○井上(一)委員
井上一徳です。よろしくお願いいたします。
私も、まず、法案審議に入る前に、政府の30万円の現金給付、生活支援臨時給付金について質問をしたいと思います。
これについては、きょうの朝の世論調査でも幾つか出ておりました。
産経、FNNの合同世論調査の中で、感染拡大で収入が大幅に減った世帯に対し、政府は30万円の現金給付を実施する方針だが、給付の対象について考えの近いものはという問いに対して、収入が大幅に減った世帯に給付すべきだが39.0%、支給額が下がっても全ての国民に給付すべきだが50.9%であります。
それから、読売新聞の調査で、現金給付の対策は適切だと思いますか、不十分だと思いますか、それとも行き過ぎだと思いますかについては、適切だが26%、不十分が58%、行き過ぎだが5%です。
NHKも同じような調査をやっています。
もう全ての国民が、この現金給付には評価をしておりません。
その中で、生活支援臨時給付金について、総務省の方でも、様々な問合せが多いということでコールセンターを設置しているということでございます。今、このコールセンターに対して、相談件数、それから相談内容としてどういうものがあるかについて、御説明いただきたいと思います。
○前田政府参考人
お答え申し上げます。
総務省におきましては、生活支援臨時給付金に関するお問合せに対応いたしますため、先週の10日にコールセンターを設置いたしまして、オペレーター17名体制によりまして、土日祝日を除く午前9時から午後6時30分までの間、対応しているところでございます。
コールセンターへのお問合せ内容についてはさまざまなものがございますが、給付開始時期ですとか給付条件等に関するお問合せをいただいているところでございます。
なお、相談件数でございますが、4月の10日で一日当たり1,667件のお問合せがあったものと承知しております。
今後、お問合せ件数の状況等も見きわめながら、体制を充実させることを検討いたしますとともに、ホームページやSNS等さまざまな広報手段も活用いたしまして、丁寧でわかりやすい周知に努めてまいりたいと考えております。
なお、今後設置されるであろう地域の相談窓口であります自治体コールセンターも含め、これらの給付事業の実施に必要な事務に要する経費につきましては、全額国費で措置することとしております。
○井上(一)委員
17人ですから、全国から電話が殺到していると思うので、恐らくつながっていないケースが多々あると思います。この1,600件というのはかなり低い数字だと私は思っています。
抗議の電話も多いと思うんですが、私はきょう議論したいと思っているのは、生活に困っている世帯に対する新たな給付金の支給対象で、世帯主の月間収入が基準となっているわけです。それで、報道でも、世帯主の月収が減ったかどうかを支給の判断基準とし、配偶者の月収が減っても給付を受けられないケースがあるということで不満がたまっているということで、世帯主というのはそもそも何なのかということです。
私の理解では、世帯主というのは、誰でも、そして何人でも、いつでも世帯主になれると理解しています。
まずこの点をちょっとしっかり確認しておきたいのですが、そもそも世帯主というのはどういうものなのかについて、御説明いただきたいと思います。
○海老原政府参考人
お答えいたします。
今回の給付金でありますけれども、新型コロナウイルス感染症の影響を受けまして急激に収入が減少して生活に困っている世帯に対しまして、迅速に、かつ重点的に資金を交付するために、御質問にありましたように、世帯主の収入に着目して給付を行うものでございます。
この世帯主でございますけれども、やはり、なるべく早く、迅速に、かつ困っている方に重点的に資金を交付するという観点から、住民票上の世帯主ということで考えているところでございます。
○井上(一)委員
だから、住民票上の世帯主の、世帯主とはどういうことですかということです。
○海老原政府参考人
今回の経済対策におきましては、住民票上の世帯主ということにしておりますけれども、これは、住民票をつくっていただくときに、世帯主ということで申請があって、世帯をつくった者について世帯主とするということでございます。
○井上(一)委員
世帯主というのは法律上も定義がないということでよいですよね。
○海老原政府参考人
お答えいたします。
住民基本台帳上、世帯単位で住民票をつくることになっておりますので、住民基本台帳に基づいて世帯主が決まっているということだと認識しております。
○井上(一)委員
法律上は、世帯主という言葉はないわけです。
それで、誰もが、何人でも、いつでもなれるということも確認しておきたいのですが、まず、世帯主には誰もがなれるということは間違いないですか。
○海老原政府参考人
世帯主でございますけれども、これは、住民票の登録をするときに、その登録する方が世帯主であるとして登録をするということになると認識をしております。
○井上(一)委員
だから、誰もがなれるということは、もうこれはイエス、ノーの簡単な答えなんです。誰もがなれるということでいいんですよね。
○前田政府参考人
住民基本台帳法に基づきまして、みずからその世帯を構成し、住民基本台帳上の世帯を設けようということになりますと、その世帯主ということになるものと承知しております。
○井上(一)委員
ちょっとよくわからないのですが、誰もがなれるという、イエスかノーかだけなんです、これは。
○大口委員長
では、速記をとめてください。
〔速記中止〕
○大口委員長
速記を起こしてください。
では、前田総括審議官。
○前田政府参考人
お答え申し上げます。
住民基本台帳上、この世帯主と申しますのは、世帯を構成する者のうち、主宰する者をいうとされておりまして、その場合、主として生計を維持する者であってその世帯を代表する者として社会通念上妥当と認められる者と解されているところでございます。
したがいまして、生計を維持する者であるかどうか、そしてその世帯を代表する者として社会通念上認められる者かどうかという、この2点におきまして世帯主として認められるかどうかということであります。したがいまして、性別ですとか年齢について、この2点の要件を満たせば特段の制約はないというふうになります。
○井上(一)委員
済みません、ちょっとよく理解できなかったのですが、例えば子供が世帯主になりたいといった場合は、子供が世帯主になれるわけですよね。
○前田政府参考人
繰り返しの話にはなりますが、生計を維持しているかどうか、つまりその世帯としてですね、それから、その世帯を代表する者として社会通念上認められる者であるかどうか、この2点をもって判断するということでございます。
○井上(一)委員
誰が判断するんですか、それは。
○前田政府参考人
これは、住民基本台帳法上、市町村長が判断するというふうになります。
○井上(一)委員
それはおかしいと思います。
では、もう1回。
全部、確認してほしいんですけれども、あと、何人でもなることはできるのか、世帯の中で何人も世帯主になることができるのか、それから、いつでも変更することはできるのか、3つあわせて整理してお答えください。
○大口委員長
では、速記をとめてください。
〔速記中止〕
○大口委員長
速記を起こしてください。
前田総括審議官。
○前田政府参考人
例えば、学生の方で下宿生活で親元を離れていらっしゃるというようなケースにつきましても、先ほど申し上げましたが、その方がみずから主として生計を維持しているというようなことであれば、この方は、みずから、住民基本台帳法上の世帯を設けて世帯主になるということもできます。
かつ、例えば、同一の家族の中におきましても、それぞれの方が、今申し上げましたが、主として生計を維持しているという形で認められた上で、かつ、自分自身が、設定しようといたしますその世帯、これを代表する者であるというふうに認められますと、それも、1つの世帯を構成し、その世帯主になるということになるものでございます。
○井上(一)委員
本当によくわからないですよ。
同じ世帯でも生計を別々にしている人は、同じ世帯の中でも世帯主が2人いることもあるということは、いいんですよね。
○前田政府参考人
同じ家族の中でも、生計が別々ですとそうですけれども、生計が一緒になっておりますと、それは1つの世帯というふうになるものでございます。
○井上(一)委員
いずれにしても、今回の給付は世帯主なわけです。この世帯主の定義、概念がしっかりしていないと、混乱するのは目に見えているわけです。
世帯主について、政府として文書で提出していただきたいと思います。理事会で諮っていただきたいと思います。
○大口委員長
後刻、理事会で諮ります。
○井上(一)委員
私の理解では、世帯主というのは、さっき言ったように、誰もが、何人でも、いつでもなれるわけです。
そうすると、先ほど大学生の例がありました。大学生が世帯主になっている場合で、この条件に当てはまれば、30万円の現金給付は出るという回答がございました。そうすると、誰もが、何人でも、いつでも世帯主になれるので、本当に困っている人は、きょうから世帯主にぜひ変更してほしいと思います。そうしないと混乱が起きるわけです。もらえる大学生の人ともらえない大学生は、基準日によってもまた変わってくるわけです。いつ、この世帯主というのを基準日にするか。基準日はどのように考えておられますか。
○前田政府参考人
お答え申し上げます。
本給付金をどの市町村がどなたに対して出すのかというそこの関係を確定するためには、やはり基準日というものの設定が必要であるというふうに考えておりまして、具体的にそれをいつに設定するのかということにつきましては、現在検討しているところでございます。
○井上(一)委員
基準日の置き方というのは非常に大事だと思うので、慎重な判断をしていただきたいと思います。
それで、先ほど例に出しました配偶者ですね。配偶者の給料は大きく減っても、御主人の給料は変わらない。世帯では給料がすごく減るとしても、奥さんだけの給料が減るから、まさに世帯主の給料が減らないので給付金は出せませんということですが、誰もが、いつでも、何人でもの原則でいえば、奥さんが世帯主になれば給付されるということでいいのですよね。
○海老原政府参考人
生活支援臨時給付金の交付の対象ということでございます。
今回の給付金は、急激に収入が減少して生活に困っている世帯に対して、生活維持のために迅速かつ重点的に資金を交付するということから、世帯主、もう先生御案内のとおりでありますが、世帯主の収入に着目して、できるだけ簡素にと考えているところであります。
ただ、他方、先生からも今御質問ございましたけれども、世帯といっても多様な暮らし方があることも事実であります。実態に即した支援とはならないのではないかとの指摘もございますので、迅速な支援のための簡便な手続とする必要性と、世帯の多様な暮らし方の関係で、バランスを考慮する必要があると考えているところであります。
いずれにしても、制度の詳細設計については今後検討を行う必要があるものと考えております。
○井上(一)委員
こんな検討をしているだけで、もうこれは給付できないですよ、本当に。皆さん、生活に困っている人が多いので、本当に一刻も早く出してほしいという要望が強いわけです。私は、本当に、何回も言うようですけれども、全住民の方にまず10万円早く払う、そして、1,000万ぐらいの十分な所得になる人、これは確定した段階で返還請求すればいいんですよ。そうしたら、すぐ、皆さん返還されますから。もうそれが一番早いと思うのです。
全住民に10万円まず直ちに支給する、これに改めるべきだと思うのですが、どうでしょうか。宮下さん。
○宮下副大臣
お答えいたします。
委員御指摘の、まず国民一律に支給して、別途その返納をする、こういう御提案ですけれども、これをどういう仕組みに組むのかというのもなかなか難しいところがあると思います。
累進税率を利用して、高額納税者の皆様はそこで実質返納ということができないかというような御主張も多いわけですけれども、これについては、最高税率の限界もございますので、全額返納ということにはなりませんし、全員の方に支給した場合には、本来は源泉徴収で課税関係が終了します多くのサラリーマンの皆さんも申告をしていただかないと公平性が担保できない、こういうような仕組みもございます。そういった事情もございます。
このため、今回は、一律全国民の皆様に給付するのではなくて、生活の単位であります世帯に注目をして、そして、急激に収入が減少し、足元の生活に困難を抱えておられる方々の生活維持のため、世帯単位で支給するということにしたものでございます。
迅速に支給するという観点からも、前回、リーマン・ショック時の定額給付金には、かなり、2カ月半から3カ月ぐらい、多くの方に支給するのにかかっております。これを、5月中にも市町村の御協力も得ながら支給する、そういった仕組みを考えた場合には、今回の世帯主単位で支給をする、この方が迅速だという総合判断をしたものでございます。
○井上(一)委員
同じ答弁の繰り返しだったのですが、先ほど言いましたように、世帯主の変更ということで、各市町村の窓口に多くの方が行くと思います。そうしたら、それだけで、市町村に駆けつけるわけですから、市町村が感染源になりかねないという可能性もあるわけです。
私は、世帯主についてしっかりも整理をしていただいて、本当に国民の皆さんが望んでいる現金給付策をぜひしていただきたいということを要望して、終わりたいと思います。