○井上(一)委員
希望の党の井上一徳です。
私は、日加ACSA、日仏ACSA両協定について賛成の立場で質問させていただきます。両ACSAとも、日豪それから日英ACSAを基本的に踏襲したという御説明がありました。北朝鮮の瀬取りに対する対処というのは日豪、日英ACSAを締結したときにはなかった活動ですので、今の瀬取りの状況を踏まえると、私としては、今の時代に合ったACSAにしていった方がいいのではないかという観点から幾つか質問させていただきたいと思います。
その前提として、北朝鮮の瀬取りに対して、ご答弁の中でも、日英で連携して対処したというような話もありましたが、諸外国は瀬取りに対してどのような活動を行っているのか、御説明いただきたいと思います。
○山田(賢)大臣政務官
お答え申し上げます。
我が国は、昨年1月以降、瀬取りの実施が強く疑われる12回の行為を公表するとともに、国連安保理北朝鮮制裁委員会等への通報や関係国への関心表明を行ってきたところでございます。
また、米国及び関係国は、在日米軍嘉手納飛行場を拠点とし、航空機による警戒監視活動を行うとともに、洋上での警戒監視活動のために艦艇を派遣しております。
本年3月には、警戒監視活動中の我が国海上自衛隊補給艦と英国海軍フリゲートの間の情報共有を通じて、北朝鮮籍タンカー、セビョル号と船籍不明の小型船舶による瀬取りが強く疑われる事案を確認し、公表したところでございます。
これらの取組を通じ、北朝鮮籍船舶のみならず、北朝鮮籍船舶と瀬取りを実施した疑いのある他国船籍船舶についても、安保理制裁委員会や関係国によって適切な措置がとられてきております。
我が国といたしましては、北朝鮮の完全な、検証可能な、かつ不可逆的な方法での全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルの廃棄の実現に向け、引き続き、米国を始めとする関係国と緊密に連携し、安保理決議の実効性確保に取り組んでまいります。
○井上(一)委員
こういった瀬取りに対する活動を行っているアメリカを始めイギリス、オーストラリア、フランス、カナダといった国は朝鮮国連軍として活動しているということでよろしいでしょうかという点、もう一点は、朝鮮国連軍ということであれば、現在のACSA協定では物品役務の提供は法的にはできないということでいいのか、この二点について、簡潔にお答えいただきたいと思います。
○船越政府参考人
お答え申し上げます。
例えば、昨年2回にわたり瀬取り対処のための警戒監視活動に従事しましたカナダのCP140哨戒機や、本年、同活動に従事したファルコン200哨戒機は、国連軍として、国連軍地位協定に基づき嘉手納飛行場を使用したところでございます。
また、各国が従事する、北朝鮮船舶による瀬取りを含む違法な海上活動に対する警戒監視活動は、国連憲章第7章のもとで、北朝鮮船舶が関与する瀬取りを禁止した国連安保理決議の履行の目的で行われておるところでございます。
改めて申し上げますと、この瀬取りの活動を含めた両軍の活動には、国連軍の目的及び任務に合致する活動が含まれていると承知しておりますが、その個々の活動や全体像の運用については御説明する立場にございません。
ただ、昨年、瀬取りのために対処しました、先ほど申し上げたカナダのCP140、フランスのファルコン200等の哨戒機は、国連軍として、国連軍地位協定に基づき嘉手納飛行場を使用したところでございます。
また、2つ目の御質問でございまして、改めて、カナダ軍、フランス軍が1954年の国連軍地位協定に基づき国連軍を構成する部隊として行動する場合はACSAの規定の適用はございません。
○井上(一)委員
日豪、日英ACSAで朝鮮国連軍への適用が除外されている理由について、岸田外務大臣は、物品や役務の提供は専ら米軍が実施しているということと、現実的なニーズがないということで適用除外をしているということでしたが、日英連携で対応してやっているということなので、自衛隊と諸外国の軍隊が緊密に連携し合う、言うなれば、物品役務の提供をし合うというニーズは十分あり得ると思います。
それで、あえてここのACSAの6条で朝鮮国連軍への適用を除外するとしている理由はどういうことなんでしょうか。
○船越政府参考人
お答え申し上げます。
先ほど御説明申し上げましたとおり、国連軍が航空機等の一時立ち寄りの目的で在日米軍の施設・区域を使用することはございますが、そうした実務上も、そうした物品役務の提供は専ら米軍が実施しているところと承知しております。
また、委員御指摘のとおり、昨今、瀬取りの活動について非常に重要な役割を果たしているところでございますが、この点につきましては、改めて、今般、国連軍の方にも確認したところでございます。
同時に、一般論として申し上げましたら、様々な事態において、各国の軍隊が各国の法令等に基づき支援活動を行うことが想定され、様々な差異があることは当然想定されますが、そうした状況において、個別具体的な状況に応じて、効果的にいかに調整をしていくかというのは重要な課題だと思っております。
○井上(一)委員
インドとACSAについても交渉をしているということでしたが、恐らく、インドと協定を結べば、この6条はおそらく不要な規定だと思いますので、今後、いろいろな意味でACSAの改善を図っていただくということは重要ではないかと思います。
最後の質問になります。朝鮮半島有事の場合には、朝鮮国連軍として活動するのか、また違う枠組みで活動するのかはわからないと思いますが、朝鮮国連軍として活動する可能性も十分想定されるのではないかと思います。
いずれにしても、朝鮮有事の場合、諸外国に対して物品や役務の提供をどのようにして行っていくのかということは、今のうちからきちんと考えておく必要があると思うのですが、朝鮮半島有事が万が一起こった場合の諸外国への支援についてはどのように考えておられるか、お答えいただきたいと思います。
○船越政府参考人
お答え申し上げます。
朝鮮半島において何らかの事態が発生した場合に、関係国や、また、御指摘の朝鮮国連軍がいかなる行動をとるかについて、個別具体的な状況に応じて異なりますことから、あらかじめ一概に申し上げることは困難であることは御理解いただけると存じます。
そのような前提で、まさに朝鮮半島において何らかの事態が発生した場合、我が国は、各種の事態法制に従い、認定された状況において、法令に基づいて諸外国の軍隊と協力をしていくことになると承知しております。
また、とりわけ平和安全法制のもとで、自衛隊による物品役務の提供の対象となる外国軍隊、それは朝鮮国連軍を含めどうなるかにつきましては、個別具体的な状況に応じて異なりますことから、あらかじめ一概に申し上げることは困難でございますが、いかなる形で効果的な支援又は各国との調整を行っていくかにつきましては、御指摘のとおり、極めて重要な課題であると認識しております。
○井上(一)委員
質問の時間が来たので終わりますが、特に朝鮮半島有事の場合の諸外国に対する支援については今のうちからしっかり検討していただきたいと思います。
では、以上で終わります。