国会活動

郵便局員の処遇改善、郵便投票、新型コロナウイルスでの事業者支援の継続

〇第203回国会 衆議院 総務委員会 2020年11月19日(木)

○井上(一)委員

 井上一徳です。

 まず、郵便法について質問させていただきたいと思います。

 郵便制度は、明治4年、1871年に創設されましたので、来年、150周年を迎えるということであります。1円切手で有名な前島密さんが創設して、郵便制度は日本社会の中に定着して、日本社会の本当に重要な社会的インフラとして、私たちの国の宝だと思っています。

 私の友人、知人にも郵便局に勤めている者は当然おりますし、それから、先輩方でも、郵便局で勤務をして、大変誇りを持って退職されたという方も多くおられます。

 150年を迎えるに当たって、今まで郵便局で勤められた方々、それから、日夜黙々と、本当に雨の中、風の中、雪の中、ひたむきに頑張っておられる方々が、今もおられるわけです。そういう働いている方々に対する気持ちも込めて、来年150年を迎えるわけですので、大臣、郵便制度に対する評価を聞かせていただきたいと思います。

○武田国務大臣

 これは、我が国の先人が残してくれた、また、現代の方々が引き継いだ、とうとい、かけがえのない財産であろうかと思っております。

 24,000のネットワークを生かしながらユニバーサルサービスを展開して、本当に地域の生活インフラとして、特に地方にお住まいの方々は、この郵便局の方々には本当に深く感謝をしていただいておると思います。

 昨年度に163億通の郵便物をあまねく全国において、議員御指摘の厳しい気象条件の中でも職員が日々配達を行っており、こうしたコロナ禍の中においても、社会インフラとしての機能を果たしているわけであります。

 末永くいつまでも、国民に対してそのユニバーサルサービスを提供できるように、今後とも、我々としてもバックアップをしていきたい、このように考えております。

○井上(一)委員

 郵便制度を改革するに当たっても、今大臣がおっしゃったように、郵便局に勤められている方々の気持ちに沿いつつ、社会的インフラ、国の宝をどうやって生かしていくかという観点から改革をしていかなければならないと思います。

 平成30年の7月10日に、情報通信審議会が、「少子高齢化、人口減少社会等における郵便局の役割と利用者目線に立った郵便局の利便性向上策」というのを出しておりまして、この中でこう言っています。

 郵便局及びそのネットワークは、明治4年の郵便創業以来、長い歴史の中で構築され、また維持されてきたもので、いわば国民にとっての財産である。少子高齢化、人口減少が進展し、地方では金融機関をはじめ店舗の廃止、撤退が進む中でも、郵便局は住民の身近な窓口機関として、また、地域の生活を支える安心・安全の拠点として、益々その存在意義が高まるものと考えられる。

 郵政事業が民営化され、郵便局及びそのネットワークは、日本郵便にとって収益を確保するための重要な経営基盤であり、日本郵便として、その一層の活用を経営の最重要課題の一つとして捉えていく必要がある。

 まあ、ネットワークの重要性を言っているわけです。

 そこで、きょうは増田社長に来ていただいております。増田社長は、東京一極集中是正、地方創生といった分野でも非常に知見のある方でございます。

 これから、私は、東京一極集中の是正と地方創生を国を挙げてやっていかなければならないと思っているのですが、まず現状として、地方から人口が減ってきています。そういう中で、郵便局に対する信頼感というのが、住民にとっても非常に大きいものがあります。だから、このネットワークは絶対に守っていかないといけないと思っています。しかし、地元でいろいろ聞いてみると、高齢化が進んできて、事業承継がなかなか難しくなっているというような話も聞きます。そのような事業承継の問題も含めて、このネットワークをどうやって維持していくのか、社長の考えをお聞かせいただきたいと思います。

○増田参考人

 お答え申し上げます。

 日本郵政そして日本郵便が、関係法令によりまして、郵便、そして貯金、保険、この窓口業務として、ユニバーサルサービスを郵便局で一体的にかつあまねく全国において公平に利用できるようにしなければならない、このようにされておりますので、民営化以降、局数の大きな変動はございませんで、約24,000局の郵便局ネットワークを維持してきたところでございます。

 こうした郵便局ネットワークは、日本郵政グループとお客様との大切な接点であるだけでなくて、当グループの最も根幹をなす資産でございまして、現時点で、現在のネットワーク水準を引き続き維持をしていく必要がある、このように考えております。

 そして、先週でございますが、11月13日、次期の中期経営計画の基本的考え方、これは来年以降でございますが、そちらの基本的な考え方を公表させていただきましたが、その中におきましても、少子高齢化、過疎化が進む地域社会における貴重なリアルネットワークとしての郵便局が、郵便、物流、貯金、生命保険などの生活基礎サービスに加えて、地域ニーズに応じた多種多様なサービスを提供していくことにより、地域社会が抱える各種課題の解決に貢献をしていく、このように記載をさせていただきました。

 私どもも、今後更にこうした考え方をきちんと煮詰めて、来年以降の中期経営計画を発表し、そうした考え方でこのネットワークを使っていきたい、このように考えております。

○井上(一)委員

 ぜひ、事業承継も含めて、ネットワークを維持するための方策について検討していただきたいと思います。日本の郵便に対する評価ということで、郵便に関する国際連合である万国郵便連合が発表する郵便業務発展総合指数があります。2017年に調査して、日本は170カ国中の第3位、それから、世界経済フォーラムの調査の郵便効率化指標で見ると131カ国中第1位という評価で、非常に国際的にも高い評価をされているわけです。

 郵便は日本の国の宝ですから、これからのインフラ輸出に活用したらよいのではないかと思っています。

 郵便業務発展総合指数で日本は第3位になったわけですが、第1位がスイスで、第2位がフランスだったということです。

 それで、先ほど社長も言っておられましたが、これから維持していくためにも様々な検討をしていくということでありました。一つの参考事例として、JP労組海外郵便事業事情調査報告のフランスの例があります。フランスは、「高齢時代を迎えたフランス社会では、長く自宅で過ごす者に合わせた身近なサービスが求められる。」ということで、「顧客のところを毎日回り、信頼できる存在である郵便配達員を基本に事業戦略を構築。」ということで、郵便局の職員が、郵便を配達するだけではなくて、地域社会に貢献するために、様々な貢献があるのではないでしょうか。

 ここでは、郵便外務員を4つのレベルに分けて、郵便配達員の多機能化を進めています。通常の業務をこなして多少の新規職務を行う職員。それから、見守りサービスをする職員。それから、自宅にパソコンを取り付けたり、そういった高齢者に補助をする職員。それから、エキスパート型郵便配達員としては、税務手続を手伝うことができる職員。こういったことで、郵便局職員に地域貢献のためにいろいろ貢献してもらうという考え方があるわけですが、このラ・ポストについて、御承知の範囲で御説明ください。

○米澤参考人

 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、フランスのラ・ポストにおきましては、地域の人々に身近な郵便配達という仕事の利点を生かしつつ、シルバーエコノミーとして高齢者向けの見守りサービスを提供するほか、高齢者向けの各種サービスを行っていると聞いております。このうち、見守りサービスにつきましては、2017年の5月からフランス全土でサービスが開始されていると聞いているところでございます。また、この見守りサービスの主な内容としましては3つございます。訪問サービスとして利用者宅に訪問、生活状況等について質問し、回答内容を携帯端末に入力する。そして、その状況をスマートフォンで離れて暮らす御家族に御連絡するといったもの。また、緊急時の電話対応。それから、修繕のあっせん。これは、電気機器、水道故障等の修繕について事業者を手配をするというもの。こういったものが内容となっているというふうに聞いております。

 また、そのほかの高齢者向けサービスとして、高齢者向けにラ・ポストが開発いたしました端末、そのタブレット端末の使い方を教えるサービス、また、高齢者に対する、ICT化された税務手続、これのお手伝いをするといったサービスが展開されていると承知しているところでございます。

○井上(一)委員

 日本郵便の方から聞きますと、例えば見守りサービスはもう既に日本郵便でもやっておられるということです。日本郵便がどういう取組を今されているか、御説明いただきたいと思います。

○米澤参考人

 お答え申し上げます。

 2017年10月から、ひとり暮らしの御高齢者を見守り、高齢者と御家族をつなぐことを目的といたしました郵便局の見守りサービスというものを全国の郵便局で御提供しているところでございます。

 また、地方公共団体におきましても、行政サービスとしてこの見守りサービスを御利用いただいているといった例もございます。現在、この見守りサービスを御利用いただいている地方公共団体数は、全国で22団体ございます。また、住民票の写し等の地方公共団体が発行する証明書の交付事務、これについては、163団体から受託し、583団体で取り扱っているところでございます。そのほか、プレミアムつき商品券販売など、地方公共団体からの各種窓口事務を受託いたしまして、188団体から、4,766局において取り扱っているところでございます。

 日本郵政グループといたしましては、先ほど社長の増田からも御紹介いたしましたけれども、先般公表いたしました次期中期経営計画の基本的考え方におきまして、地域ニーズに応じた多種多様なサービスを提供していくことにより、地域社会が抱える各種課題の解決に貢献していくとうたっております。地方公共団体との連携を通じまして、住民サービスの維持向上や郵便局の利便性の向上に積極的に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

○井上(一)委員

 政府はマイナンバーカードの普及をさせようとしていて、現時点ではマイナンバーカードの取得をしている人が2,100万人で、人口比でいうと16.8%にとどまっています。高齢者の方にとってみると、なかなか手続するのが大変だというのがあるので、ラ・ポストの参考事例から、マイナンバーカードの取得に郵便局の人も手伝いをしてあげるというようなことも考えられないかと思いますが、そうしたアイデアについてはどうでしょうか。

○米澤参考人

 お答え申し上げます。

 当社では、従来よりマイナンバーカードの普及促進に積極的に御協力申し上げているところでございます。

 例えば、お客様みずからがマイナンバーカードを利用して各種公的証明書を御取得できますキオスク端末というものを2017年10月より順次設置し、現在、57局に拡大しているところでございます。

 また、2017年11月以降、地方公共団体からの御依頼を受けまして、マイナンバーカードの申請が可能な端末、マイナポータル用端末を郵便局に設置をしているところでございます。

 更に加えまして、本年7月から、マイナポイントを付与するためのマイキーID設定用端末を全国約2万局に設置いたしまして、マイナンバーカードの利便性向上にも貢献しているところでございます。

 今後とも、政府や地方公共団体と連携し、この件については積極的に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

○井上(一)委員

 ありがとうございます。

 次は、業務の効率化ということで、この間御説明を聞いたときに、ドローンを活用して配達ができないかということも今取り組んでいるということでした。これから人口が減ってきて、それから、山間部で高齢者の方が多くなってきます。そういうときに、ドローンを使って配達するというのは一つの考え方ではないかと思いますが、他方でいろいろな課題もあると聞いております。

 今、ドローンについて、どういうような取組をされ、どのような課題があるのか、御説明いただきたいと思います。

○米澤参考人

 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、今後、さらなる労働力不足等の課題が想定される中で、各種先端技術等の導入の積極的な取組が必要であるというふうに認識をしているところでございます。

 ドローンにつきましては、2018年度に、福島県で郵便局間、郵便局と郵便局の間の配送を行い、2019年度には、東京都の奥多摩町で個人宅への、いわゆるラストワンマイルの配送を行ってまいりました。

 実用化に向けた課題ということでございますけれども、技術動向におきましては、ドローン単体以外に、通信環境等、周辺環境の整備が必要となります。また、社会的受容性という問題につきましては、実証実験を繰り返し実施しているという背景もございまして、年々増してきていると考えております。

 法制度の整備におきましては、ドローンにおきましては、2022年の有人地帯においての目視外飛行の実現に向けまして、国による認証制度などの機体の安全性の確保、操縦者、運航管理者の技能確保制度、複数のドローン運航管理制度、機体・所有者情報の登録制度などにつきまして基本方針が策定をされていると聞いております。

 ドローンなどの先端技術の活用につきましては、技術動向や法制度の整備、社会の理解等の外部環境によるところも大きいものではございますけれども、今後の労働力確保等に鑑みまして、これからも実証実験を継続し、スムーズに実用化できるよう積極的に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

○井上(一)委員

 郵便局の職員の人手不足が今まで議論されているわけですが、一番大事なのは、郵便局の職員の処遇をどう確保していくかということだと思います。

 資料の2を見ていただきたいのですが、正社員の平均賃金ということで、2017年度の民間企業の賃金を見ていただきますと月額318,000円で、他方で、日本郵便は304,000円となっており、民間企業は年々上がっていっているにもかかわらず、日本郵便は下がっていっています。

 あと、経営指標の配当性向、これは利益を得た中でどれだけ配当に回しているかという数字ですが、それを見ると、2018年が49.4%、2019年が75.8%、2020年が59.4%となっています。配当性向は、一般的には30%ぐらいが大体平均値だということですが、要は、日本郵便の場合は、配当に回している率がほかの産業に比べて高いということです。

 私は、配当に回す分をもっと従業員、職員の給料、賃金の向上に充てる方に回すということをしていかないと、やはり魅力ある職場になっていかないのではないかと思っています。

 そういう意味で、賃金について、処遇の改善を図っていくべきだと思いますが、まず、社長はどういうようなお考えか、お聞かせください。

○増田参考人

 お答え申し上げます。

 賃金の考え方いかん、こういうお尋ねでございましたが、まず、人力依存度の高い郵政事業にとりまして、社員は事業活動を行う上での源泉でございまして、社員の能力を最大限引き出すために、社員の労働条件の改善は非常に重要なことである、このように認識をいたしております。

 社員の給与等水準につきましては、毎年の春闘を通じて順次改善を行ってきておりまして、日本郵便の正社員の平均年収でございますが、2019年度で約622万円、これは、先ほど委員お示しのものは月ごとのということでございまして、こちらは平均年収ということでございますが、2019年度で約622万円。この数値につきましては、同業他社と比較しても遜色のない水準と認識をしてございます。

 そして、今後とも、会社の経営状況等を踏まえることになりますけれども、各種労働条件の改善にはしっかりと取り組んでまいりたい、このように考えております。

○井上(一)委員

 知人に聞くと、給料も全然上がらないし、モチベーションが上がらないと言っています。

 私、モチベーションが上がらないところで働いていても、組織全体で活気が出てこないと思います。活力あふれるような組織にするためにも、処遇の改善というのはぜひ取り組んでいただきたいと思いますが、大臣、何か一言いただけないでしょうか。

○武田国務大臣

 やはりマンパワーが必要とされる業界でありますので、いい人材が意欲とやりがいを持って働ける環境をしっかりと労使間で協議をしながらつくり上げていただきたい、このように考えています。

○井上(一)委員

 経営陣の方も、賃金というか処遇の改善については、人が財産ですから、ぜひ今まで以上に取り組んでいただきたいというふうに思います。

 それでは、次に郵便投票についてです。

 郵便投票については、この間の委員会でもアメリカの郵便投票が議論になりましたが、私は、これから高齢化が進んでいき、さらに、地域によっては投票所も減ってくるというような状況の中で、郵便投票は真剣に考えてもいいのではないかと思います。

 この間の議論の中では、郵便投票を日本でも一回導入したことはあったが、不公正なことが起こって、それ以来、郵便投票は余り積極的には進めてこなかった、今は重度の障害者に限って郵便投票を認めているということでありました。イギリスやドイツでは郵便投票が一般的な制度として用いられているということですので、私は、日本もこれからは、郵便投票をもっと積極的に活用していった方がいいのではないかと思います。まず、イギリス、ドイツは、どのような郵便投票の現状になっているのか、御説明いただきたいと思います。

○森政府参考人

 お答え申し上げます。

 イギリスやドイツの郵便投票につきまして、これは2017年の国立国会図書館の資料によりますけれども、イギリスでは、郵便投票は、かつては、一定の要件を満たす方のみに認められておりましたけれども、現在は、北アイルランドの地域以外では理由を問わずに、北アイルランド地域では一定の条件のもとですが、郵便投票が認められております。

 また、ドイツでは、かつては、身体の障害などにより投票日に投票所で投票できないなどの理由のある者に限って認められていたところでございますが、現在では、御指摘のとおり、理由を問わずに郵便投票が認められているものと承知をしております。

○井上(一)委員

 イギリスやドイツの状況を見ても、郵便投票を積極的に活用しているという事例があるわけですから、私は、日本も、今のような重度の障害者に限るのではなく、一般的にもっと拡大していった方がいいとは思いますが、拡大することに当たり、さまざまな課題も当然あると思います。

 総務省として、郵便投票を拡大していくに当たっての考えておかなければならない点について、どのようにお考えでしょうか。

○森政府参考人

 お答え申し上げます。

 御指摘いただきましたとおり、我が国の郵便投票制度、これは、疾病等のため歩行が著しく困難な方の投票機会を確保するために昭和22年に導入されたものですけれども、不正の横行、こういったことを背景に、昭和27年に一旦廃止がされたものでございます。

 その後、昭和49年に、身体障害者手帳における一定以上の重度障害者の方等に限定した上で再び導入をされ、さらに、介護保険の導入後、平成15年に、これは議員立法によりまして、投票所まで行くことができない方と判断される実態にございます介護保険の要介護五の方を対象に加えるといった改正がなされて、現在に至っておるところでございます。

 したがいまして、こうしたこれまでの郵便等投票の改正の経緯だとか、また、不正の防止の仕方をどういうふうに担保していくのかとか、こういったあたりを十分に御議論いただきながら進めていく必要があるものと考えております。

○井上(一)委員

 重度の障害者、それから要介護5、基本的には寝たきりの人に限られているわけですが、総務省の提言の中でも、要介護4とか要介護3の人にも拡大したらいいのではないかというような議論もあります。郵便投票については、もっと幅広く使うということも含めて議論していく必要があるのではないかと思っております。

 それでは、郵便法についてはもうここまでで終わりたいと思います。

 残りの時間で、新型コロナウイルスについて質問させていただきたいと思います。

 報道では第3波が来たと言われておりますし、感染者の数もかなりふえてきているような状況にあります。

 それで、まず1つ目の質問として、雇用調整助成金についてです。これは1月以降も継続するというような報道はありますが、特例で今やられている15,000円の上限、それから10分の10の助成率を引き下げるということも検討されていると聞いていますが、コロナの状況を考えると、特例は引き続き維持すべきだと思いますが、どのような検討状況でしょうか。

○達谷窟政府参考人

 お答え申し上げます。

 雇用調整助成金の特例についてでございますが、本年12月まで延長しているところでございます。この特例措置は12月まで延長する旨を8月においてお示ししましたが、その際に、感染防止策と社会経済活動の両立の観点から、休業者数や失業者数が急増するなど雇用情勢が大きく悪化しない限り、通常制度に向けて段階的に戻していくことといたしたところでございます。

 産業界等からは特例措置の延長を求める声を多くお聞きしてございますが、一方で、働く方々のモチベーションの問題など、特例措置を長く続けることの副作用について懸念する御意見もあると承知しているところでございます。

 新型コロナウイルス感染症の影響が長引く中、労働者の方々を単に休業させるだけではなく、一時的に他企業に在籍出向させるなどして労働者の方のモチベーションも維持しつつ雇用を維持するという視点も重要であると考えてございまして、こうした視点からの雇用調整助成金も含めた支援策のあり方についても現在検討しているところでございます。

 いずれにいたしましても、雇用調整助成金の特例措置の1月以降の取扱いについてでございますが、雇用情勢等を踏まえて適切に判断してまいりたいと考えてございます。

○井上(一)委員

 今の特例措置を継続していただきたいと強く思います。これは与党でもそういう提言が出ていると聞いていますので、厚労省としては、特例を延長するということで、財務省との調整はあると思いますが、しっかりやっていただきたいと思います。

 それから次は、持続化給付金についてです。

 今までも持続化給付金で随分助かったという方はおられますが、新型コロナの第3波の状況や今の状況を踏まえると、心配される方は本当に多くて、もしもう一回休業しなければならない、店を閉めなければならない状況が来たら、もう店を畳まないといけないんじゃないかというふうにのではないかと、皆さん本当に真剣に悩まれています。

 そういったときに、政府として、持続化給付金の第2弾を用意して検討しているんだというメッセージを出すだけでも、前向きな明るい希望が出てくると思います。

 持続化給付金の第2弾の検討はぜひやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○飯田政府参考人

 持続化給付金の2回目の給付についてのお尋ねでございます。お答えいたします。

 持続化給付金は、御承知のとおり、とりわけ厳しい経営状況にある事業者の皆様の事業継続を支援するという観点から、使途に制限のない現金を給付するという、前例のない思い切った対策でございます。

 これまでも、その給付に当たりましては、累次にわたって必要な予算額を措置してきましたし、それから、加えて、家賃については家賃支援給付金でございますとか、それから実質無利子無担保などの資金繰り支援、こんなことも行ってきております。

 こうした形で、事業者の皆様が置かれております状況に応じて多層的な対策を講じてきております。まずは現行の対策を活用いただきたいと考えておりますけれども、今後につきましては、引き続き、内外における感染症の状況、あるいは経済の動向を注意深く見きわめてまいりたいと思っております。

○井上(一)委員

 今時点では本当に何とか耐え忍んでいるという方々が多いと思うので、持続化給付金の第2弾を政府として真剣に取り組んでいただきたいと思いますし。NPO法人などいろいろな方々が持続化給付金を申請して、大分広く認めてもらっていると思います。

 地元より、有限責任事業組合、LLPと呼ばれるもので、組合であって法人ではないのですが、これについても持続化給付金の対象にしてもらえないだろうかという強い要望があります。これはいかがでしょうか。

○飯田政府参考人

 お答えいたします。

 持続化給付金でございますけれども、先ほど申し上げましたように、事業の継続を下支えをして再起の糧とするということを目的として現金を給付するということでございますので、給付後も安定的に事業を継続していただくということが大事だと思っております。

 こうした観点から、今御指摘ありました有限責任事業組合、LLPでございますけれども、有限責任事業組合契約に関する法律に規定されております、出資者の有限責任に基づいて、参加する組合員の方々がその個性や能力を発揮しながら共同事業を行うための組織形態だというふうに承知しております。

 これは、組合としての税務申告や法人番号もございません。その売上げですとか利益はスルーして構成員に帰属するという形になります。したがいまして、私ども、組合自体を持続化給付金の対象とするというのは難しいのではないかというふうに考えてございます。

 他方で、この利益の分配などを受けます構成者、組合の構成者御自身は、これは事業者として持続化給付金の要件を満たすということであれば、組合員の方々は給付の対象として御申請いただくということが可能だということに考えております。

○井上(一)委員

 ぜひ、第2弾の持続化給付金を検討する際に、あわせて、その対象範囲についても、拡大ということで検討していただければと思います。

 では、最後の質問としたいと思います。

 特に中小企業に対する金融支援については、中小企業庁の皆さんが手厚くやっていただいたと思っております。

 ただ、先ほど申し上げましたように、今までは何とかしのげてきたのですが、第3波が来たときに自分の事業がやっていけるのだろうかというような方が多くおられます。年を本当に越せるんだろうかという方もおられますので、一回借りたが、更にもう一回借りたいというときに、それについてもぜひ温かく支援していただきたいと思いますが、その点についてはいかがでしょうか。

○飯田政府参考人

 お答えいたします。

 今委員御指摘ございましたけれども、融資でございますが、新型コロナウイルスの関係でお困りの中小・小規模事業者の皆様の事業継続のために、御指摘のとおり、政府系、民間金融機関を通じた実質無利子無担保かつ最大5年間元本返済据置きの融資という形で、非常に、これも前例のない強力な資金繰り支援策を講じてきているところでございます。11月の17日時点になりますけれども、164万件、29兆円の支援を実施してございます。

 これから更に財務状況が悪化する中小企業に対しては、資本性劣後ローンなどの資本増強策というものも講じております。さらなる活用に向けて、周知あるいは金融機関への働きかけを続けてまいりたいというふうに思っております。

 また、年末に向けて一層の資金需要が見込まれると考えてございます。私どもの全国に設置していただいております全国約1,050カ所の経営相談窓口、これは商工会、商工会議所、あるいは中央会、公庫、信用保証協会、こういったところに経営相談窓口がございます。こうしたところで、中小企業の皆様が直面している状況につきまして丁寧に伺ってまいりたいというふうに思っております。

 その上で、引き続き関係省庁とも連携して、資金繰りに万全を期してまいりたいというふうに考えてございます。

○井上(一)委員

 新型コロナという本当に未曽有の事態ですので、中小企業の皆さんが倒産とか廃業とか本当にしなくて済むように、今までも本当に政府は手厚く支援されてきたと思いますが。その支援を途切れさせるのではなくて、更に踏み込んで、もっとやるというようなメッセージを出すことによって希望が湧きますから、ぜひそういうような検討をしていただきたいということを願って、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

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