国会活動

日米首脳共同声明、国家安全保障戦略

〇第204回国会 衆議院 外務委員会 2021年4月21日(水)

○井上(一)委員

 国民民主党・無所属クラブの井上一徳です。

 本日は、久しぶりに外務委員会で質問をさせていただきます。貴重な質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 日米首脳共同声明について質問をさせていただきたいと思います。

 私も、この日米首脳共同声明につきましては、今後の日米が共に目指すべき方向性を示したものとして私は一定の評価をさせていただいています。

 中国とは長期的な外交戦略を持って対応する必要があると思っておりますので、まさにこの声明はその出発点だと思っております。これからこの共同声明に基づいて日米が共に具体的な行動をしていくことによって共同声明の真価が試されると思っています。

 そういう観点から、具体的な行動という意味で質問をさせていただきたいと思います。

 まずは、共同声明では、台湾海峡の平和と安定の重要性が明記されたということで、中国は、この共同声明を受けて、尖閣諸島に対してこれまで以上に威圧的、挑発的な行動をしてくることは十分考えられるわけです。そのためにも、尖閣諸島について、しっかりとこれを守り抜く、この意思を明確に示しておくことが重要だと思っています。

 これは総務委員会でも何回か質問したのですが、石垣市において、尖閣諸島にある字名が今までは登野城という字名でしたが、この字名を登野城尖閣という字名に変えました。それに伴って、今、行政標柱をふるさと納税で、浄財で造っていまして、これを古いのに置き換えるということを考えています。そのために尖閣に上陸申請をこれから出すということにしているのですが、この窓口がいまだ決まっていません。

 それで、私は、政府に早くこれを決めるべきだということで、今日は官房副長官もお見えになっていますが、官房副長官にも、これは早く政府内で決めた方がいいということで、官房副長官からも、近々これは内閣官房で決めるということをおっしゃっていました。私は、早く決めていただきたいということだけ今日は申し上げます。

 尖閣については、各省庁が個別に対応していては駄目だと思います。私は、まさに、司令塔たる国家安全保障会議、そしてそれを支える国家安全保障事務局がまさに長期的な戦略を持って対応していくことが非常に大事だと思うのですが、この点について、官房副長官、いかがですか。

○坂井内閣官房副長官

 尖閣諸島は、歴史的にも、そして国際法上も我が国固有の領土であり、現に我が国はこれを有効に支配をしております。中国側の尖閣諸島周辺の活動に対しては、政府が一体となって、現行の法制に即して冷静かつ毅然と対処しています。

 そして、尖閣諸島及び周辺海域を安定的に維持管理するための具体的な方策については様々な選択肢がありますが、実際にどのような方策を取るのかにつきましては、委員が今御指摘をいただきましたように、政府一体となって検討し、そして戦略的な観点から判断していくべきものと考えております。

 そして、その国家安全保障会議の事務を担う国家安全保障局では、平素から、総理の意向を踏まえつつ、各省庁等から提出をされる情報を総合整理し、そして、国家安全保障政策の企画立案、総合調整、つまり、委員が必要だと今おっしゃった役割を、総合調整の機能を内閣官房内で一元的に行っております。尖閣諸島に関する政策についても、国家安全保障の観点から、政府としての検討、対応に主導的な役割を果たしてきているものと考えております。

 政府としては、引き続き、国民の生命財産及び我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くという方針の下、関係省庁間で連携して、冷静かつ毅然と対応していきたいと思っております。

○井上(一)委員

 新型コロナ感染対策が最優先だということは間違いないわけですが、国家安全保障会議も頻繁に開いて、我が国の安全保障についてしっかり議論していくということを是非政府にはお願いしたいと思います。

 それで、私は常々言っているのですが、尖閣諸島は、自らの国は自らで守る、これから尖閣諸島を守っていく体制をつくるということが大事だと思っているのですが、この共同声明の中で、日本は同盟及び地域の安全保障を一層強化するために自らの防衛力を強化することを決意したということであります。

 私は、来年度予算編成が非常に大事だと思っているのですが、どういう強い決意を持って臨まれるのか、防衛省にお尋ねいたしたいと思います。

○中山副大臣

 井上先生、ありがとうございます。

 日米首脳共同声明における、日本は同盟及び地域の安全保障を一層強化するために自らの防衛力を強化することを決意したとの記述につきまして、防衛省・自衛隊といたしましては、現防衛大綱に基づきまして、宇宙、サイバー、電磁波を含む全ての領域における能力を有機的に融合した多次元統合防衛力の構築を引き続き推進するということで、自らを守る体制を抜本的に強化をし、日米同盟の抑止力、対処力を一層強化をしていくという考えでございます。

 令和4年度の予算要求につきましては、こうした考え方を踏まえながら、概算要求に向けて様々な検討を行っているところでありますが、いずれにしましても、防衛省・自衛隊といたしまして、防衛力の着実な強化のために必要な予算要求をしっかりと行っていきたい、かように考えてございます。

○井上(一)委員

 是非、来年度予算編成に向けて取り組んでいただきたいと思います。

 次は、自らの国は自ら守る、その上で日米安保体制をしっかり強化していく、その観点から、尖閣諸島について安保条約5条が適用されるということが再確認されたことは評価したいと思います。

 日米同盟をやはり量的にも質的にも強化するということで、さきの2プラス2で、日米同盟の役割、任務、能力について協議することによって、安全保障政策を整合させ、全ての領域を横断する防衛協力を深化させ、そして、拡大抑止を強化するため緊密な連携を向上させるということですが、既にこの協議は始まっているのか、そして成果をいつまでにまとめるつもりか、外務省にまずお聞かせいただきたいと思います。

○有馬政府参考人

 お答え申し上げます。

 この点につきましては、先日の総理訪米に際する共同声明でも、日米の抑止力及び対処力の強化や領域横断的な防衛協力の深化などについて示しているところでございます。

 既に様々な機会を通じて日米間で緊密に協議を行ってきておりますが、今後、日米の外務、防衛当局間で更に精力的に協議を行い、年内に再度実施する予定の日米2プラス2において成果を確認したいと考えております。

○井上(一)委員

 この役割、任務、能力の協議の中で、従来のように、自衛隊が守りを意味する盾、そして米軍が攻撃を意味する矛というような前提を一度見直して、自衛隊が一定の攻撃力を備えることについてもしっかり協議すべきだと私は考えていますが、防衛省はいかがですか。

○大和政府参考人

 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、先般の日米2プラス2におきましては、我が国を取り巻く安全保障環境が急激に厳しさを増す中、日米同盟の役割、任務、能力に関する協議を通じ、日米同盟の抑止力、対処力の強化に向けた連携をより一層深めていくことで一致いたしました。この協議は精力的に進めてまいります。

 政府といたしましては、これまで、いわゆる敵基地攻撃について、日米の役割分担の中で、米国の打撃力に依存しており、今後ともこうした日米間の基本的な役割分担を変えることは考えていませんが、同時に、日米同盟の抑止力、対処力を強化するため、我が国自らが果たし得る役割をこれまで以上に拡大していくことが必要であると認識しているところであります。

○井上(一)委員

 共同声明の中で、香港及び新疆ウイグル自治区における人権状況への深刻な懸念を共有するということで、中国の人権抑圧について懸念が表明されております。

 超党派の議員連盟でも、人権制裁法の立法化を進めておりますが、政府としても、まずは、もう国際スタンダードになっているジェノサイド条約の早期加入について真剣に検討すべきではないかと思っております。

 既に、世界の主要国を始め150か国が条約を締結しているということで、日本が加入しないことの方が、日本は人権に後ろ向きだ、異質な国ではないかというような、私は、間違ったメッセージを出しているのではないかと思いますが、このジェノサイド条約の加入について外務大臣にお考えを聞きたいと思います。

○茂木国務大臣

 この件につきましては、御党の山尾議員とも何度か議論をさせていただいたところでありますが、我が国は、集団殺害犯罪のように、国際社会全体の関心事であります最も重大な犯罪を犯した者が処罰をされずに済まされてはならないと考えております。そして、基本的人権の尊重、これは、国を問わず、国際社会が守らなければならない共通の価値で考えておりまして、日本としてこれまで取ってきた、国連総会の第3委員会さらには国連理事会における発言、これは時間の関係で割愛させていただきますが、これまでも述べてきたとおりであります。

 一方、今日、私、岡田委員と民主主義について議論をさせていただいたんですが、これが絶対である、こういった押しつけをすることについては個人的には抑制的である、そんなふうに考えております。

 例えば、我々が共有している今のこの空間、これも絶対的なものではありません。井上先生と私の間にはある程度の距離があります。つまり、光のスピードの分、微妙な時間のずれが生じる、これによって空間がずれて、絶対的なものではなくなってくる、これがまさにアインシュタインの相対性理論になってくるわけであります。そのように、1つのことをこれが絶対的であるという形で決めつけることについては、私は抑制的にならなければならないなと思っております。

 ジェノサイド条約、締約国に対して集団殺害の行為等を犯した者を国内法により犯罪化する義務を課しております。ただし、これを絶対的な理由としてジェノサイド条約を締結できない、そういうふうに考えているわけでも私はありません。そういった中で、恐らく、この問題は国民的な議論というのが私は必要ないんじゃないかな、そんなふうに思っております。

 例えば、環境に対する意識が間違いなく日本の国民、企業の間でも高まってきている。人権に対する意識というか、様々な議論が行われるということはいいことだと思っておりますし、国会、国民の間で議論が成熟をしていく。残念ながら、そういう議論というのは日本はこれまで少なかったといった意味で、提起していただいたことについては大変ありがたいと思っておりますが、一層議論を深める必要がある、こんなふうに思っております。

○井上(一)委員

 最後の質問になります。新たな時代を見据えた日米首脳共同声明が発出されまして、そして新型コロナという新たな安全保障上の危機、こういう経験をする中で、平成25年に策定された国家安全保障戦略、これを見直す時期に来ているのではないかと思いますけれども、官房副長官、いかがですか。

○あべ委員長

 申合せの時間が経過しておりますので、御協力願います。

○坂井内閣官房副長官

 御指摘の国家安全保障戦略であります。平成25年12月に策定された当時、今御指摘されたようなコロナウイルス感染症は存在をしておりませんでした。いろいろな社会変化があります。こういった変化に合わせて、中長期的な安全保障の方向性を見定める努力は鋭意継続をしているところでございます。

 他方、同戦略は、理念また我が国の国益といった国家安全保障に関する大枠の方針も同時に示しているものでありまして、これらに関しての見直しについては現時点では決まっていないという状況でございます。

○井上(一)委員

 終わります。

 現時点では決まっていないということですが、是非見直していただきたいということを強く要望して、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

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