国会活動

遺骨取り違え問題、大和堆での衝突事案

〇第200回国会 衆議院 外務委員会 2019年10月23日(水)

○井上(一)委員 

 希望の党の井上一徳です。

 私は、シベリア抑留者の遺骨取り違え問題、水産庁の船舶と北朝鮮の漁船が衝突して沈没した事案の2つについて質問をさせていただこうと思います。

 まず、シベリア抑留者遺骨取り違え問題ですが、資料でお配りしておりますように、戦没者の遺骨は全体でいうと海外の戦没者が240万人おられて、収容遺骨が約半分の127万6,000柱、それから、未収容の遺骨がまだ110万2,400柱残っています。

 それで、今回のシベリアの方ですが、戦没者が5万4,400人おられ、そのうち、収容できているのが2万1,910体柱で、3万2,490柱がまだ未収容の状況にあります。

 遺骨収容、収集は、ボランティアの方が本当に使命感を持って熱心に取り組まれております。そのような取組もあるとしても、まだこういう状況にとどまっています。

 そうした中で、平成11年から平成26年にかけてロシア国内の九カ所で収集した遺骨についてDNA鑑定を行ったところ、597人分については日本人でない遺骨の可能性があり、336人分が千鳥ケ淵戦没者墓苑に納骨されているという問題について報道がありました。

 熱心に、信念を持って遺骨収容、収集されているボランティアの方々にとっても大変驚きでありますし、慰霊の根幹にかかわるような非常に深刻な問題であると思っております。

 まず、この問題について茂木外務大臣の御見解をお聞きしたいと思います。

○茂木国務大臣 

 御指摘の事業は、1991年に締結をされました日ソ間の協定に基づいて、厚生労働省が所管して取り組んできた事業でありますが、外務省としては、厚生労働省の要請に基づいて、外交ルートを通じて事業の年間計画をロシア側に通報するなど、必要な支援を行ってきたところであります。

 また、御指摘のような事態になった、日本人でない遺骨が収容された可能性が明らかになった7月以降、厚労省との間で連絡をとり合っているところでありまして、外務省としては、厚生労働省からのロシア側との協議の要請について、外交ルートを通じ先方に伝達するなど、引き続き必要な支援を行っていく考えであります。

○井上(一)委員 

 ぜひ、政治家茂木大臣としても、この問題についてはしっかり取り組んでいただきたいと思います。

 この取り違え問題が生起した結果、報道によりますと、先月下旬に予定されていた日本の遺骨調査団の派遣がロシア側の意向で中止になったとか、それから、長年、国の遺骨収集事業に協力してきた日本のNPO法人日本青年遺骨収集団の皆さんも当分の間、事業への参加の中止をすることに決めたということで、今後の遺骨収集に多大な影響が出る可能性が指摘されております。

 今後、ロシアとの協議も含めて、シベリアでの遺骨収集をどのように進めていかれるのかについて、お聞きしたいと思います。

○辺見政府参考人 

 お答え申し上げます。

 今般の事例を踏まえまして、9月に課長級職員がロシア外務省を訪問し、ロシア側と意見交換を行ったところでございます。本件につきまして、今後も情報共有と意見交換を継続して行う必要があること、また、ロシアにおける遺骨収集は、協定に定められているとおり、人道的視点に立脚し、両国民間の相互信頼のもと、これまで実施してきたところであり、今後とも継続して行う必要があることにつきまして、双方が一致したところでございます。

 現在、今後の遺骨収集の作業手順等について、有識者会議において御議論をいただいているところでございます。

 ロシアにおける遺骨収集事業の実施につきましては、外務省と連携し、有識者会議における議論の内容をロシア側とも共有することなどにより、ロシア側の関係者の理解を得ながら協議を進めてまいります。

○井上(一)委員 

 ぜひ、外務省と連携をとって、この事業がスムーズに進むように尽力していただきたいと思います。

 先ほど申し上げましたように、千鳥ケ淵戦没者墓苑に日本人でない可能性のある336人分の遺骨が納められているということで、参拝者がわだかまりなく慰霊できるようにすることが非常に大事だと思うのですが、336人分の日本人でない遺骨が収納されている件については今後どのような対応を考えておられるか、お聞きしたいと思います。

○辺見政府参考人 

 お答え申し上げます。

 千鳥ケ淵戦没者墓苑には、埋葬地資料、現地調査等で得られた証言など入手可能な証拠に基づき、日本人の遺骨である蓋然性が高いと収容時に判断し、持ち帰った遺骨であって、御遺族に引き渡すことができないものを納骨しているところでございます。

 戦没者遺骨のDNA鑑定会議におきまして日本人でない遺骨が収容された可能性が指摘された埋葬地に係る遺骨につきましては、現在、有識者会議のもとに設置された専門技術チームにおいて、日本人である可能性の確認を進めているところでございます。

 本件の御遺骨の取扱いにつきましては、こうした確認結果も踏まえ、御遺族を始めとする関係者の方々の声を伺いながら、適切に対応してまいる所存でございます。

○井上(一)委員 

 遺族の方々の御心情というのが非常に大事だと思いますので、遺族会とよく話をしていただきたいと思います。

 今の遺骨収容事業というのは厚生労働省が中心になって実施しています。私は政府全体で体制を組んでやるべき本当に大切な仕事であり、内閣官房や内閣府に担当室を設けて取り組む必要があるのではないかと思っていますが、この点についてはいかがでしょうか。

○大塚政府参考人 

 お答えをいたします。

 このシベリア抑留者の遺骨の収集の問題につきましては、所管省庁が厚生労働省ということで設置法等でも位置づけられ、その上で、関係省庁と連携をしながら今のこの事業が進められているというふうに承知をしてございます。

 一方で、内閣府設置法では、この遺骨の収集に関する事務は所掌事務に含まれてございませんので、まずはその所管省庁、厚生労働省を中心に対応いただくのが適切と考えているところでございます。

○井上(一)委員 

 国の命令で戦地に赴いて、そこで戦い無念にも亡くなった方々の御遺骨を確実に祖国に返還するということは、国の責務だと思いますので、ぜひ真剣に取り組んでいただきたいと思います。

 それでは次に、水産庁の船舶と北朝鮮の漁船の衝突事案について伺いたいと思います。

 この件についてのビデオを見せていただきました。大変危険な業務に対し、水産庁の船舶の方々は大変よく対応されたと思っております。

 ただ、若干違和感がありますのは、水産庁の所属船舶ではなくて水産庁の用船で対応したと聞いていることです。

 資料の2を見ていただきたいのですが、これは水産庁のホームページからの資料なのですが、水産庁の所属船舶としては、漁業取締り船は7隻しかありません。他方で、水産庁に聞くと全部で44隻あるということなのですが、残りの37隻は民間から借り上げた船舶である用船だということです。

 今回の衝突した事案があった船舶は「おおくに」ということですが、この「おおくに」もいわゆる用船だということで、乗組員の人は基本的には民間人であり、その中で1人だけ公務員である漁業監督官が乗っておられるということです。大和堆での事案は国際問題に発展する事案でありますし、公権力を執行するとなると、漁業監督官1人で対応することはほとんど不可能に近いように思っています。

 そういう意味で、こうした大和堆での事案については、水産庁の所属船舶で対応すべきだと思っていますが、政府として今後どのように対応を考えておられるかについて、お聞きしたいと思います。

○伊東副大臣 

 お答えいたします。

 大和堆周辺水域におきましては、広域な水域で多数の違法外国漁船に対応するために、水産庁といたしましては、海上保安庁と連携しつつ、官船の指揮のもと、水域を分けて用船を配置する形で漁業取締り活動を行っているところであります。

 官船に関しましては、本年度末には新造船1隻を追加配備いたしますとともに、既存船1隻につきましては、大型化し性能を向上させた代船を配備する等の体制強化を図っているところであります。ちなみに、令和3年度には、更にもう1隻、官船を配置する予定でございます。

 なお、用船につきましても、官船と同様の装備を有しておりまして、違法漁船に対峙できる能力を備えており、通常の場合は十分に取締りの任務を果たせるものと考えております。

 また、用船に乗船する漁業監督官についてでありますが、漁業取締り体制の強化の観点からも増員を毎年図っているところでありますが、引き続き必要な人員を確保できるよう更に努めてまいりたい、このように考えております。

○井上(一)委員 

 大和堆での事案というのはこれからも発生する可能性が非常に高いと思いますので、ぜひ体制強化をしっかりとしていただきたいと思います。

 漁業監督官それから乗組員は、海上において非常に危険な業務に従事していますが、処遇については、他の海上で任務に当たっている公務員と比べてそれほど高くなく、むしろ低いというようにも聞いております。

 やはり他の類似の業務に従事する方々と同様の処遇を行うことが非常に大事だと思いますが、今、農水省としてどのような処遇改善に取り組んでおられるか、それから、処遇改善の要求をしていると聞いておりますので、それを踏まえて人事院として今どういうような対応を考えておられるかについて、それぞれ質問して終わりたいと思います。

○神谷政府参考人 

 お答えいたします。

 水産庁の官船に乗船している漁業監督官につきましては海事職俸給表が、用船に乗船している漁業監督官につきましては行政職俸給表が適用され、給与が支払われております。また、立入検査等に従事した漁業監督官に対しましては特別手当が支給されているところでございます。

 漁業監督官の処遇につきましては、類似の業務に従事する他省庁の例も参考に、関係機関とともに、現在その改善に努めておるところでございます。

 以上でございます。

○佐々木政府参考人 

 お答えいたします。

 漁業監督官を含め、公務員が高い士気を持って職務に精励するよう適正な処遇を確保することは、国民の安心、安全な生活を実現する観点からも重要と考えております。

 漁業監督官の給与処遇につきましては、引き続き、水産庁から実情等を伺いながら、必要な検討を行ってまいる所存でございます。

○井上(一)委員 

 ぜひ処遇改善をしっかり確保していただきたいと思います。

 では、以上で終わります。ありがとうございました。

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