国会活動

食料の安定確保、食品ロス、農業

〇第204回国会 衆議院 消費者問題に関する特別委員会 2021年4月6日(火)

○井上(一)委員

 国民民主党・無所属クラブの井上一徳です。

 最近、食料価格が世界的に高騰しているという状況を踏まえて、我が国の安全保障に関わる食料問題について質問をさせていただきたいと思います。

 報道によると、6年半ぶりの食料価格が高水準になっているということで、穀物と植物油の価格が高騰している、特にトウモロコシの価格が高騰しているという報道がありました。

 国内でも小麦の価格が上昇しておりまして、平成27年の価格を100とすると、今年3月は110.7ということで、10%の値上がりです。

 今後、2050年には世界の人口は97億人に達するということで、さらには、中国やインドがこれから経済発展をしていくということを考えると、農産物それから畜産物の需要が大変増えていくということが予測されます。

 様々な途上国が発展して所得水準が上がっていくということになれば、農産物それから畜産物の需要が格段に増えていくということで、今までのように日本が食料を安定的に調達するということが難しくなってくるのではないかという問題意識を持っています。

 そこで、まず最初に、今後の食料事情の見通し、それから、我が国の安全保障の観点からどのように食料を確保していくのか、どのようにお考えか、お答えいただきたいと思います。

○村井政府参考人

 お答え申し上げます。

 主要な穀物等につきましては、世界的には豊作基調にあるものの、中国での需要の増加、北米での寒波や南米での乾燥による生育懸念、ロシアの小麦輸出税の引上げなどの要因によりまして国際価格が上昇していることは承知しております。

 我が国では、主要穀物の備蓄は十分に存在しており、現時点で国民への食料供給に大きな問題は発生していないと考えておりますが、御指摘ありましたとおり、食用油の小売価格、輸入小麦の政府売渡価格や配合飼料価格が上昇しております。今後も、国際相場や世界での食料の需給動向を注視していく必要があると考えております。

 また、世界の人口増加に伴う食料需要の増加、気候変動や大規模自然災害、サバクトビバッタや豚熱などの病害虫や疾病など、中長期的に我が国の食料供給に影響を及ぼす可能性のあるリスクが多様化していると認識しております。

 食料の安定供給は国家の最も基本的な責務の一つであり、食料・農業・農村基本法第2条第2項におきましては、国内の農業生産の増大を図ることを基本とし、これと輸入及び備蓄とを適切に組み合わせることにより確保することとしており、国民に対する食料の安定供給の確保に向けて、我が国の農林水産業の生産基盤の強化に取り組んでまいる所存でございます。

○井上(一)委員

 今おっしゃったように、食料の安定確保というのが国家としての重要な責務だと思いますので、やはりしっかり取り組んでいかないといけないと思います。

 その観点から、まずは、生産の点においては国内において農業生産を高めていくことはもちろんですが、消費の点からは食品ロスを可能な限り削減していくということが重要だと思います。

 それで、大臣は所信の中で、「食品ロス削減については、まだ食べられる食品が大量に廃棄されている現状に大変な危機感を感じております。関係省庁と連携して、制度的な課題の検証を含め、国、地方公共団体、事業者、消費者等の多様な主体による取組を進めてまいります。」と所信で述べておられましたが、具体的にどのような課題があるのか、そしてどういう取組をされるのか、説明していただきたいと思います。

○井上国務大臣

 食品ロスの削減、大変重要な課題だと思っております。ですから、私としては、食品ロス削減目標の達成に向けて、普及啓発にとどまることなく、食品ロス削減の妨げとなっている制度的な課題につきましても検証を加えて、取組を進めることが重要と考え、制度的な課題の検証と申し上げてまいりました。

 例えば、このため、昨年10月30日、関係省庁に対して、可能なものから前倒しで取組を進めるよう指示を行いました。これを受けて、関係省庁において、例えば、賞味期限の年月表示の拡大を始めとする商習慣の改善や、食品リサイクルの促進など、様々な制度的課題に取り組んでいただいております。

 消費者庁におきましても、例えば、食品表示に関し、食品表示基準に違反する商品について、店頭からの商品の撤去や廃棄の削減を推進するため、アレルゲン等の消費者の安全に係る表示事項を除いて、商品の見やすい場所に貼り付けるPOPシール等による簡便な表示修正方法の導入、また、入替え時期の到来により役割を終えた国の機関の災害用備蓄食品について、賞味期限が切れたものも含めてフードバンク団体などへの提供促進につながる仕組みの施行、こういったことに取り組んでまいりました。

 引き続き、消費者庁が司令塔となって、関係省庁とも連携をしつつ、制度的な課題の検証も更に進めて、政府一丸となった取組を加速化してまいります。

○井上(一)委員

 この食品ロスに関連して、具体的な取組として、防災備蓄食品の取組について質問させていただきたいと思っています。

 賞味期限が到来した防災備蓄食品については、一般社団法人食品ロス・リボーンセンターが、命のごちそうということで学校給食に活用していくことにより、食品ロスの削減につなげ、さらには防災教育にも貢献するという活動をされております。

 まず、全国の自治体がどのくらい防災備蓄食品を保有しているのか、種類とか量について御存じでしたら教えてください。

○荻澤政府参考人

 各都道府県、市町村におきましては、被災者支援などの観点から、それぞれの被害想定に応じた備蓄品目、数量の確保に努めているところでございます。

 消防庁では、災害発生時に自治体間で相互融通、そういうことができますように、食料品、また、生活に不可欠な毛布、トイレなどの備蓄状況等を調査し、公表しております。

 委員御指摘の食品でございますけれども、直近の令和2年4月現在で、例えば米であれば、都道府県、市町村合わせて13,000トン、また、乾パンで1,760万食、インスタント麺では約53万個、こういったような公的備蓄が行われているところでございます。

○井上(一)委員

 現在、防災備蓄食品について、どのように食品ロスにつながらないように利活用されるか、教えていただきたいと思います。

○津垣政府参考人

 お答え申し上げます。

 入替えにより役割を終えた災害用備蓄食品につきましては、これまで、一部を職員に配付するほかは有効活用がされていない状況にあり、食品ロス削減の観点からも課題でございました。

 現在、井上大臣の御指示の下、政府一丸となってスピード感を持って食品ロス削減の取組を推進しており、その一環として、消費者庁においても、入替え時期の到来により役割を終えた災害用備蓄食品を有効に利活用するため、3月30日に福島県郡山市のフードバンク団体へ提供したところでございます。

 消費者庁といたしましては、このような取組が政府や地方公共団体等、災害備蓄を行う様々な団体に広がるよう、関係省庁と連携した取組を行ってまいりたいと考えております。

○井上(一)委員

 先ほど申し上げたように、防災備蓄食品を学校給食で活用していくというのは教育の観点からも非常に効果的だと思うのですが、文部科学省としても、食品ロスについて指導できる私はよい機会だと思っています。文部科学省としてはどういうようなお考えでしょうか。

○塩見政府参考人

 お答え申し上げます。

 防災備蓄食品につきましては、一部の自治体におきまして、児童生徒の防災に対する意識を高めるため、学校給食におきまして非常食の試食体験を行う事例もあると承知しております。

 文部科学省で令和3年3月に作成いたしました、災害時における学校給食実施体制の構築に関する事例集というものの中におきまして、災害時における各職員の役割分担のマニュアルの作成でありますとか、あるいは近隣自治体等との連携体制の構築などに加えまして、学校給食において、防災備蓄食品を活用した防災食体験を実施している自治体の事例も掲載させていただいております。

 また、文部科学省が実施しております学校安全総合支援事業におきましては、防災教育の観点から、例えば地区のまちづくり協議会等の協力を得まして、避難所で非常食の試食体験をするということで、災害に遭い、避難所生活を強いられる人々の思いも酌み取るような避難所体験学習なども行われております。

 文部科学省としましては、このような取組を通じまして、防災備蓄食品の活用に関する事前の周知を図ってまいりたいと考えております。

○井上(一)委員

 是非、積極的な取組を進めていっていただきたいと思います。

 最後の質問になりますが、生産面で、生産量を高めていくという観点から質問させていただきたいと思います。今、国家戦略特区として、養父市で、株式会社が農地を取得、保有するという特例を設けてやっております。私は、養父市は先進的な取組をしていると思っていますが、今回の国家戦略特区の期限の延長ということで、2年間の法改正と承知しておりますが、国家戦略特区を担当している内閣府として、この養父市の取組をどのように評価されているのか。それから、農水省も同じように、どのように評価されているのか。私自身は、こういった先進的な取組を支援していくべきだと考えておりますが、いかがでしょうか。

○佐藤政府参考人

 お答え申し上げます。

 今御指摘いただきました養父市において活用されています法人農地取得事業に関する特例でございますが、この事業については、平成28年の創設以来、これまでに6社がこの特例を活用して、農地を合計1.6ヘクタール取得をしているところであります。

 この事業によって農地を取得した企業によりまして、農業の6次産業化による地域経済の活性化、あるいはスマート農業実証事業による新たな中山間地域における農業モデルの構築、こういった成果が上がっているというふうに認識をしておりまして、また、特段の弊害が生じているというふうには認識しておりません。

○大島政府参考人

 昨年12月21日に特区諮問会議がございまして、その場におきまして、野上大臣の方から、養父市におきましては、急傾斜地のある中山間地という厳しい地域条件の中で地域農業の振興に取り組んでおられることについて、心から敬意を表したいというお言葉を出されておるところでございます。

 他方で、養父市に適用されております特例につきまして、様々な意見がある中で、そのファクトについて申し上げますと、本年1月末現在の数字でございますが、特例が適用されております対象の六社が所有している農地面積は、それぞれの社の経営面積の合計の約5.5%となってございまして、残りの農地については、リース方式で農業が行われているという事実がございます。

 加えまして、その6社のうちの1社は、2年前の3月から休業しておりまして、その所有する農地は農業利用されていないという現状にありまして、ファクトとしてはこういうことかなというふうに存じ上げております。

 以上でございます。

○井上(一)委員

 では、時間が来ましたので、これで終わりたいと思います。

 農業は本当に国の大きな柱の一つですから、是非しっかり取り組んでいきたいと思いますし、私も、これからも質問させていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

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