国会活動

石垣市の尖閣諸島上陸申請、インターネットでの誹謗中傷対策

〇第204回国会 衆議院 総務委員会 2021年4月8日(木)

○井上(一)委員

 国民民主党・無所属クラブの井上一徳です。

 本日は、プロバイダー責任制限法改正案の審議ですけれども、その前に一つ確認をしておきたいと思いまして、今日は坂井官房副長官にも来ていただいております。

 前回の議論で、石垣市が登野城尖閣に字名を変更したということで、標柱を造り、それを尖閣諸島に設置したいということで、これから上陸申請をするわけですが、まだ政府の窓口が決まっていないので、早く決める必要があるのではないですかという質問をいたしました。政府参考人と何度か議論をして、一時は審議も委員長に中断していただきながら確認してですね。

 私、最初、まだ決まっていないので、早く決める必要があるのではないですかと質問をしました。そうすると、政府参考人からは、総務省を中心に関係省庁間で調整が行われているものと承知していますという答弁でした。内閣官房ではないですよ、済みません、正直知りません、これは総務省を中心にしてやってもらっているんですという答弁だったので、いや、それは内閣官房が責任を持って調整する話ではないですかというやり取りを何回かしたわけです。

 それで、最後には、内閣官房の山本政府参考人から、内閣官房の総合調整の下で、政府において適切に判断してまいりたいという答弁でしたので、私は、内閣官房が責任を持って政府の窓口について調整し、この上陸申請についても責任を持って対応するという理解をしております。

 中国は尖閣をもうずっと狙っていますので、戦略的に、政府がやはり一丸となって対応しなければならない問題だと思います。

 そういう意味で、やはり内閣官房が責任を持って対応することが重要だと思っておりますので、今申し上げた点を副長官に確認しておきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

○坂井内閣官房副長官

 前回の質疑のときに委員から御指摘をいただきました、窓口の問題であります。

 御指摘のとおり、どこが窓口になるのかという総合調整は内閣官房がそれを行う任務があると思っておりまして、今それは進めさせていただいているところでございます。

 先日の質疑のときに、石垣市から6月にも申請が上がるぞ、こういうお話があったと思いますので、6月、その申請が上がったときには、どこが窓口か分からないというようなことがないように、近々、内閣官房の裁定により窓口を決めることになろうかと思っております。

○井上(一)委員

 是非、内閣官房で責任を持って本件について対応していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 では、副長官、わざわざありがとうございました。これで結構です。

 それでは、プロバイダー責任制限法改正案について幾つか質問をさせていただきたいと思います。

 これは、この中でもう随分議論がありましたけれども、インターネット上の誹謗中傷などによる権利侵害について円滑に被害者救済を図るための法律と理解しておりますし、また、国民民主党・無所属クラブも賛成をさせていただく法律であります。

 ただ、SNS各社に非常に厳しい対策を求めている欧州などに比べて日本の対応は遅過ぎるという指摘もあります。アメリカとかEUなどでは、どのような対応が現在行われているのでしょうか。

○竹内政府参考人

 お答えいたします。

 インターネット上の違法・有害情報対策について、例えば欧州委員会は昨年12月にデジタルサービスアクトの法律案を公表いたしました。この法律案では、利用者保護のための規定として、利用規約の公開、透明性報告義務、苦情受付体制の整備など、事業者による透明性及びアカウンタビリティー確保のための義務規定が設けられております。また、ドイツでは、プラットフォーム事業者による迅速かつ確実な削除を求めることを目的として、違法情報について、一定の削除義務や、適切な対応を行わなかった際の過料を科す法的規制が導入されております。

 しかしながら、このドイツの立法例につきましては、削除義務や過料規定が表現の自由への萎縮効果を生むという批判がありますことや、フランスにおいて立法された法律において24時間以内の削除義務規定が違憲と判断されたことなど、諸外国の動向を踏まえますと、我が国において削除に関する義務づけや過料などを科す法的規制を直ちに導入するということについては、極めて慎重な判断を要するものと考えられます。一方、米国におきましては、言論の自由を重視する立場から、従来より、プロバイダーには広範な免責が認められてきているところでございます。

○井上(一)委員

 ありがとうございました。

 それで、今回の法律で、新たな裁判手続の創設ということになります。今までは発言者の特定のために2回の裁判手続を経ることが一般的に必要だったものが、1つの手続で行うことが可能になるということであります。

 この新たな裁判手続の創設の前の、現行の制度ではどのぐらいの申立てがあったんですか。

○竹内政府参考人

 お答えいたします。

 発信者情報開示請求の件数について、網羅的には把握していないところでありますが、東京地方裁判所における件数をお答え申し上げます。

 東京地方裁判所におきましては、令和元年に終局した事件のうち事件名に発信者情報を含む件数を集計いたしましたところ、年間で約520件であったとのことでございます。

 なお、同年に受け付けた発信者情報開示仮処分の件数は、約630件と承知しております。

○井上(一)委員

 現行から新たな裁判手続になれば、使いやすいということで、件数も増えることは予想されますけれども、大体、今までのこの手続にどの程度の期間を要していて、そしてこの新たな裁判手続になればどの程度その期間が短縮されると見込まれるのか、御説明いただきたいと思います。

○竹内政府参考人

 お答えいたします。

 現在の裁判手続におきましては2回にわたる手続が必要であったということから、合計いたしますと1年近くを要するということ、もちろん事案によって期間は異なりますけれども、1年近くかかるものも数多くあったということでございます。

 今回御審議いただいております新たな裁判手続において開示に要する期間につきましては、これは全く新たな裁判手続を創設するということでありますので、当然、個別の事案によって異なってくることも想定されますので、一概にお答えすることは難しいわけでありますが、先ほどの質疑の中でもお答え申し上げましたように、二段階の手続が一本化され一定程度の時間短縮が図られるということで、個別の事案によって異なるものの、数か月から6か月程度で可能になることを私どもとしては期待をしたいと考えております。

○井上(一)委員

 ありがとうございました。

 続いて、裁判の管轄権であります。

 これは先ほども議論がありましたけれども、被害に遭った方が発信者情報開示命令の申立てを行うということで、法人の場合は、相手方の事務所又は営業所、それに加えて、東京地方裁判所や大阪地方裁判所も管轄になるというふうに承知しておりますが、被害に遭われた方の便宜を考えると、原告の住所地にある簡易、地方裁判所、こういったところにも申立てをできるようにすべきと考えますが、この点はいかがですか。

○竹内政府参考人

 お答えいたします。

 本改正案におきましては、裁判の管轄につきましては、先ほど御紹介ありましたように、プロバイダーの主たる営業所の所在地を管轄する地方裁判所、あるいは、東日本におきましては東京地裁、西日本におきましては大阪地裁にも認めるという規定としてございます。

 本改正案におきまして、委員御指摘のように、簡易裁判所に申立てをできる制度とはしておりません。これは取り扱う事案が表現の自由に関わるものであり、専門性を必要とするということから、地方裁判所で扱うとしているものでございます。もっとも、開示命令事件における審理方法は陳述の聴取でありますので、裁判所は、手続の期日を開かずに、書面による審理結果に基づいて判断を行うことも可能でございます。

 このように、被害者の利便性を損なうことなく、開示命令の審理を進めることができると考えております。

○井上(一)委員

 今ありましたように、書面でも申立てができるということであれば、今まさにデジタル化を進めるということで、いろんな申立てや申請なども、私は、デジタルでやれるようにすればいいのではないかと思いますが、デジタル化についてはどういうようなお考えですか。

○堂薗政府参考人

 お答えいたします。

 現在、発信者情報開示請求に係る裁判手続の申立てをオンラインで行うことはできない状況でございます。

 もっとも、民事裁判手続のIT化につきましては、現在、オンラインによる申立てを含め、法制審議会民事訴訟法(IT化関係)部会において調査審議がされているところでございます。

 新たな裁判手続は非訟事件の手続でございますが、非訟事件の手続のIT化を含む民事裁判手続全般のIT化は、国民の司法アクセスの向上に資するものであり、重要な課題というふうに理解しているところでございます。

 民事訴訟手続のIT化の検討状況を踏まえつつ、非訟事件手続のIT化につきましても、関係省庁等とも連携して、しっかりと検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。

○井上(一)委員

 できるだけ早く結論を出していただきたいと思います。

 それと、誹謗中傷の書き込みは、個人の持っている携帯のみならず、ホテルとかインターネットカフェなど、不特定多数の方が利用するパソコンなどを利用して誹謗中傷の書き込みが行われることも想定されますが、仮にそうしたところから発信された場合に、どういう対応が可能なんですか。

○竹内政府参考人

 お答えいたします。

 御指摘のケースにおいて、通信事業者と接続契約を締結しているのは、発信者ではなく、発信者が利用したホテルやインターネットカフェの運営者でございます。こうした場合に、開示請求が認容された場合、ホテルやインターネットカフェの運営者の名称等が通信事業者から開示されることとなります。

 このような場合、被害者としては、開示されたホテルなどに対して弁護士会照会などを活用することによりまして、発信者の特定を図ることが考えられます。

○井上(一)委員

 群馬県で、インターネット上の誹謗中傷に係る被害者支援等に関する条例が令和2年12月22日にできたということで、非常に先進的、ユニークな条例として紹介されています。

 そこで、非常に重要だと思ったのは、相談体制の整備ということで、相談すると、専門的知識を有する者、弁護士とか臨床心理士等を紹介してもらったり、それから、法律相談や被害者の心のケア等、これを実施するということで、非常にいい取組だと思います。

 政府としても、こういった被害者の相談体制の充実を図る必要があると思うのですが、いかがですか。

○竹内政府参考人

 お答えいたします。

 総務省では、インターネット上の誹謗中傷の被害に遭われた方からの相談を受け付け、具体的な削除要請の方法などについて的確なアドバイスなどを行う違法・有害情報相談センターの運営委託を行っております。違法・有害情報センターでは、年間約5,000件の相談を受け付けております。

 また、地方自治体におきましても、委員御指摘のように、例えば、群馬県では被害者支援のための条例を制定され、被害者への相談窓口を開設しているものと承知をいたしております。また、先ほども御答弁申しましたように、コロナ禍におきまして、県が様々な役割を果たして、被害者救済に住民の方と一緒に取り組んでおられるような事例もございます。

 この点、違法・有害情報相談センターにおきましては、地方自治体との連絡体制を構築をいたしまして、関係職員を対象とした研修などを実施しているところでございます。

 今後、こうした取組についても、一層しっかり取り組んでまいりたいと考えております。

○井上(一)委員

 委員会の議論の中でも出ていましたけれども、なかなかこれを知っている人が少ないというふうに思いますので、是非、政府広報とか、あとは、CMで、よくACとかやっていますけれども、ああいうところに協力依頼するとかということで、是非多くの方々に知ってもらうように努力をしていただきたいと思います。

 残りの時間で、新型コロナについて少し質問をさせていただきたいんですが、変異型の新型コロナが非常に増えているということで、関西でも猛威を振るっていますし、蔓延防止については、都も要請の準備に入る段階だということで、変異株の感染拡大について、国民の多くの方々が心配されております。

 その中で、本当に、今の入国制限がどうなっているのか、厳しくやっているのかと問題意識を持っておられる方もおられます。

 今現在、入国制限措置が取られているのか、御説明ください。

○石田委員長

 出入国在留管理庁丸山出入国管理部長。厚生労働省浅沼大臣官房生活衛生・食品安全審議官。(井上(一)委員「法務省じゃないの」と呼ぶ)

○浅沼政府参考人

 お答えいたします。

 現在の検疫対応の措置ということでの御質問というふうに承知しておりますが……(井上(一)委員「ちょっと待って」と呼ぶ)

○石田委員長

 ちょっと待って。

○井上(一)委員

 いやいや、僕は、最初に法務省に状況を聞きたいなと。

○石田委員長

 それで俺が指名したんだよ。丸山出入国管理部長。

○丸山政府参考人

 失礼しました。

 お答え申し上げます。

 出入国在留管理庁におきましては、入管法5条1項14号に基づき、特段の事情がない限り、上陸拒否の対象地域に滞在歴がある外国人について、上陸拒否の措置を講じているところでございます。

 現在、この特段の事情により入国を認めている事例としましては、日本人や永住者の配偶者等である方、外交、公用の在留資格に該当する方、例えば、ワクチン開発の技術者や、オリンピック、パラリンピックの準備、運営上必要不可欠な方など、公益性のある方、例えば、親族の危篤に伴い訪問する方など、人道上の配慮の必要性のある方といった新規入国者、そして、通常日本にお住まいになっている方の再入国する方がございます。

 これらの方につきましては、出国前72時間以内の検査証明の提出を求めるとともに、入国時の検査を実施するなど、防疫強化措置に従うことを条件として、厳格な運用の下、入国を認めるところでございます。

 令和3年3月1日から3月15日までの間の外国人入国者数及び日本人帰国者数につきまして、取り急ぎ集計しましたところ、外国人入国者は8,932人、1日当たり595人、日本人帰国者数は19,306人、1日当たり1,287人となっております。

 出入国在留管理庁としましては、水際でのリスク管理に万全を期すため、引き続き、関係省庁と連携し、国内外の感染状況等を見極めつつ、適切かつ迅速な措置を取っていく所存でございます。

○井上(一)委員

 1日当たり、外国人の方で595人、日本人の方で1,287人ということですよね。

 そうすると、そういう方々が本当に感染されていないかということをしっかり検査しないといけないし、それから、その後のフォローもしっかりしないといけないと思うんですけれども、その点はどうですか。

○浅沼政府参考人

 お答えいたします。

 政府といたしましては、国民の健康と命を守り抜くことを最優先といたしまして、特に御指摘の変異株への対応につきましては、昨年12月19日に英国政府からいわゆる英国変異株に関する公式発表がなされた後、強い危機感を持って速やかに水際対策の強化を行ってきたところでございます。

 現在、検疫におきましては、全ての入国者に対して、出国前72時間以内の検査証明の提出を求めるとともに、空港等において検査を実施し、入国後14日間の待機等について誓約書の提出を求めており、この誓約書に違反した場合は、氏名等の公表や検疫法上の停留、外国人の場合には、在留資格取消手続及び退去強制手続等の対象となり得るものとしたところでございます。

 さらに、変異株が流行している29の国、地域からの入国者につきましては、出国前と入国時の2回の検査に加えまして、検疫所が確保いたしました宿泊施設での待機を求め、入国後3日目に追加の検査を実施した上で、入国後14日間の公共交通機関の不使用と自宅等待機を求めることとし、入国後14日間の日々の健康状態や自宅等待機の状況確認等につきましては、国が民間委託により設置したセンターから行っております。

 このように、人的、物的資源等の様々な制約条件も踏まえた中で、リスクに応じた実効的な検疫を実施しているところでございます。

 なお、変異株流行国・地域の指定につきましては、今後も適宜その追加を検討していくこととしており、また、変異株流行国からの入国者に対して行っているセンターからの健康フォローアップにつきましては、先般の政府決定に基づき、順次、対象者を全ての国からの入国者に拡大するとともに、フォローアップ内容を強化し、アプリを活用した位置情報の確認とビデオ通話による状況の確認を原則毎日行い、3日以上連絡が取れない場合には、民間警備会社等による自宅等への見回りを実施することとしております。

 水際対策につきましては、関係省庁が連携し、機動的に実施してきたところでございますけれども、今後とも、国内外の感染状況などを見極めつつ、政府全体として必要な対応を講じてまいりたいと考えております。

○井上(一)委員

 本当に、国民の多くの方々は心配されているんです。

 やはり先ほどの人数を聞くと、本当に一人一人きちんとフォローされているのかなという心配があるので、本当に一人一人きちんとフォローしていただきたい。しっかりやっていただきたいと思います。

 じゃ、残り、最後の質問で、GoToトラベル、これはもう停止されておりますけれども、今の状況、こういう状況が続けば、GoToトラベルはしばらくはなかなか難しいと思います。その中でも、地元の中では、観光業とかやっておられる方は、何とか観光を少しでも支援していただけないでしょうか、そういう声は聞こえてきます。

 そういう中で、3月26日に国土交通省の方で、自治体独自の旅行割引に補助金を出す措置を決められたというふうに承知しておりますけれども、この内容について説明いただけますでしょうか。

○村田政府参考人

 お答え申し上げます。

 緊急事態宣言は解除されておりますけれども、地域によっては蔓延防止等重点措置の対象となるなど、引き続き、緊張感を持って、感染状況等について注視しながら社会経済活動を進めていく必要があり、全国規模での移動を前提とするGoToトラベル事業の再開は当面難しい状況となってございます。

 他方で、感染状況等が落ち着いている地域におきましては、旅行需要の減少により観光関連産業が深刻なダメージを受け、地域の経済と雇用への不安が高まっていたため、従前より、各県においては、独自に、県内旅行の宿泊割引等の観光需要の喚起策が講じられてきたところでございます。

 このような状況におきまして、先ほど御指摘いただきましたように、全国の多くの知事から、こうした県独自の取組に対して強力な支援を行ってほしいとの強い御要請をいただいていたことも踏まえまして、今般、地域観光事業支援といたしまして、感染状況が落ち着いているステージ2相当以下と判断した都道府県が、当該都道府県の事業として県内旅行の割引事業を行う場合に、国が財政的に支援することといたしまして、その旨を3月26日に発表させていただいたところでございます。

 具体的な支援内容といたしましては、GoToトラベル事業が再開するまでの間、ステージ2相当以下と判断した都道府県が、県民による同一県内での旅行への割引支援を実施することを決定いたしまして、国による財政支援を希望する場合に、旅行商品代金や宿泊料金の半額又は1人1泊当たり5,000円のいずれか小さい方の額につきまして、国から当該都道府県に対し補助金を交付するものでございます。

 また、旅行への割引支援と併せて、クーポン等で土産物屋、飲食店、公共交通機関などの地域の幅広い産業に裨益する支援を実施する場合には、更に1人1泊当たり2,000円を上限として補助金を交付することとしております。

 本事業につきましては、現在、各都道府県におきまして、感染状況等を見極めながら、事業の実施について検討及び準備が進められているものと承知しております。今後、準備が整った都道府県から順次事業を開始し、当面5月末まで実施することを基本としております。

 引き続き、地域の観光関連産業を適切に支援してまいりたいと考えております。

○井上(一)委員

 質問を終わります。ありがとうございました。

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