○井上(一)委員
きょう最後の質問をさせていただきます。希望の党の井上一徳です。
今回延長が予定されています狩猟税、それから、今なお全国的に被害が継続している鳥獣被害について質問をさせていただきたいと思います。
鳥獣被害については、かなり全国的にも被害がひどいということで、平成19年に鳥獣被害防止特別措置法が成立しまして、被害対策の担い手の確保とか、捕獲の一層の推進、捕獲鳥獣の利活用などが定められて、鳥獣被害防止が進められているわけですが、これを更に抜本的に強化するということで、平成25年に環境省それから農林水産省が策定した抜本的な捕獲強化対策があります。
これによりますと、平成23年に、鹿、イノシシ、鹿が303万頭でイノシシが94万頭、約397万頭あったところ、平成35年には約197万頭、つまり半分にするという目標を立てて、この捕獲強化を進めるということでありました。
平成30年に一応進捗状況を確認して、必要に応じて目標を見直すということでありましたが、今現在、この捕獲強化対策がどのような形で進んでいるのか、御説明いただきたいと思います。
○鳥居政府参考人
お答えいたします。
環境省では、農林水産省とともに、抜本的な鳥獣捕獲強化対策として、ニホンジカ、イノシシについて、平成23年度を基準年とし、その生息数を、平成35年度、つまり2,023年度までに半減する目標を設定してございます。
平成 29年度のニホンジカ、イノシシの捕獲数速報値はそれぞれ60万頭、515万頭となり、平成23年度と比較して、捕獲率がそれぞれ1.38倍、1.87倍と大きく伸びたところでございます。
また、捕獲強化に伴い、平成28年度末時点のニホンジカ、イノシシの推定個体数は、それぞれ平成27年度から継続して減少傾向を示しておるところでございます。
半減目標の達成に向けて、さらなる捕獲の強化を図ってまいる所存でございます。
○井上(一)委員
確認なのですが、基準年の平成23年だと397万頭でしたが、平成30年では何万頭になっているんでしょうか。
○鳥居政府参考人
お答えいたします。
平成30年度のデータはございませんで、直近のデータは平成28年度でございます。この推定個体数を申し上げますと、ニホンジカが272万頭でございます。そして、イノシシが89万頭ということになってございます。
○井上(一)委員
ということは、単純に足すと約360万頭ということで、もし目標がそのままうまくいっているようであれば、大体300万頭ぐらいに近づいていないといけないと思います。必要に応じて目標を見直すということなので、必ず目標を見直すということではないと思いますが、現時点でこの目標を見直す考え方はございませんか。
○鳥居政府参考人
お答えいたします。
平成25年度に策定した目標については、引き続き堅持をしていきたいというふうに思っております。
○井上(一)委員
別に目標を見直すことが目的ではありませんので、ぜひ、目標に進むように、この捕獲強化対策を更に進めていっていただきたいと思います。
狩猟税に関しまして、平成20年度にこの税率を2分の1に軽減して、さらに、平成27年度には課税の免除までやったわけですが、このような特例的な課税の免除について、どのような効果があったか教えていただきたいと思います。
○鳥居政府参考人
お答えいたします。
狩猟税の特例措置につきましては、平成25年に策定されました抜本的な鳥獣捕獲強化対策の推進のため、有害鳥獣捕獲従事者の担い手確保を目的として、平成27年度より措置されております。
本措置も含めた鳥獣の捕獲の担い手確保の取組の結果、平成24年度には過去最低の約18万人だった狩猟免許所持者数は、平成28年度に約20万人にまで増加するなど、本措置による一定の効果が見られていると考えております。
有害鳥獣捕獲従事者となる狩猟者においては最大16,500円が減免される措置内容となっておりまして、大日本猟友会等の狩猟者団体や都道府県からも、本措置が狩猟者の意欲の向上及び狩猟者の増加等に大きな効果を発揮しているとの評価をいただいているところでございます。
○井上(一)委員
新規の免許取得者が近年増加傾向にあると聞いておりますので、一定の効果はあるように思います。
私は、狩猟者数の免許をふやすということも大事なのですが、やはりジビエを拡大していくことも非常に大事ではないかと思っております。
特に、鹿やイノシシによる被害が大きいということで、この鹿、イノシシをジビエとして利用できれば、更に効果的に鹿、イノシシが減っていくのではないかと思います。京丹波町にアートキューブという会社がありまして、ここは国産ジビエ認証施設の第一号となったということで、会社の代表の垣内さんに聞きましたところ、ジビエというのは非常に処理加工が重要で、特に血抜きをしっかりやれば本当においしい肉ができるということで、安心、安全なジビエを消費者に提供しようと精力的に取り組んでおられます。
こういったジビエ利用というのは、鳥獣被害対策だけではなくて、地域活性化にもつながるのではないかと思っています。今のジビエ利用の現状、それから今後の取組について教えていただきたいと思います。
○高橋政府参考人
お答えいたします。
有害鳥獣の捕獲頭数が増加し、そのほとんどが埋設や焼却により処理されている中で、ジビエ利用を推進し、農村地域の所得向上につなげることは、地域の活性化の観点から重要であると認識しております。
農林水産省といたしましては、安全で良質なジビエの利用拡大を図り、ジビエ利用量を31年度までに倍増させるという政府目標の達成に向けまして、ジビエ利用モデル地区を始め、ビジネスとして持続できる安全で良質なジビエの安定供給に向けた取組、ジビエ利用に係る衛生管理の徹底を図るため、委員からも御発言のございました、国産ジビエ認証施設第一号である京都府の株式会社アートキューブを始めとする国産ジビエ認証制度の普及に向けた取組、全国的な需要拡大のためのプロモーション等につきまして、鳥獣被害防止総合対策交付金による支援に加えまして、専門家や農水省職員によるキャラバンを実施するなど、ジビエ利用の全国展開を推進しているところでございます。
今後とも、地域の実情に応じた鳥獣対策を実施するとともに、有害鳥獣を利用して農村地域の所得に変えていく、マイナスをプラスに変えるジビエ利用の取組を、関係省庁とも緊密に連携しながらしっかりと推進してまいる所存でございます。
○井上(一)委員
お聞きしましたところ、国産ジビエの認証制度で認証を受けたところはまだ2社ということですが、ぜひ、この国産ジビエの認証制度はまだ周知されていないと思いますので、全国的に周知されるように一層取り組んでいただきたいと思います。
では、質問を終わりたいと思います。