国会活動

ふるさと納税、激甚災害

〇第198回国会 衆議院 総務委員会 その1 2019年2月26日(火)

○井上(一)委員 

 私は、ふるさと納税について、特に地方財政との関係について質問をしたいと思います。

 それで、まず、事実関係としまして、最新時点におけるふるさと納税額の総額、それから住民税控除額の総額、控除適用者数について教えていただきたいと思います。

○内藤政府参考人 

 お答え申し上げます。

 平成 29年度におけますふるさと納税受入額の総額でございますけれども、約3,653億円となっております。

 また、平成30年度課税におけるふるさと納税に係る住民税控除額、これは平成29年1月から平成29年12月の寄附金につきまして控除されるものでございますけれども、この控除額の総額は約2,448億円、控除適用者数は約296万人でございます。

○井上(一)委員 

 それでは、続いて、最新時点におけるふるさと納税額が多い上位5位の自治体、そしてそれぞれの額について教えてください。

○内藤政府参考人 

 お答え申し上げます。

 平成29年度におけるふるさと納税受入額の大きい団体でございますけれども、1位が大阪府泉佐野市の約135億円、2位が宮崎県都農町の約79億円、3番目が宮崎県都城市、約75億円、4番目が佐賀県みやき町、約72億円、5番目が佐賀県上峰町、約67億円となっております。

○井上(一)委員 

 では、引き続き同じように、ふるさと納税による控除額が多い上位5位の自治体、それぞれの額について教えてください。

○内藤政府参考人 

 お答え申し上げます。

 平成30年度課税におけますふるさと納税に係る住民税控除額の大きい団体につきまして、1番目が神奈川県横浜市、約104億円、2番目が愛知県名古屋市、約61億円、3番目が大阪府大阪市、約55億円、4番目が神奈川県川崎市、約42億円、5番目が東京都世田谷区、約41億円でございます。

○井上(一)委員 

 増収となった自治体につきましては、交付税の算定上、寄附金を収入にカウントするようなことはしないということを承知しておりますが、減収となった自治体についてはどのような措置がとられることになりますか。

○林崎政府参考人 

 お答えいたします。

 地方交付税の算定に用います基準財政収入額、これは、各地方公共団体の標準的な税収入見込み額などを合理的に測定するものでございまして、地方税法の特例措置の規定に基づき生じます標準的な減収、これは基準財政収入額の算定に反映しております。

 例えば、日赤の支部に対する寄附、こういったものは寄附金控除適用になるわけでございまして、こういったようなものと同じように、ふるさと納税制度による寄附金の税額控除によって住民税が減少する場合、これにつきましても、その減少分の75%が基準財政収入額に反映されることとなっておるところでございます。

 このため、寄附者の住所地の地方団体が交付団体である場合には、住民税の減少分のうち75%について基準財政収入額が減少しますので、その分交付税が増額するということになります。

○井上(一)委員 

 ふるさと納税の寄附金の地方財政計画への計上なのですが、平成28年以降ふるさと納税額が急増したため、平成29年度からは、ふるさと納税額の収入見込み額の半分程度を3年かけて段階的に地方財政計画に計上することになったと承知しておりますが、この考え方と31年度の計上額を教えてください。

○林崎政府参考人 

 お答えいたします。

 地方財政計画の計上についてでございますけれども、いわゆる一般的な寄附金収入につきましては、これは、寄附が任意によるものでございますし、地方団体にとって受動的に収納するのみということでございますので、一般的には地財計画には計上されていないわけでございますけれども、今委員御指摘のように、ふるさと納税に係る寄附金収入につきましては、これは、ほとんどの地方団体において募集の取組が行われていることなどを踏まえまして、翌年度に見込まれる額を雑収入の中に一定額計上しているところでございます。

 具体的には、ふるさと納税に係る寄附金収入につきまして、先ほど申し上げました、寄附は任意によるもの、これは一緒なんでございますけれども、ふるさと納税の受入額、これは地方団体ごとに大きなばらつきがあって、全部、全額を標準的な歳入として計上するということは、これはなじまないだろうということを勘案いたしまして、翌年度に見込まれる受入額の半分を今御指摘のように計上することとしているところでございます。

 31年度におきましては、ふるさと納税に係る寄附金収入を4,586億円と見込んだ上で、この半分の2,293億円、これを雑収入として計上しているところでございます。

○井上(一)委員 

 それでは、 31年度まではとりあえず激変緩和の観点から段階的に計上してきたということですが、32年度以降は計上方法はどのようになるんでしょうか。

○林崎政府参考人 

 お答えいたします。

 ふるさと納税に係る寄附金収入につきまして、31年度地方財政計画、先ほど申し上げたようなとおりでございますが、その先、32年度以降につきましては、31年度の計上方法も踏まえながら、各年度の地方財政計画を策定していく中で検討することとしております。

○井上(一)委員 

 ふるさと納税に係る地方財政計画の計上方法、それから普通交付税の算定方法の考え方は異なっているわけですが、その考え方に違いが生じている理由を教えていただきたいと思います。

○林崎政府参考人 

 お答えいたします。

 地方交付税の基準財政収入額につきましては、これは、地方財政計画に計上しております歳入のうち、地方税、地方譲与税、それに関連する交付金などの標準的な収入額を算定することとしているところでございます。

 一方で、地方財政計画の歳入には、補助金、負担金、手数料、使用料のほか、寄附金、財産収入などを計上しているところでございますけれども、これは地方交付税算定上の基準財政収入額には算入していないところでございます。

 考え方でございますけれども、地方税につきましては、これは行政主体である地方団体が強制的に徴収することができるという本質を有しておりまして、経常的な収入となるものでございますけれども、御指摘のふるさと納税による寄附金につきましては、そうではなくて、あくまでも個人の自発的な意思に基づく収入であり、また、年度間の変動が大きく、経常的な収入とは言えないということが一つございます。

 このため、社会保障関係費を始めとした基準財政需要額で算定している経費を賄う財源と位置づけることは適当ではない、こういった考えで基準財政収入額には算入しない取扱いとしてきたところでございます。

 なお、いわゆるふるさと納税制度ができるに至る際に、総務省の方でふるさと納税研究会というのが設置されて、いろいろ検討されたんですけれども、平成19年10月の報告書の中では、ふるさと納税の趣旨を踏まえれば、寄附を受領した地方団体の地方交付税が減少することのないようにすることが望ましい、こういったことも議論されてきたところでございます。

○井上(一)委員 

 足立議員がいろいろ議論されましたが、こういうふるさと納税制度を法律で定めると、今まで様子見だった自治体も、ふるさと納税はやっていくと思います。そうすると、自治体間の競争を前提とした制度ではないと言いつつも、やはり各市町村は競争せざるを得ない状況になってくるのは、間違いないと思います。

 そうすると、3,653億円がふるさと納税額の総額でしたが、これはもっと大きくなっていくし、控除額も恐らく相当大きくなっていくと思います。市町村は競争せざるを得ませんので、強いところは増収するし、そういった経営的感覚のない、特に小さい村などは減っていかざるを得ないと思います。

 そういう中で、今のような地方財政計画で、これはある程度ゆがみを補おうとはしているとは思いますが、これからますます差が開いていくので、本当に安定的な制度なのかと、私は疑問に思っています。

 法律ができて本格的な制度になるとすると、そうした根本的な問題は必ず出てくると思いますので、副作用というと変かもしれませんが、おかしいというところが出てくるのであれば、法律も見直すということをぜひしていただきたいと思います。これは、意見にとどめたいと思います。

 次の質問について、総理が来られるまではやっておいた方がいいでしょうか。

○江田委員長 

 はい。ちょっとやってください。

○井上(一)委員 

 では、続きまして、激甚災害の関係で御質問したいと思います。

 昨年は、7月の豪雨災害を始め、大変災害の多い年でありまして、私の地元京都府北部でも大きな被害がありました。

 激甚災害として指定がなされますと、公共土木事業などにおいて、国庫補助率のかさ上げ措置、それからさまざまな交付税措置が講じられることになります。それで、全額国の方で負担になればいいのですが、自治体の負担は残ってしまいます。

 こういった大規模な災害が連続する時代になっていることを考えると、特に小さい市町村の自治体の負担は大災害が起こったときにはもうゼロにするというような仕組みが必要ではないかと思います。この点について政府の考え方を聞かせていただきたいと思います。

○米澤政府参考人 

 お答え申し上げます。

 御指摘いただきました激甚災害制度につきましては、著しく激甚である災害が発生した場合に、地方財政の負担を緩和し、又は被災者に対する特別の助成を行うために、国の地方公共団体に対する特別の財政援助等を行うものでございます。

 これによりまして、例えば公共土木施設の災害復旧事業で申し上げますと、通常よりも高率な国庫補助率が適用されます。それに加えまして、激甚災害に指定されることによりまして、補助率が更に一から2割程度かさ上げされます。さらに、地方公共団体の負担分につきましては、全額を起債し、その元利償還金の95%が基準財政需要額に算入できる、こういった地方財政措置が講じられることになります。こういったことで実質的に地方公共団体の負担は大幅に軽減されているところでございます。

 引き続き、内閣府といたしましては、被災自治体の財政負担が軽減されるよう、適切な制度の運用を行ってまいりたいと考えております。

○井上(一)委員 

 今御説明ありましたように、今の制度でも大幅に負担が減るようになっているわけですが、私は、やはりこれはゼロにすべきだというふうに思っております。ぜひ、与党の先生方にも御理解いただいて、大災害が起きたときに市町村で負担が生じるというのは、財政上非常に大変な状況になりますので、大災害が起きたときにはゼロにするというような形を進めていきたいと思っています。

 最後の質問になります。七月豪雨災害で大きな被害を受けた、京都府北部を運行している京都丹後鉄道、これは第三セクターの鉄道会社なのですが、通勤通学に利用されておりまして、極めて公共性が高い鉄道であります。

 災害時における補助について、道路の場合には、3分の2が国庫補助を受けて、さらに、激甚災害に指定された場合には更に1、2割程度補助率がかさ上げされるということに制度上なっています。

 他方で、鉄道の場合には、災害時における補助は、道路の場合は3分の2でしたが、これが4分の1にとどまっており、激甚災害となった場合のかさ上げもありません。道路と違ってそういった特別の制度がないということです。

 第3セクターの鉄道は道路と同じように地域住民にとって欠かすことのできない交通手段でありますので、道路と同様な特例的な取扱いをぜひしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○江田委員長 

 国土交通省江口大臣官房技術審議官、答弁は、時間が来ておりますので、簡潔明瞭にお願いいたします。

○江口政府参考人 

 お答えいたします。

 鉄道事業は、営利を目的とする鉄道事業者により営まれるものでありますことから、鉄道施設が災害により被害を受けた場合には、鉄道事業者がみずからの判断のもと、みずからの資金により復旧することを基本としています。

 しかしながら、経営が厳しく、鉄道事業者の資力のみで復旧することが著しく困難な場合には、復旧について鉄道事業者と地方公共団体の間において合意がなされることを前提とした鉄道軌道整備法に基づく支援制度があります。

 この支援制度につきましては、昨年の通常国会におきまして改正されまして、黒字の鉄道事業者であっても一定の要件を満たせば補助することが可能となりますとともに、大臣が特に必要と認める場合には、補助率を4分の1から3分の1に引き上げることが可能となりました。また、こうした国庫補助に加えまして、地方財政措置による支援制度もあると承知しております。

 さらに、昨年の平成30年7月豪雨の際には、鉄道事業者と国土交通省関係部局から成る連絡調整会議を設置しまして、道路や河川などの関連事業と連携、調整することにより円滑な鉄道の復旧を進める仕組みを構築したところでございます。

 国土交通省としましては、被災した鉄道が早期に復旧されるよう、鉄道軌道整備法による支援などとともに、他事業との連携も含め、必要な支援を行ってまいります。

○井上(一)委員 

 これからも要望を続けていきますので、よろしくお願いいたします。

 では、残余の質問は午後にさせていただきます。

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