主張

地方は日本民族の活力源。地方衰退をくい止める

都市集中と地方衰退を解消していかなければ日本の未来はない。

田中角栄元首相の強烈な問題意識である。田中元首相は1972年に著した「日本列島改造論」でこう述べている。
『明治100年(1968年)をひとつのフシ目にして、都市集中のメリットは、いま明らかにデメリットへ変わった。国民が今なによりも求めているのは、過密と過疎の弊害の同時解消であり、美しく、住みよい国土で、将来に不安なく、豊かに暮していけることである。

そのためには都市集中の奔流を大胆に転換して、民族の活力と日本経済のたくましい余力を日本列島の全域に向けて展開することである。工業の全国的な再配置と知識集約化、全国新幹線と高速自動車道の建設、情報通信網のネットワークの形成などをテコにして、都市と農村、表日本と裏日本の格差は必ずなくすことができる。』

それから50年経って、都市集中、東京一極集中はますます進み、田中元首相の指摘した問題はさらに先鋭化している。安倍政権のときに、東京一極集中是正と地方創生ということが掲げられたが、むしろ東京一極集中、地方衰退ともに加速化した。日本の人口減少、少子化、食料自給率の低下など、多くの国家的課題がこの問題とつながっている。今こそ、日本列島の構造改革が必要であり、全国新幹線や高速道路網の全国ネットワーク化、第一次産業の振興に大胆な投資を行うべきである。

また、田中元首相はこうも述べている。
『ここで問題になるのは、明治の廃藩置県によってつくられた現在の府県制度との兼合いである。結論からいえば、現在の府県制度は行政区域としてはせますぎるし、行政単位としても国と市町村のあいだに立ってあいまいな性格をもっている。このため、今後の経済発展と行政の広域化に対応しにくい。したがって、現行制度の改廃を含めて将来の府県制度のあり方を根本から検討する時期にきている。』

統治機構の根本的な改革の遅れが、東京一極集中、地方衰退を招いている。大阪府が提示した「大阪都構想」は否決はされたものの、大都市制度に一石を投じるチャレンジとなった。政令指定都市会が提言を出した「特別自治市制度」も地方の統治機構の大きな改革を目指す方向では一致している。政令指定都市の規模、能力が高く、都道府県庁所在地であることも多いこと等から、政令指定都市と都道府県との実際の行政運営の中で、いわゆる二重行政の問題が顕在化している。
都道府県側それから市町村側で同じような施設をつくる、あるいは、観光政策などのように重複的にソフト施策をするといったことである。

政令指定都市の権限はほとんど都道府県と同じである。違いが残されているのは主に3つで、社会基盤に関する事務としての河川管理、教育に関する事務としての学級編制・教職員定数の決定、それから治安・安全に関する事務としての警察でしかない。他のあらゆる権限は、京都府を例にとれば政令指定都市である京都市にある。京都府の人口255万人のうち、京都市に140万人が所在する。それを「特別自治市」として一つの形で独立させ、あらゆることは京都市で決めてもらい、残りの部分を京都府知事が決めるようにすればいいのではないか。

例えば、京都北部は、地方衰退で過疎が多い。京都市のことはすべて京都市長にまかせ、京都府知事は、過疎問題など京都市以外の地域の様々な課題に専念するようにする。京都府議会の場合、60人のうち34人は政令指定都市の京都市選出であり、京都市選出の京都府議は要らなくなるので、別の地域にその多くを振り向けることもできる。それによって、地域ごとのあらゆる課題に細かく気配り、目配りした議論ができるのではないか。

都市集中、地方衰退を解消するためにも地方の統治機構の構造改革はまったなしである。

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