国会活動

東京一極集中是正、綾部の水源の里

〇第201回国会 衆議院 総務委員会 2020年2月18日(火)

○井上(一)委員

 希望の党の井上一徳です。

 今の日本では、コロナウイルス対策を始め、本当に課題が山積している状況です。私たちは、国民の代表として、国会の場でしっかり議論するということが非常に大事だと思っておりますし、多くの国民の方々もこういった課題について国会の場でしっかり議論してほしいと期待されていると思います。

 この貴重な時間を使って、私は、特に高市大臣の大臣所信に対する質問をさせていただきたいと思っております。

 この所信の中で、大臣は、地域の活性化と東京一極集中の是正を最初に挙げられて、そして、地域経済を活性化するとともに、地方への人の流れを創出しますとおっしゃっています。

 資料を用意しております。東京圏への転入超過数ということで、2015年から、東京への転入者数と転出者数を均衡させるということで目標を立ててやっているわけですが、ここ3年間をみると、2017年には119,779人、そして2018年には135,600人、2019年には145,576人と、2018年から比べて更に1万人ふえているということで、東京一極集中については是正するどころかむしろ加速化しているという状況が続いております。

 2020年度に東京圏への転入と転出を均衡させるということを目標にしておりましたが、当然ながら非常に難しいという状況であります。

 そして、昨年12月20日に閣議決定された第2期のまち・ひと・しごと創生総合戦略では、今度は2024年度に転入と転出を均衡させるということにしております。第1期には目標を掲げながらむしろ加速化している状況が進展しておりますので、もうこれまでの施策の延長線上ではなくて、本当に大胆で抜本的な改革をやっていかなければ東京一極集中の是正は難しいと思っております。大臣として、今の東京一極集中が続く理由についてはどのように考えておられるのか、そしてこの大きな流れを変えるためには何をなすべきなのかについて、お伺いしたいと思います。

○高市国務大臣

 依然として東京圏への転入超過が続いている理由でございますけれども、転入超過の大半を10代の後半及び20代の若者が占めているということを考えますと、この世代の進学や就職がまずは最初の主な原因であると思います。

 今後ですけれども、総務省としましては、第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略を踏まえて、関係府省と連携して取組を進めてまいります。

 まず、具体的には、やはり地方への人の流れの創出をすること、そのために地域おこし協力隊の推進や関係人口の取組の深化と横展開による地方とのつながりの強化というものを図ってまいります。

 また、これまでの取組ではちょっとという御指摘もあったんですけれども、やはり稼げる地域ということを考えますと、これまでやってまいりました分散型エネルギーインフラプロジェクトを拡充してまいりたいと考えております。

 さらに、ローカル1万プロジェクト、これも雇用を生み出すものですから、しっかりと推進してまいります。

 それから、テレワークの推進、さらには、これから期待が持てるのは、5G、IoT、AIといった技術をさまざまな分野に活用して、その恩恵を享受できる地域社会をつくり上げていく。つまり、遠隔医療や遠隔教育や、それから、これからだったら自動運転などを活用した地域の足の確保ということも可能性としてはありましょう。

 ですから、5Gや光ファイバーなどのICTインフラの整備と利用環境の整備というものを進めてまいりたいと考えております。

○井上(一)委員

 私自身も、第2期のまち・ひと・しごと創生総合戦略を読ませていただいたのですが、正直、2024年に転入と転出を均衡させるという目標が達成できるとは思いません。非常に懐疑的です。

 私は、あらゆる施策を総動員して大きな流れを変えていかないといけないと思いますが、この戦略で本当に目標が実現されるのかについて、御説明いただきたいと思います。

○辻政府参考人

 お答え申し上げます。

 ただいまお話がありましたとおり、東京圏への一極集中の是正につきましては、あらゆる施策を総動員いたしまして、地方と東京圏との転入転出の均衡を目指すことが必要と考えております。

 このため、昨年12月に閣議決定いたしました第2期の総合戦略におきまして、地方と東京圏との転入転出を均衡するとの目標を堅持いたしまして、この達成に向けて、一極集中の是正に向けた取組を強化することとしております。

 具体的には、引き続き、地方大学・地域産業創生交付金による地域の中核的産業の振興等に取り組むとともに、移住支援事業について対象者や対象企業を拡大するなどにより、地方への移住、定着を更に促進してまいりたいと考えております。

 加えまして、都市と地方のつながりを強化し、地方移住の裾野を拡大することも必要と考えておりまして、このため、地域とつながる人や企業をふやす取組といたしまして、関係人口の創出、拡大や企業版ふるさと納税の活用促進などを強く推し進め、地方への人の流れを重層的な形で力強いものにしてまいりたいと考えております。

 いずれにいたしましても、東京圏への一極集中の是正は大きな政策課題でありまして、今後、第2期の総合戦略に基づきまして、あらゆる施策を総動員いたしまして、地域における魅力ある仕事づくり、学びの場づくり、まちづくりなどに取り組みまして、その是正に全力を尽くしてまいりたいというふうに考えております。

○井上(一)委員

 まち・ひと・しごと創生総合戦略に関する検証会中間整理というものが、令和元年の5月31日に出されております。その中で、「東京一極集中のとらえ方」とあり、「人口は東京一極集中が続き、製造業は地方分散が進み、情報サービス業や卸売業は「東京再集中」がみられる。大企業の東京圏集中率については、2005年から2015年にかけて上昇している点に注目する必要がある。」ということを検証いたしまして、そして、まち・ひと・しごと創生基本方針2019において、「東京一極集中に歯止めがかかっていない状況を踏まえ、東京から地方への企業の本社機能移転等の加速化に向け、様々な施策を総動員した、総合的かつ抜本的な方策について検討し、年内に成案を得る。」となっておりますが、具体的にはどういうような案が得られたか御説明いただきたいと思います。

○長谷川政府参考人

 お答え申し上げます。

 企業の拠点の所在は一般に、顧客、取引先等との関係、経営コストの効率化、人材の確保等、さまざまな要素を総合的に勘案した経営判断がなされるものと承知いたしております。

 そうした複合的な要素のうち、コストに関しましては、地方拠点強化税制について、企業から、人手不足で雇用確保が難しく適用要件を満たすことが難しい等々の御指摘を頂戴してきたところであります。

 そこで、令和2年度の税制改正におきましては、企業や自治体のニーズを踏まえまして、地方拠点強化税制のうち雇用促進税制につきまして、本社機能を東京から地方に移転した場合における雇用への増加に対するインセンティブの強化、そして、要件の見直しによる制度の簡素化等々の見直しをすることとしております。

 次に、人材の確保に関しましては、地方創生推進交付金等を活用いたしまして、地方へのUIJターンを行う就業者に対する助成、産官学連携による専門人材の育成、副業、兼業の形態を含め人材と地域企業とのマッチングに対する支援等を行うこととしてございます。

 昨年12月に閣議決定をいたしました第二期まち・ひと・しごと創生総合戦略におきましては、地方拠点に関して、今回の税制改正を含みます一連の支援施策を踏まえた形で、地域再生法に基づく認定を受けました地方活力向上地域等特定業務施設整備計画に掲載されました特定業務施設において常時雇用する従業員数の増加数を2015年度から2024年度までの累計で3万人とする目標を掲げております。

 これらの施策全般について、より多くの企業に有効に御活用いただけますよう、引き続き、地方自治体等々と連携いたしまして、経済団体を始めとする関係者の皆さんに積極的な周知、広報に努めまして、地方拠点の強化につなげてまいりたい、こういうふうに考えております。

 以上でございます。

○井上(一)委員

 地方拠点強化税制については、第1期のときに地方拠点強化税制の適用を7,500件を目標にするという目標を掲げましたが、実際のところは、約1%の約80件にとどまっています。

 今回も同じように、地方拠点強化税制をより強化したという御説明もありましたが、私は、今の税制では、本社を移転する経営判断をするには、やはり魅力のある税制にはなっていないと思っております。こういった税制については、本当に抜本的なものをぜひやってほしいと思っております。

 もっと抜本的な税制改正についてまだやれる時間はあるわけですから、ぜひ取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○長谷川政府参考人

 お答え申し上げます。

 先ほども御答弁申し上げましたが、今回の税制改正におきましては、企業等のニーズを含めまして、本社機能を東京から地方に移転した場合における雇用の増加に対して、インセンティブの増加ですね、今まで、雇用者数の増加要件でありますとか、あるいは全体の給与額の要件とかいろいろありましたけれども、そのあたりを緩和いたしまして、よりインセンティブを強化したということと、それと、簡素化ですね、手続の簡素化等々の見直しをしておりまして、そういったことでより使いやすくなっているものと思われますので、この制度の見直しを受けまして、引き続き、地方自治体とも連携して、経済団体を始め、やはり関係者の皆さんに積極的な周知、広報が必要と思っておりますので、しっかりとこの税制の活用を進めますとともに、関連する施策等々の連携が大事でございますので、関係省庁とも連携しながらしっかりと対策を進めてまいりたい、こういうふうに考えております。

○井上(一)委員

 この点についてはまた議論したいと思います。

 資料の2を見ていただきたいんですが、産業、雇用の産業別就業人口、構成割合の変動状況ということで、昭和45年と平成27年を比べると、過疎地域において、当然人口が減っているわけですが、昭和45年のときは第一次産業が約半分あったわけです。それが、平成27年のときにはもう14.5%ということで、かなり減ってきています。

 私は、地方を活性化するには、農業、林業、水産業の発展なくしては地方の発展がないと思っております。そういう意味で、特に農業の振興ということが非常に重要だと思っております。この点については、また時間を改めて議論させていただきたいと思います。

 次に、関係人口の創出、拡大の取組を深化させると高市大臣はおっしゃっています。私も、これは非常に大事な視点であって、評価をしたいと思っております。

 資料3を見ていただきたいと思います。私の地元綾部市に古屋という本当に小さな集落があります。4人の集落で、3人のおばあちゃんと、1人のおばあちゃんの息子さん1人の集落なのです。この3人の女性の平均年齢は1年前の新聞には91.6歳と書いておりますが、平均年齢がもう93歳となっています。渡辺さんも60代で、4人のグループとなっています。

 普通であれば、もう消えゆく限界集落という位置づけになるわけですが、綾部市ではこうした小さな集落を水源の里と名づけて、こういった水源の里こそ、エネルギーそれから農業などの供給地であるということで大事にしていこうと、支えております。

 この4人の集落では、トチという地元の特産物を使ったお餅やクッキー、おかきを販売しているということで、こういった活動を支えているのが市内外のボランティアの方々です。ボランティアは全部で300人が登録して、地域を盛り上げて、もう今では3,000以上の人が来訪するということで、非常ににぎわっています。

 私もボランティアの活動の際に古屋に行きましたが、いろんなところから来られて、遠くは九州からも来られていました。おばあちゃんに元気をもらうために来たとおっしゃっていました。こういった活動こそ、私たちは、今の日本が取り組むべき地方政策の一つではないかと思っております。

 先ほど言いましたように、この小さな集落を消えゆく集落として捉えるのではなくて、生活や文化、自然というものは都市部にとっても非常に大事なんだという認識でみんなで支え合うという取組が必要だと思っております。

 高市大臣は、いわゆる限界集落、過疎地域といった問題についてどのような認識を持っておられるかについて、お聞かせいただきたいと思います。

○高市国務大臣

 過疎地域は、著しい人口減少や高齢化の進行、存続困難な集落の発生など、さまざまな課題に直面していると認識しています。

 総務省が今年度実施した調査によりますと、高齢化の進行に伴って、高齢者割合の高い集落は増加する傾向が続いています。一方で、集落機能の維持が困難な集落や無人化の可能性のある集落の割合は、4年前の前回調査と比較して、大きな変化はなく、少し減少してきております。これは、集落支援員や地域おこし協力隊などのサポート人材が活動する集落の割合が増加していることが背景にあると考えています。まさに委員が御紹介いただいた例もそうなのですが、サポート人材が活動しておられる集落の割合が、前回28.1%だったのが、今回34.7%になっております。

 やはり、これまで地域おこし協力隊による集落での活動や集落支援員による集落への目配りということもやってまいりましたけれども、さらに、集落ネットワーク圏の形成にも取り組んでまいりましたが、国民全体の生活にかかわる重要な公益的機能を有している過疎地域を守っていくための取組、特に実効性のある対策をしっかり講じてまいりたいと存じます。

○井上(一)委員

 それでは、関係人口の創出、拡大の取組を深化させるということですが、具体的にどのような取組を考えておられるか、御説明いただきたいと思います。

○境政府参考人

 お答えいたします。

 特定の地域に継続的に多様な形でかかわるという関係人口でございますが、地域の担い手として活躍していただくことにとどまらず、将来的な移住者の増加にもつながることも期待できる存在でございます。

 この関係人口の創出、拡大に向けまして、総務省では、これまでモデル事業を行ってまいりました。それによりまして、地域外の方々が関係人口となるような機会創出の促進でありますとか、あるいは全国への情報発信による機運の醸成などをこれまで図ってきたところでございます。

 令和2年度からは、関係人口と地域との継続的な協働事業、一緒にやっていくという協働事業などに取り組みます自治体に対しましてモデル事業による支援を行いまして、関係人口の取組を深化させていくということを行いたいと考えております。それとともに、この深化した取組を全国に横展開いたしまして、定着させていきたいと考えておりまして、予算案に所要額を計上いたしております。

 これらの取組によりまして、全国各地で関係人口が地域とかかわり合いながら地域活性化に貢献するという姿を目指してまいりたいと考えております。

○井上(一)委員

 この古屋での取組というのは、日本のこれからの地域政策のモデルになるのではないかと思っております。大変お忙しいとは思うのですが、高市大臣には、ぜひ機会を見つけて古屋にも足を運んでいただいて、おばあちゃんがどういうような活動をしているのかとか、それから、おばあちゃんに対する激励とか、声をかけていただくと更に皆さん元気になるのではないかと思いますので、もし機会があったらぜひ訪ねていただきたいということを要望して、もしコメントがあればコメントをお願いして、最後の質問にしたいと思います。

○高市国務大臣

 時間が許しましたら、なおかつ井上委員が御案内くださいましたら、考えさせていただきます。ありがとうございました。

○井上(一)委員

 ぜひ案内させていただきますので、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

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