされているのでしょうか。
○梶尾政府参考人
お答え申し上げます。
協力金につきましては、地域の実情に応じました各自治体での判断で対象事業者ごとに異なる支援額を設定することは制度上可能ではございますけれども、事務負担の軽減ですとか、交付手続の迅速化の観点から、一般に支援額を一律にしているというふうに承知しております。
そして、これまでも、大企業も含めて対象にしますとか、あるいは店舗ごとで協力金を算定するということ、また雇用調整助成金により人件費も含めた対応ということもございまして、規模に配慮した支援となっておりまして、飲食店の人件費や固定費のかなりの部分をカバーできるというふうには考えております。
引き続きしっかりとした支援を行っていくことでございますけれども、今般、特別措置法の改正で、支援の規定というのを創設いたしました。したがいまして、特別措置法に基づく要請に伴います支援につきましては、要請の内容や、それによる経営への影響の度合いなどを勘案して、公平性の観点や円滑な執行が行われることに配慮して、要請に十分な理解と協力が得られるようにするために、必要な支援となるように取り組んでいきたいというふうに思っております。
○井上(一)委員
公平性というのも支給に当たっては重視していただきたいと思いますので、引き続き、事業規模に応じた補償的支援を検討していっていただきたいと思います。
次は、緊急事態宣言の影響緩和に係る一時支援金ということで、飲食店の方々以外にも困っておられる方に支援をしていくということで、小企業庁の方で検討されていると思いますが、この概要について御説明ください。
○飯田政府参考人
お答えいたします。
一時支援金の検討状況でございます。
今、要件の詳細につきまして検討中でございます。3月頭の申請の受付の開始に向けまして、申請を検討されておられる事業者の方々の参考となるように、2月の10日に、現時点での検討内容を公表させていただいております。その中では、対象となる事業者のより具体的なイメージですとか、申請プロセスや事務手続の概要などについて触れさせていただいております。
また、制度の概要の公表と併せまして、申請要領ですとか、QAの作成に当たって参考とするために、御質問、御意見などを受け付ける問合せフォームをホームページ上に設置をしてございます。
こういった御意見、御質問なども参考にしながら、2月の下旬を目途に、もう少し詳細な申請要領やQAを作成、公表していく予定でございます。
○井上(一)委員
飲食店というと、居酒屋をイメージしやすいのですが、他方で、喫茶店も、同じようにコロナ対策をしっかりやった上で、感染が広がらないようにと努力をされているわけです。
ただ、喫茶店の場合、例えば7時ぐらいに終わってしまうというようなところがあって、時短要請の対象ではないですから、自分のところはもらえない。他方で、隣の居酒屋はもらえているということで、不公平感になっているわけです。
そういう意味で、この一時支援金、額は休業支援金に比べれば少ないのですが、それでも支援をするという姿勢は大事だと思います。今言った喫茶店のようなところも対象に含まれると考えておいてよろしいでしょうか。
○飯田政府参考人
お答えいたします。
一時支援金、御地元などの喫茶店のお話でございますけれども、一時支援金につきましては、緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業に加えまして、不要不急の外出、それから移動の自粛により影響を受けた事業者の方々も対象になり得ます。
したがいまして、時短要請の対象となっていない喫茶店などの事業者を含めて、主に対面で個人向けに商品、サービスの提供を行う事業者の方々であっても、緊急事態宣言に伴いまして外出自粛の要請を受けて売上げが大幅に減少した事業者であれば対象となり得ると考えておりまして、先ほど申し上げましたQAなどの中でもしっかりお示しをしていきたいと考えてございます。
○井上(一)委員
大変困っている業者の方々は本当に多くおられるので、幅広く業種の対象を考えていただきたいと思います。
その上で、持続化給付金の第2弾についても是非実施していただきたいということを強く要望しておきたいと思います。
続きまして、GoToトラベルです。
京都北部も例えば天橋立とか観光地は多くありますが、今回GoToトラベルが急に停止ということになって大打撃になっています。全国一律でGoToキャンペーンをやるかやらないかとなると、京都北部は感染者の方はほとんどおられません。にもかかわらず、全国的にやったりやめたりするので影響がすごく大きくなっています。
私は地方ごとにGoToキャンペーンができないかと思っておりまして、この点について、2月8日の予算委員会でも、赤羽国土交通大臣がトラベル事業に関して地域を限定して再開することも一考ではないかという発言をされていますが、今この検討はどのような状況になっているでしょうか。
○村田政府参考人
お答え申し上げます。
現在、GoToトラベル事業につきましては、先生御指摘のとおり、緊急事態宣言の発出に伴いまして、年末からの全国一律の停止措置を継続しているところでございます。
緊急事態宣言が今後解除された後の本事業の取扱いにつきましては、今後の感染状況の見通しや医療の提供体制の状況等を踏まえまして、政府の分科会の御意見もいただきながら、内閣官房を始めとした関係省庁とも連携の上、改めて政府全体として判断していくものと考えております。
御指摘の地域限定での再開でございますが、全国知事会から、GoToキャンペーン事業については、感染状況などの地域の実情を踏まえ、感染が落ち着いている地域の宿泊施設をその地域の住民が利用する場合に限って再開してほしいとの緊急提言もいただいているところでございまして、一つのアイデアとして検討を進めていきたいというふうに考えております。
いずれにいたしましても、事業の再開の検討に際しましては、国民の皆様が安心して旅行できる環境を醸成できますように、改めて感染防止対策を徹底するなど必要な見直しを含めて今後取り組んでまいります。
○井上(一)委員
感染防止対策を徹底するのはもちろんですけれども、地域限定のGoToキャンペーンについても是非検討を更に深めていっていただきたいと思います。
次は、地元を回っていて聞く話ですが、コロナ禍において、子育てを非常にストレスを感じながらやっているという方もおられまして、今回、財務省の個人所得課税改正の説明を聞いた中で、国や地方自治体の実施する子育てに係る助成は非課税にするということで考えておられるようですが、こうした措置を行う背景について御説明いただきたいと思います。
○小野政府参考人
お答えいたします。
保育の負担軽減を図る形での少子化対策は重要でございまして、こうした観点から、保育を主とする助成を国、さらには自治体が実施する動きが広がってきていると認識しております。
このため、今般の所得税法等の改正におきましては、学資金が所得税法上非課税とされていることや、幼児教育、保育無償化により国から受ける補助については子ども・子育て支援法で非課税とされていることなども踏まえまして、子育て支援の観点から、保育を主とする国や自治体からの子育てに係る助成等について所得税を非課税とする措置を講じることとしておりまして、現在、所要の法案を国会に提出して御審議をお願いしているところでございます。
○井上(一)委員
私は、子育てに係る助成で支援していくというのは、いい方向だと評価しています。
これも地元を回っているときに聞いた話ですが、中小企業の経営者で、従業員の方で子育てしている人がいて、その人に対して保育料を是非支援してあげたいと思って、こういった手当をした場合にもらいますかと聞いたようです。
本人は、保育料の支援になるわけですから、いただけるものはいただきたいということだったのですが、よく調べてみると、それは課税対象になっています。課税対象になると扶養控除を超えてしまうので、せっかくの申出ですが、保育料に対する手当というか支援は遠慮させていただきますというような話がありました。先ほどの国と地方公共団体の支援と同じように、企業から保育料を支援する場合についても非課税措置としてもよいのではないかと思うのですが、いかがですか。
○小野政府参考人
お答え申し上げます。
御指摘のような、企業から従業員への助成につきましては様々なものがあり得ると承知してございます。その中で、給与その他対価の性質を有するものは給与所得として課税することが原則となってございまして、保育に係る助成を企業が直接従業員に行った場合についても、基本的には給与として課税されることとなります。
仮に、企業から従業員への保育に係る助成について所得税を非課税とする場合には、本来給与とされるべき収入からの振替が生じるなど課税逃れが起こり得ること、企業はいろいろな助成を従業員に対して出しておりますけれども、そうしたものとのバランス、あるいは事業所得者の方との公平性など、様々な観点を踏まえる必要があり、慎重な検討が必要であると考えております。
○井上(一)委員
慎重な検討ということは、ほとんどやらないと聞こえます。非課税所得については所得税法9条に様々なものが書かれています。学資金、それから通勤手当も非課税です。そういうものと同じように、保育料についても、私は非課税にした方がいいし、これから子育てしやすい社会にしていくという観点からは、非課税にすべきだと思っているのですが、いかがでしょうか。
○小野政府参考人
お答えいたします。
繰り返しになりますけれども、恐らく、子育て支援という名目で従業員に直接企業が助成を行っているような場合には、本来給与とされる収入、これとの区別をどうするかといったことを始めとして様々な問題があると考えておりまして、いずれにせよ、慎重な検討が必要であると考えております。
○井上(一)委員
正直、今のそういう答弁だと、菅政権、自民党は、子育てに対して非常に後ろ向きだと思います。私はそれは強く言います。法律改正だからすぐにできないにしても、今の状況を踏まえたら、前向きに検討していくべきではないですか。
自民党の皆さん、子育て、保育料を中小企業の経営者が出したいが、受け取ると課税になっているから困っています。これは非課税にしてもいいのではないでしょうか。今日は事務方しか呼んでいないので、政治的な判断はなかなか難しいと思いますが、総務大臣から何か一言お願い致します。
○武田国務大臣
こうしたコロナ禍において、やはり柔軟な発想で、過去にとらわれず、国民のために新たなる発想でどんどんチャレンジしていくというのはしかるべき態度だと私は考えています。
○井上(一)委員
大臣、やはり心強いです。だから、それが子育てをしている方々の勇気になります。政府が温かいメッセージを発することでコロナ禍を乗り越えていこうという意欲が湧いてきます。是非、総務大臣もバックアップしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
残りで消防団についてお聞きします。
消防団の処遇についても、総務委員会で質問をさせていただいているのですが、消防庁も随分取り組んでいただいて、処遇は大分よくなってきたと聞いています。
今、消防団の処遇改善に向けてどういう取組をされているか、御説明ください。
○山口政府参考人
お答えをさせていただきます。
消防団員の処遇の改善につきましては、これまでも、本委員会におきまして委員からも御質疑等を賜っているところでございます。また、平成25年に成立いたしました消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律においても、処遇改善について盛り込まれているところでございます。
消防庁といたしましては、これまでも、大臣書簡あるいは消防庁長官通知によりまして年額報酬などの引上げを市町村に要請しているところでございます。また、特に年額報酬が極めて低額な市町村につきましては、市町村の首長などに対し個別に引上げをお願いする、そういった働きかけを行ったところでございます。
こうした取組もございまして、平成27年4月1日時点で年額報酬を支給していなかった団体も3団体ほどございましたが、これらは平成28年4月1日時点で全て解消され、平成27年4月1日時点で38団体ございました1万円未満の団体につきましては、平成31年4月時点では19団体でございましたが、令和2年4月1日時点では6団体というふうに減少してきております。また、年額報酬の全国の条例平均額も毎年上昇してきているところでございます。
○井上(一)委員
消防団というのは地域の宝ですから、処遇面もいろいろな意味で配慮していただきたいと思います。最後になりますが、消防団の皆さんは、本当に休みの日、自分の仕事を持ちながらボランティア精神で活動しておられます。年末年始の警戒など私は頭の下がる思いです。
総務大臣から消防団の皆さんに激励のメッセージをいただいて、終わりにしたいと思います。
○武田国務大臣
全国に81万8千人と言われる消防団の皆様方には本当に感謝をいたしております。また、今日、この席に御臨席の委員の皆様方の御地元の消防団の皆様方にも、是非ともその組織の拡大に更に御尽力をいただくようお願いをしていただきたいと思います。
過去においては、井上議員と一緒に防衛行政に携わったこともありますし、私は前任は防災担当を引受けさせていただきました。大きな災害があった地域の方々は、そのときに例えば自衛隊であるとか消防団のありがたさというものを初めて気づくというふうなことをよく言われる方がおられます。
災いというのは、時と所というものを選びません。必ずや何かあったときに地域の消防団という方々の役割というものは大きなものになると思います。命に直結、地域の安全保障に直結する消防団を是非とも皆様方にも応援していただきたいと思いますし、総務省を挙げてこの組織拡大のために取り組んでいきたい、このように考えております。
○井上(一)委員
ありがとうございました。