国会活動

外国人の一時帰国についての人道的配慮、外国人技能実習生

〇第201回国会 衆議院 外務委員会 2020年5月22日(金)

○井上(一)委員

 井上一徳です。よろしくお願いいたします。

 きょうは、20日のNHKニュースに関連して質問をしたいと思います。

 こういうニュースが流れておりました。在日外国人、親が亡くなっても一時帰国断念、コロナ影響ということです。水際対策として政府で今、入国を拒否することをやっているわけですが、その陰で、日本に住む外国人たちが困難に直面しており、母国にいる親が亡くなっても一時帰国を断念したケースがあることもわかりましたということです。

 この方は、11年間日本に住んでおられる方ですが、母親の死去は特別の事情に当たるのではないかと思い、法務省に再入国を許可してもらえないかと問い合わせましたが、認められませんでした。例外はない、とにかくだめだと言われたということで、帰国するのを断念したということでありました。この方が言われるには、母のために喪主を務められなかったことでとても心が痛みますということでありました。もう人権問題です。

 このニュースでは、ドイツでは長期滞在の許可がある外国人は再入国が認められ、オーストラリアでは再入国を申請できる基準が人道的な配慮が必要な場合などと公表されているということでありました。

 それで、資料をお配りしておりますが、これが法務省が出しているものでありまして、いずれにしても、先ほど申し上げたことが書いてあります。外国人は、「原則として、特段の事情がないものとして上陸拒否の対象となります」ということで、やはり、出たら戻ってこられないので、出られない。私は、これは人権上憂慮すべきというか、配慮をする必要があるのではないかと思います。

 まず、この中で出ている、ドイツとかオーストラリアはどうなっているのか、御説明をいただきたいと思います。

○河津政府参考人

 お答え申し上げます。

 ドイツでございますけれども、現在、EU及びシェンゲン域外からの入国に関しましては、自宅へ戻るEU市民、シェンゲン協定加盟国の国民及びその家族や、長期滞在資格を有する域外外国籍者につきましては、入国制限の例外としているということでございます。

 また、オーストラリアでございますけれども、現在、外国人の入国を禁じているところでございますが、永住権保持者及びその家族やオーストラリア在住のニュージーランド人は例外とされており、また、人道的な理由等による個別の判断に基づき例外が認められる場合があると承知しております。

○井上(一)委員

 そういったドイツとかオーストラリアの例を見ても、人道上の配慮というのはしているわけですから、特に、法務省は人権擁護の機関で、人権擁護の促進をすべき役所ですから、日本も人道上の配慮、人権擁護の観点より、再入国を認める特段の事情、例外措置があってもいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○宮﨑大臣政務官

 先生御指摘のとおりでありますけれども、まず前提としまして、上陸拒否の対象の地域は、新型コロナウイルス感染症の感染者数などを考慮して、外務省が感染症危険情報レベル3として渡航中止の勧告をしている地域でございます。

 そのため、再入国を認めるか否かの判断に当たっては、もちろん人道的な配慮はしつつも、感染症の国内への流入を可能な限り防止するという観点が極めて重要でございます。

 上陸拒否対象地域となった後に当該地域に出国をする外国人の方については、仮に再入国許可を得て出国をしたとしても、再入国の際に上陸を拒否することとなるので、まずはその旨を御説明して、渡航の自粛を要請させていただいております。

 なお、上陸拒否の対象地域となった後に当該地域に出国をした外国人が再入国をする場合であっても、あらかじめ再入国の許可を得ていて、かつ、特に配慮すべき事情が存在する場合には、渡航自粛の要請の趣旨を踏まえつつ、個別の事情に応じて特段の事情があるものとして上陸を認める場合もございますし、そのような措置もとっているところでございます。

 いずれにしましても、法務省としましても、国内への感染者の流入防止を図るための水際対策には万全を期してまいり、また、御指摘のような個別の事情に応じた特段の事情についても、適切に配慮してまいりたいと思っているところでございます。

○井上(一)委員

 法務省の出している資料を見ると、これだとやはり帰ってこられないと思うわけです。だから、人道上の配慮から再入国を認める場合がありますから、ぜひ相談してくださいということを明記すべきだと思うのですが、どうでしょうか。

○宮﨑大臣政務官

 今の、特段の事情が認められる場合の基準、例えば、個別の事情によって再入国を希望する方の、外国人の事情というのはそれぞれまちまちでございまして、特段の事情が認められる場合ということを、例えば、御指摘のような点も踏まえて、事前に明確にお示しをするということは困難であると考えております。

 また、御相談があった場合には、具体的な事情、それはその方のいろいろな属人的な事情であったり、渡航を要する事情であったり、さまざまだと思いますけれども、その具体的な事情をお聞きして適切に判断をしているところでございます。

○井上(一)委員

 先ほど取り上げた人は、例外はない、とにかくだめだと言われているわけです。これはやはり人権問題です。

 法務省は人権擁護機関なわけです、人権に一番敏感ではないといけない役所です。やはり書くべきです。世界から誤解されます。どうですか。もう一度御答弁ください。

○茂木国務大臣

 今後の対応として、特段の事情の中で、人道上の理由というのは十分配慮されるべきだと思っております。

 書き方等につきましては法務省を中心に検討したいと思いますが、きちんと、困っていらっしゃる方が相談できる、そこの中で、本当に適切に、人道上配慮が必要だ、そういう方については許可する方向で考えたいと思います。

○井上(一)委員

 外務大臣、済みません、答弁をお願いしていなかったのですが、答弁をしていただきまして、ありがとうございました。

 私は、やはり世界に間違ったメッセージを出すと思います。日本のイメージが、人権に対して後ろ向きだということは絶対よくないと思います。

 ぜひ法務省は、外務省とよく相談していただいて、これを書き直してください。絶対に間違ったメッセージを与えると思いますので、よろしくお願いいたします。

 では、残りの時間、一問だけ。

 技能実習生です。技能実習生も、本当に困っていられる方はたくさんいるといますが、一人たりとも技能実習生が日本の中で困ることがあってはならないと思います。

 まず、実態を把握されていますか。

○丸山政府参考人

 お答え申し上げます。技能実習生の中には、当然、技能実習は修了したけれども帰国できない状況にある方であるとか、あるいは受入れ側の事情によって解雇等されて技能実習の継続が困難になっている方がいらっしゃるということは承知しています。

○井上(一)委員

 とにかく、一人も外国人技能実習生が困らないように、実態把握をしっかりしてもらって、フォローをしていただきたいということをお願いして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

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